【読概】生物と無生物のあいだ

【読概】生物と無生物のあいだ

どうもタスです。

読書を始めて3冊目になりました。

今回は福岡伸一さんの「生物と無生物のあいだ」を読みました。

この本はKindle版が無かったので、紙本を購入しました。

届いて驚いたのが、帯への推薦者が多いこと。表裏合計、9名もの方々がコメントしています。

特に、表にドーンと顔写真付きで構えているのが「蒼井優さん」。なんと、6回も読んだそうです(彼女は大変な読書家だそう)。

ということで、読む前から期待度が高い作品になりました。

 

福岡伸一さんとは?

【読概】生物と無生物のあいだ

朝日新聞「福岡伸一の動的平衡」

1959年東京生まれ。

京都大学卒、ハーバード大学博士研究員、京都大学助教授などを経て、現在、青山大学教授・米国ロックフェラー大学客員教授。

専攻は分子生物学。

 

本書の目次

プロローグ

第1章 ヨークアベニュー、66丁目、ニューヨーク

第2章 アンサング・ヒーロー

第3章 フォー・レター・ワード

第4章 シャルガフのパズル

第5章 サーファー・ゲッツ・ノーベルプライズ

第6章 ダークサイド・オブ・DNA

第7章 チャンスは、準備された心に降り立つ

第8章 原子が秩序を生み出すとき

第9章 動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)とは何か

第10章 タンパク質のかすかな口づけ

第11章 内部の内部は外部である

第12章 細胞膜のダイナミズム

第13章 膜に形を与えるもの

第14章 数・タイミング・ノックアウト

第15章 時間という名のほどけない折り紙

エピローグ

 

「生命とは何か?」という問いに挑戦した歴史

【読概】生物と無生物のあいだ

「生命は何か?それは、自己複製をするシステムである。」という出だしから、ロックフェラー大学での研究の話、野口英世の話、研究の話、DNAの話、画期的発見の話、研究環境の厳しさの話、研究評価の泥臭い話、研究業績剽窃の話など、とても歴史的な要素が著者の経験をもとにふんだんに盛り込まれています。

特に、野口英世の評価が日本のものとは全く異なるのは面白かった。

ロックフェラーの創成期である二十世紀初頭の二十三年間を過ごした野口英世は、今日、キャンパスではほとんどその名を記憶するものはない。(省略)彼はむしろヘビィ・ドリンカーおよびプレイボーイとして評判だった。結局、野口の名は、ロックフェラーの歴史においてはメインチャプターというよりは脚注に相当するものでしかない。

まさかここまで辛辣な評価を受けている人がお札の肖像画になっているとは想像していませんでした。

※「樋口一葉も」という柱脚も気になりましたが…

歴史的な背景やその時の感情を鑑みることで、より当時の出来事に感情移入でき、タイムマシンにでも乗ったような錯覚すら覚えます。

歴史の一つ一つを懇切丁寧に伝えてくれるので、時代や出来事のつながりを鮮明に感じることができ、よりリアルに体験することができました。

 

研究者の環境と日本の陰湿さ

【読概】生物と無生物のあいだ

研究者の世界はとにかく泥臭いなと感じました。

本書に書かれていたように、「研究者は好きなことしてお金をもらえていいですね」のようなことを言われるようだけど、全く逆な気もします。

もちろん、好きなことに励むことができるからこそ続けられるのは一理あるが、それを言うにはあまりにも重すぎる仕事だなと感じました。

失敗したらNG、異なる成果が出たらショックの中で、仮説に合致する成果を見るまで辛抱しながら研究を続ける精神力もさることながら、とくに「ポスドク」の人間というよりは機械的な鉄のような冷たささえ感じる環境にも驚きました。

日本は講座制といわれるヒエラルキーが確立されており、それを福岡さんは「死んだ鳥症候群」という通称を使って説明してくれています。

その点、アメリカは合理的というか考えがスッキリしていて「支配 – 被支配」関係はないようです。

結局のところは、研究費(グラント)を自分で稼げる研究者がボスで、その下でグラントにより独立研究者が雇われるという比較的簡単な構図になるようです。

 

同業者による論文審査とそれによる問題

【読概】生物と無生物のあいだ

研究領域が専門分野になればなるほど細分化されていき、そうなると、その成果を評価する方も自然とその専門知識を有する者になります。

すると、起こることと言えば、泥臭い人間関係の問題になります。

具体的に言うと、審査者への研究内容の漏洩、または第三者への漏洩、窃取などが該当します。

研究者のような学識ある職種を想像するに、このような単純な「魔」違いは起こりそうにないと考えてしまいますが、前述したような切迫した環境にいる上に、目の前に宝が転がっていたら、絶対に飛びつかないなんてことはあり得ないなと納得してしまいました。

ただ、そんな悪戯が世紀の大発見にさえかかわっていたのかと思うと、多少残念な気持ちにならざる負えないです。

ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックによるDNAの二重ラセン構造の発見もその関与が強いといわれています。

 

生命とは神秘すぎて解明できないんじゃないか説

【読概】生物と無生物のあいだ

冒頭に記述したとおり、「生命とは自己複製をするシステム」と定義されていましたが、もっと色々なことが分かるにつれて「要素が集合してできた構成物ではなく、要素の流れがもたらすところの効果」なのであるということが分かってきました。

正直、後半になるにつれ、専門的な話になり、首が諤々して寝ちゃうんじゃないかっていうところもあったけれど、話が進めば進むほど神秘的な話に思えてきて、とても現実(自分自身)であるとは思えない内容でした。

それこそ、夢?仮説?みたいな…。

一人の人間は何十兆個の細胞でできていて、その一つ一つはDNAという設計書をもとに作られており、それらは個々に集合して構成されているわけではなく、全体の動き(流れ)によって代謝されながら常に活動しています。

なので、「久しぶり!元気だった?全然変わってないなー」なんていう会話は完全に成り立たないのです(マジで 笑)。

※すみません、さらに詳しい解説は本書にお任せで。。。

 

まとめ

とても読み応えのある本で、内容が濃かったです。

特に、文章がとても秀逸で、本当に研究者?って思うほど、それぞれの章の序盤には季節や街の雰囲気、その当時の情景を思い浮かべさせてくれるとてもやさしい文章が印象的です。

プロローグとエピローグもどこか懐かしさを感じさせ、且つさりげなく問題提起や終着への結いを提示してくれる、全体的に壮大な物語を見せてくれました。

私のように、鼻をほじりながら「生命ってなに?」っている方も(いないか…)この本を読めば形だけでも理解できるのではないでしょうか。

そして、読んでいるうちにズブズブーと入り込んでいく雰囲気も与えてくれる良書なので、そういう意味でも推薦したい書です。

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