【書評】生命保険とのつき合い方[生命保険を買う前に読もう]

【書評】生命保険との付き合い方[生命保険を買う前に読もう]
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どうもタスです。

「【書評】出口さんによる教養とその活かし方[本物の教養]」を読了後にその存在を知った本書。生命保険の見直しもそろそろしないとなと思っていた矢先だったので、本書が勧めるように、生命保険を検討する前に一読して良かったなと実感できる内容でした。生命保険とは何か?購入する(した方が良い)条件とは?また、その裏側も教えてくれます。

そこで今回は、読書習慣を始めて27冊目の本になった「生命保険とのつき合い方(岩波新書)」についてお伝えしたいと思います。

 

著者のご紹介

出口 治明(でぐち はるあき)
1948年4月18日三重県生まれ。ライフネット生命保険株式会社創業者。現在は立命館アジア太平洋大学学長。「100分 de 名著」に出演されていたので、初めてお目にかかりました。ドッシリとされて博識感が出ていましたが、関西弁と優しい口調が雰囲気を和らげる不思議なオーラのある方に見えました。貞観政要とは何か?これは番組をご覧ください。

 

目次

第1章 生命保険はなぜ必要か
第2章 まず、セーフティネットを知ろう
第3章 生命保険にはどのような商品があるのだろう
第4章 生命保険を買う前の注意点
第5章 生命保険をどう買うか
第6章 生命保険はどこで買うか
第7章 生命保険料はこうして決められる
第8章 生命保険会社がつぶれたらどうなるか

 

生命保険を購入する前に社会保障制度を理解しよう

【書評】生命保険とのつき合い方[生命保険を買う前に読もう]

そもそも保険ってなに?というところはあまりに意識されていないように感じます。wikipediaで調べると以下のように書かれています。

保険(ほけん)は、偶然に発生する事故(保険事故)によって生じる財産上の損失に備えて、多数の者が金銭(保険料)を出し合い、その資金によって事故が発生した者に金銭(保険金)を給付するための制度。

確かにそのとおりなのだが、本書ではその必要性も加味して以下のように語っています。

人間は「衣食足りて礼節を知る」ことが一番の生活のベースになる。生命保険は「ロス・ファイナンシング」の一つで、政府のセーフティネット(社会保障)を補完する役割を担っている。

まず衣食住の最低限の生活ができていない状態であれば生命保険どころではなく、ファイナンスに頼るどころか政府が提供するセーフティネット(社会保障)を利用するべきだと説いている。仰る通りです。ということは、保険の話をする人には出会うが、意外に社会保障の話をする人に出くわさないのは必要最低限の生活ができているためであろうか。

いや、そうでもなさそうで、社会保障を理解していないところに原因がありそうだ。と私は考えます。なぜなら、受動で得られる制度と能動で得られる制度があるためです。前者はひな鳥のように口を開けていれば得られるが、後者は得られずに流れていっているパターンは少なくない。

そう考えると、まずは社会保険(「シビル・ミニマム」(必要最小限の生活基準))を知り、自分の今・未来の環境で何を補填する必要があるのかを考え、それに対して社会保険で補填できる部分を明確にし、補填しきれない部分について生命保険を用いるというのが「生命保険の必要条件」なのだと理解しました。

単純なことだが、私も含めて社会保障を意識していないと、余分に生命保険を購入する(自分の生活環境に合致しない)可能性があることは理解したい。

 

生命保険を検討する上で重要な「お金」について

【書評】生命保険とのつき合い方[生命保険を買う前に読もう]

シビル・ミニマムを保証してくれる社会保険の外観は本書を読まれることで理解していただくとして、以下では保険を検討する上で重要な「お金」に関する内容ついて、本書から抜粋したいと思う。なぜなら、お金持ちは保険を購入してまでリスクヘッジする必要は無いが、我々中間層に位置する人たちは生命保険に関する「お金」を知ることが意思決定に大きく関与するからです。

もちろん、保障の条件はとても重要なことだが、これは個々人で自分に合う内容を検討する必要があり、著者は以下のように勧めています。

主契約だけで全体が理解できるようなできるだけシンプルで分かりやすい単体商品を基本として、必要な保障を必要な期間だけ加入することをおすすめしている

特約で複雑怪奇な商品より、シンプルで分かり易い主契約のものを選択することが望ましいということだ。では、以下にお金に関する内容を紹介します(詳細は本書で)。

 

