【書評】アレルギーのない子にするために1歳までにやっておきたいこと15

【書評】アレルギーのない子にするために1歳までにやっておきたいこと15
この記事は約7分で読めます。

どうもタスです。

前回読んだ【書評】アレルギーの9割は腸で治る![腸内細菌と現代病]に引き続き、またアレルギーに関する本を手に取った。本書は書名のとおりアレルギー予防を行うための「15」の方法を具体的に説明する。かと言って、対象範囲は予防者だけではない。発症者含め、さらに言うと1歳という年齢すら関係なく全ての人が対象であることを理解するだろう。

そこで今回は、読書習慣を始めて65冊目の本として「アレルギーのない子にするために1歳までにやっておきたいこと15(毎日新聞出版)」を読了したのでお伝えします。

 

著者のご紹介

古賀 泰裕(こが やすひろ)
東海大学医学部教授。日本プロバイオティクス学会理事長。1978年九州大学医学部卒業。1984年同大学院医学研究科修了、医学博士号取得。その後、九州大学生体防御医学研究所の助手・助教授を経て、1993年より現職。1998年日本プロバイオティクス学会を設立、以降理事長を務める。専門分野は感染症学、消化器の免疫および細菌学。主な研究テーマは、プロバイオティクスの医療への応用、無菌動物を用いた脳腸相関の基礎研究、オリゴ糖によるアトピー性皮膚炎の治療、などである。

 

目次

はじめに
第1章 アレルギーの子どもが増えているのはなぜ?
第2章 腸内細菌の不思議にせまる
第3章 アレルギーの子の腸内細菌は、悪玉菌だらけ
第4章 腸内細菌と免疫、アレルギーとの深い関係 –腸管免疫系の不思議
第5章 母乳と腸内細菌とアレルギーの関係
第6章 子どもをアレルギーにしないためにやっとくこと15
~番外編~
あとがき
参考文献

プレバイオティクスの意義とその有効性

【書評】アレルギーのない子にするために1歳までにやっておきたいこと15

先に言っておくと、本書も前書と同様、アレルギーに対しては腸内細菌を整えることが最重要だという見解でいることに変わりはない。その手段はプロバイオティクス、すなわち、「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」を取り入れることで整えることに相違はない。例えば、善玉菌の代表である、ビフィズス菌だ。

しかし、本書はそれだけではない。前書は寄生虫を寄生させること…w は前書著者しかできない対策案ではあるが、本書は、プレバイオティクス、すなわち、「大腸内の特定の細菌の増殖および活性を選択的に変化させることより、宿主に有利な影響を与え、宿主の健康を改善する難消化性食品成分」を取り入れることで腸内環境を整えることを促進している。

その理由は、プロバイオティクスの難点として、腸内フローラは十人十色のため、プロバイオティクスとしてどのような細菌がその人に合うかを理解した上で適用しなければならないという点が挙げられる。よって、その人に適さないプロバイオティクスを取り入れたところで、必ず効果が出るとは限らないということだ。それに対して、プレバイオティクスの場合、既にその人の腸内に存在するフローラに対して増殖及び活性を促す効果があるため、その人に適した腸内細菌を判別する手間なく腸内フローラを整えることができるわけなのだ。

 

最強のプレバイオティクスである「オリゴ糖」

【書評】アレルギーのない子にするために1歳までにやっておきたいこと15

そもそもその前提として、衛生仮説(乳幼児期の衛生環境が個体の免疫系の発達へ影響を及ぼして、その個体がアレルギーになりやすいかどうかを決めると言う仮説)として「乳幼児期に細菌に感染すると、アレルギー発症率が低くなる」というのはほぼ間違いないのだろう。また、ツベルクリン反応が陽性だった人は、アレルギー疾患率が低かったという研究データもそれを推していることは間違いない。ちなみに、私も中学生の時に陽性で、BCGを打った記憶がある。

とはいえ、衛生仮説とは言っても、今やどこも「清潔」な場所ばかりのため、わざわざ細菌を体に取り入れることもない。では、打つ手は無いかと言えばそうでもない。腸内細菌は文字通り「細菌」であるからだ。しかも、免疫細胞の約70%は腸に集まっているという。そして、腸内細胞は本書で取り扱うアレルギー以外にも万能であるとまで言われている。そう、肥満や生活習慣病、認知症、がん、老化などにまで関わっていることが明らかになっているというのだ。

そこで、腸内細菌を正常に保つためにプレバイオティクスを促進するというわけなのだが、具体的に赤ちゃんにとって(大人もそうだけれど)良いとされるプレバイオティクスは、「オリゴ糖」だという。本書でも、

赤ちゃんのお腹へ届いたオリゴ糖は、ビフィズス菌のエサとなり、ビフィズス菌を一気に増やし、赤ちゃんの腸内フローラを整えます。最近の研究では、ビフィズス菌がどのようにしてオリゴ糖をエサとして利用しているかということもわかってきました。ビフィズス菌が自ら酵素を出してオリゴ糖を分解し、ビフィズス菌の中に取り入れることでエネルギーを得て増えているというのです。ビフィズス菌はなんて賢いのでしょう。オリゴ糖はビフィズス菌にとって重要なエネルギー源となっているうえ、ビフィズス菌のみを増やす働きがあるのです。ちなみにオリゴ糖は悪玉菌や日和見菌にとっては役に立たないものなのです。

と言っているとおり、ビフィズス菌の重要なエネルギー源であり且つ悪玉・日和見菌は見向きもしないというとても優秀なプレバイオティクスなのである。これは本書から得た情報のうち、最も価値あることだ。数あるオリゴ糖のなかでも、特に有効性が高いものについて説明されているが、それは本書に譲るとする。

 

「予防」だけでなく「治療」までの価値

【書評】アレルギーのない子にするために1歳までにやっておきたいこと15

本書は、上記内容の他に、人間が免疫を獲得するまでの過程とアレルギー発症に至るまでの過程である、2つ過程を丁寧に説明する。特に、免疫(自然及び獲得)の種類や役割および異物(細菌及びウイルス)撃退のプロセスについては一度読んだだけでは整理できない複雑なものだが、それがアレルギー発症に深く関係しており、さらには腸内環境まで繋がっていると考えると非常に有用な情報である。

そして、何と言ってもアレルギーは遺伝的疾患という決めつけだけでは片付けられないことを示唆する沢山の情報を示しているため、読むだけで戦う勇気を与えてくれる。必ずしも対処療法ではなく、「予防」「治療」という言葉が何度も登場することを見ても、自らの意思で改善できることの証明であることは間違いないからである。

本書は1歳までと題しているが、年齢制限はない。内容は妊婦、乳幼児に多くを言及しているが、先に述べたとおり腸内細菌を整えなければならないのは全年齢に共通していることだからである。しかし、特に妊婦にはとても貴重な話が盛り沢山であるため、読むことより読まない損が多いことは確かである。著者も妊婦を対象とした臨床実験を行い、成果を上げている。しかも、その内容を本書で公開している。

最後に、私のように、もし子どもがアレルギーを発症した場合についても諦めることなく改善していくことは可能であることが書かれている。特に最終章である第6章は、出産前後とアレルギー発症した場合の対応について本書名のとおり15に渡って言及しているため、目を通すことをおススメする。

スポンサーリンク


Pocket


SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA