
どうもタスです。
前回は 「本を遊ぶ 働くほど負ける時代の読書術」という本を読んで、とても気持ちが良かったので、今回は、養老孟司さんの「バカの壁」を読みました。理由は、「本を遊ぶ 働くほど負ける時代の読書術」の「第三章 批判的読書で頭を鍛える」の「ミリオンセラーは10年待て」で、小飼弾さんが読むに値するベストセラーとして紹介していたからです。前々から読んでみたかった作品でもあるので、早速、手に取ってみました。
この記事の目次
養老孟司さんとは?
テレビでお馴染みということと、作家というイメージが私には強かったのですが、
養老 孟司(ようろう たけし、1937年11月11日 – )は、日本の医学博士、解剖学者。東京大学名誉教授。 – wikipedia
ということで、研究者(解剖学)であり指導者なのですね。本を読んでいて思ったのは、養老孟司さんの講義が聞いてみたいなと思ったことです。バカの壁に以下の記述があります。
私は、学生に人間の問題しか教えない。これは面白いことだ、と自信がある。解剖は解剖で面白いから、教えろと言われれば教えるけれど、二の次。いずれにせよ、自分が面白いと思うことしか教えられないことははっきりしている。
これ面白そうじゃないですか?聞いてみたいなって思わないですか?本書では、このような魅力が散りばめられていて、とても面白かったです。
本書の目次
第一章 『バカの壁』とは何か
第二章 脳の中の係数
第三章 『個性を伸ばせ』という欺瞞
第四章 万物流転、情報不変
第五章 無意識・身体・共同体
第六章 バカの脳
第七章 教育の怪しさ
第八章 一元論を超えて
本書を読んで感じたこと
最も感じたことは以下の四点。
- 自分で勝手にバカの壁を作っている
- 個性を伸ばせなんて簡単に言えないこと
- 脳の係数を鍛えること。
- とても難しい本だと感じた
自分で勝手にバカの壁を作っている
第一章から養老節炸裂で、小見出しが『「話せばわかる」は大嘘』です。「話しても分からない」ということを大学の講義で感じたとのこと。それは以下の内容です。
薬学部というのは、女子が六割強と、女子の方が多い。そういう場で、この番組(「出産ビデオ」)の感想を学生に求めた結果が、非常に面白かった。男子学生と女子学生とで、はっきりと異なる反応が出たのです。ビデオを見た女子学生のほとんどは「大変勉強になりました。新しい発見が沢山ありました」という感想でした。一方、それに対して、男子学生は皆一様に「こんなことは既に保健の授業で知っているようなことばかりだ」という答え。同じものを見ても正反対といってもよいくらいの違いが出てきたのです。
これはどういうことかというと、自分の身になって見ているかどうかの差が表れたということ。もっと言えば、(男子学生は)自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっているということ。つまり、ここに壁が存在していて、バカの壁の一種といえるということです。
これは「脳に悪い7つの習慣」でも学習しましたが、興味がないということはとても残念なことです。自分からバカの壁を作らないように柔軟で好奇心旺盛な状態でいたいものです。
個性を伸ばせなんて簡単に言えないこと
数学というのは、証明によって、いやが応でも「これが正しい」と認めさせられる論理です。数学的に証明をされてしまうと、とにかく結論を認めざるを得ないわけです。この数学に、自然科学では「実証」という要素を加えました。実験室で調べてみたらこういう結論になりました、と言われるともっと認めざるを得ない。
と言っており、さらに言うと「論理」や「論理哲学」を含めて『人間の脳というのはで来るだけ多くの人に共通の了解事項を広げていく方向性をもって進歩を続けてきた』ということです。そんな中、「個性を伸ばせ」「個性を磨け」など「個性」を前面に押し出せと強制してくるのはおかしいと。結局、人間に全く同じ人は存在しない。まさしくそれこそが個性だと。むしろ、「個性」を発揮している人の例として社会不適合者が多いだろうと。
脳の係数を鍛えること
脳への入力を「x」だとして、その出力が「y」だとする。その入力に対して脳内で回して動かしているとすると、「y = ax」が成り立つ。その「a」という係数が自分が持っている「思考力」ということだと思います。
前出の例を用いて、以下のように書いています。
行動に影響しない入力はその人にとっては現実ではない、ということになる。つまり、男子に「出産ビデオ」が何の感興ももたらさなかったのは、その入力に対しての係数aがゼロ(または限りなくゼロに近い値)だったからです。彼らにとっては、現実の話ではなかった。となれば、感想なんか持てるはずもありません。
結局、「a」を鍛えることこそが楽しい人生を送れるのではないかとさえ思ってしまいます。
とても難しい本だと感じた
本著は、ベストセラー本で、販売は累計400万部を超えています。なので、誰でも取っ付きやすく分かり易い本なのだなと思っていました。意外や意外、内容はとても難しいです。私の頭では1回読んだだけでは理解できません。特に第四章辺りから遠くに行っちゃったような感じになってきます。これはもう少し脳を鍛えて、再読しようと思っています(その時はもう少し加筆しようかなと思っています…)。
心に残った言葉
人生でぶつかる問題に、そもそも正解なんてない。とりあえずの答えがあるだけです。私はそう思っています。でもいまの学校で学ぶと、一つの問題に正解が一つというのが当然になってしまいます。本当にそうか、よく考えてもらいたい。
現状の教育が最適ではないということがこの一文から良く分かります。
学問というのは、生きているもの、万物流転するものをいかに情報という変わらないものに換えるかという作業です。
とてもシンプルですが、これぞ真理でしょうか。
楽をしたくなると、どうしても出来るだけ脳の中の係数を固定化したくなる。aを固定してしまう。それは一元論のほうが楽で、思考停止状況が一番気持ちいいから。
「a」(脳の係数)を固定化すると思考停止になる。「a」を柔軟に設定できるからこそ楽しい。バカってのは「a」が凝り固まった人のことを言うのでしょうね。
徳川家康は「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し」と言いました。この言葉をその通りだと思う人が、今時どのぐらいいるのかはわかりません。私は遠き道を行くどころか、人生は崖登りだと思っています。
とても良い言葉ですね。人生常にこう思っていたいです。私の祖父の口癖は「若いときの苦労は買ってでもしろ」でした。やってみなければ分からないことは多いと思います。本著も「本を遊ぶ 働くほど負ける時代の読書術」も脳と行動を繋げることを重要視しています。
まとめ
誰にでもあり得るバカの壁を読みながら、自分に当てはまらないかどうかを考えていました。学生の頃、指導教員の先生に「分かった」や「知っている」などを断言するな。とお叱りを受けたことがあります。分かったつもりでいても、分かっていないことは沢山ある。簡単に断言してはいけないと。
それ以降、言う言わない以前に、知らないことがまだ沢山あるかもしれないと疑うことが多くなりました。当時、その言葉を頂いていなければ、私は完全にバカの壁を作っていたのだなと思いました。先生、ありがとうございます<m(__)m>