72のルールの適用

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生命保険も72のルールが適用される。なぜかと言うと、生命保険も貯蓄商品を持っているが、それは代表的な固定金利商品だから。著者は「長期金利がせめて3~4%はないと魅力的な貯蓄商品はつくれない」というのが、世界の生命保険会社に共通した意見であると言っています。バブルの頃ならいざ知らず、現在は貯蓄目的に生命保険を活用するのは得策ではなく、純粋な保険として検討するべき。

 

サンクコストに惑わされるな

【書評】生命保険とのつき合い方[生命保険を買う前に読もう]

経済学でいうサンクコスト(埋没費用)の問題というのがある。サンクコストとは「事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力」のことで、あれだけお金を払ったのだから…と後悔するアレのこと。

生命保険に例えるとまさに乗換え機会を指す。「あと数年我慢すれば、たとえば100万円が戻ってくるのに、今乗り換えてしまったら損をする」という考えで乗換え機会を存してしまう。著者によれば「保障がほぼ同様のレベルでなら、少しでも金額が安くなるのであれば乗換えするべき」と言っています。

 

生命保険の節税効果は高くない

【書評】生命保険とのつき合い方[生命保険を買う前に読もう]

生命保険はあくまで所得控除です。税控除ではありません。本書で詳細にシミュレーションしていますが、年収500万円の夫と配偶者、子供二人(小学生)の場合に還付される金額は、所得税と住民税を併せても1万円に届きません。税制面で有利かどうかは各自ご判断を。

 

相談相手は独立系FPを選択するべき

【書評】生命保険とのつき合い方[生命保険を買う前に読もう]

いつも言っていることですが、お金が絡む内容を相談するときは「利益の行く先」を考える必要があります。無料なんて言葉に踊らされてはいけません(タダより怖いものは無いですよね)。本書でも「無料の保険相談に応じますと謳う、FPの名刺を所持したスタッフが相談に乗ってくれるところが沢山あるが、そのほとんどは保険代理店」であると言っています。

それは結局、保険を売ることでコミッション(手数料。言い換えれば利益)を得ているため、セールスマンと同様だと私は考えます。ここでいう独立系FPとは、「原則として保険を売らない、あるいは保険代理店で働いていない」意味とのこと。相談する相手を間違えると「ベストアドバイス」を得られないだけでなく、「ベストコミッション」を与えてしまうことになりかねません。

 

収入保障保険が人気のワケとは

【書評】生命保険とのつき合い方[生命保険を買う前に読もう]

収入保障保険とは、字のごとく「収入」を保障してくれる死亡保険です。一家の生活費が15万円の場合、稼ぎ頭(被保険者)の死亡により60歳まで月々15万円の保険金が受給できるという商品です。この商品、一見合理的です。私もこの商品を買いました。しかし、売れる商品にはワケがあります。

それは、定期死亡保険(死亡により定額一括払いの商品)より製造原価を安くできるメリットがあるためです。定期死亡保険はいつ無くなっても満額支給ですが、収入保障は保険事故が起こる時間が経てば経つほど支給額が少なくなります。よって、コミッション大きくしやすいために販売員は積極的に進めます。商品の性質上、合理性もあるため売れてしまうというわけです(僕も買ってます…)。

これについて著者は持論を展開しており、その理由と買い方のアドバイス付きで定期死亡保険を勧めています(僕は収入保障を購入しました…)。

 

おわりに

何事もそうだけれど、高額商品の売買を行う際には裏があります。保険の場合も利益を追い求めることで「ベストコミッション」が優先されるケースがあることは周知の事実です。そうならないためには、本書で書かれているとおり「賢い消費者は、何を買うにしてもまず十分な下調べをします。」ということだと思います。

生命保険については、まず商品から入るのではなく、自分の生活環境を見直し未来を想像/検討することと、今一度、社会保障制度について利用できる制度がないかどうかを能動的に調べてみることが重要だと感じました。己も相手も知ることで、「ベストアドバイス」を引き出せるのではないかと思っています。

 

おススメ記事もご覧ください

出口さん著書の「本物の教養」。本書は教養の定義とその活かし方が語られており、ビジネスマンや学生問わず全ての人必読の書です。

 

類書


本書の「おわりに」で生命保険のことを体系的に学べる良書として紹介されていました。

 


元ライフネット生命保険取締役会長。著者と共にライフネット生命保険を設立した。生保との付き合い方をカラクリを暴きながら教えてくれる。

 


著者が対話形式により、お金について「知る」「使う」「貯める」「増やす」「稼ぐ」の5ステップで講義する。

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