【書評】未来予測を嗤え![よりよい人生を過ごすための指南書]

【書評】未来予測を嗤え![よりよい人生を過ごすための指南書]
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どうもタスです。

【書評】不透明な時代を見抜く「統計思考学」[見える世界を変えていこう]の著者である神永氏と、その著書に太鼓判を押していた小飼弾氏による対談本、副題の「予測より大事なものは、これだ!」が示すとおり、本書には未来予測より大事で大切なことが書かれています。

その内容は何なのかは、以降(むしろ、本書)を読んでみてください。そこで今回は、読書習慣を始めて68冊目の本として「未来予測を嗤え!統計、ビックデータにダマされない!いま最強の理系講義!!(角川oneテーマ21)」を読了したのでお伝えします。

 

著者のご紹介

神永 正博(かみなが まさひろ)
東北学院大学教授。1967年、東京都生まれ。京都大学大学院理学研究科数学専攻博士課程中退。博士(理学)。2010年度はThe Institute of Mathematical Sciences客員研究員として南インド(チェンナイ)に滞在。

小飼 弾(こがい だん)
投資家、プログラマー、ブロガー。1969年、東京都生まれ。中卒後、大検で高卒資格を取得。カリフォルニア大学バークレー校中退。株式会社オン・ザ・エッヂ(後のライブドア、現在の株式会社データホテル)の取締役最高技術責任者(CTO)を務め、同社の上場に貢献。現在、ディーエイエヌ有限会社代表取締役。

 

目次

はじめに
第1講 未来を予測することは可能か?
第2講 イノベーションを予測することはできない
第3講 人間にはストーリーが必要だ
第4講 権威システムvs.検証システム
第5講 ビッグデータの本当の意味
第6講 人工知能の可能性
第7講 コンピューティングパワーがすべてを制する?
第8講 ネットの巨人達が国家に取って代わる
第9講 超巨大企業を所有してしまえばいい
第10講 経済発展はこれからも可能なのか?
第11講 比較不能な「差」を見つけよ
第12講 人間は何が欲しいのかを知らない
第13講 欲求こそが希少な資源である
第14講 機械が欲求も持つようになる?
第15講 どうすれば好奇心が伸びるのか
第16講 文系は不要か?
第17講 反知性主義と科学的リテラシー
第18講 格差問題をどう乗り越えるか

 

豊かに暮らすためには好奇心が必要不可欠

【書評】未来予測を嗤え![よりよい人生を過ごすための指南書]

本書は未来予測はできないよねっていう話から、世界を巨大資本が牛耳っていること、そんな現代に私たちはどうしていくべきなのか。そもそも私たちはどうあるべきなのか。そういったことを神永氏と小飼氏が対談形式で論じていく構成になっています。

どの章を取っても、とても興味深い話が尽きないのですが、特に後半の「そもそも私たちはどうあるべきなのか」については、特に面白い。資本主義を生きるためには「オーナーシップを持つことが重要」であり、その市場原理の中で差を設けるためには「もっとincomparable(比較不可能)で、nontrivialな(自明ではない、重要な)差に目を向けるべき」だと言っています。

そもそも、「incomparable(比較不可能)」なものを見つけるためには、絶え間ない好奇心を維持することが重要で、その好奇心を持つためにはある程度の学力が必要であること。こんな風に淡々と書いてしまうと、とても冷徹なように感じてしまうかもしれませんが、なぜそんなことが言えるのかという明確な理由もセットで話されているので、とても理解し易く腑に落ちます。

 

好奇心が成り立つためには学力のクリティカルマスが必要

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例えば、なぜ好奇心を維持するために学力が必要になるのかというと、

知らないことがあれば知りたくなるのが人間ではあるけど、元手になる知識があまりにも少ないと知ろうと思わなくなってしまう。好奇心が成り立つためのクリティカルマス(元々は核分裂反応の連鎖を維持するために必要な臨界質量のこと。マーケティング分野では、サービスが爆発的に普及するために必要とされる最低限の市場普及率のこと)があるんでしょう。

ということが前提としてあり、好奇心を抱いた結果、取り組んでいくうえで

まとまった体系として知識を学ばないと、手順を変えて結果がよくなったり悪くなったりした時に、なぜそうなるのかが理解できません。

という事態に遭遇します。自分は何がしたいのかということに出会うためにも、そして、出会ったことを続けていくためにも学力は必要不可欠であるということです。その学力を身に付けること自体も好奇心が必要であるともいえますけれどね。

お金も、元手が無ければ増やしていくことはできないわけで、知識にしても同じです。私は知識こそ複利の原理が応用されるものだと思っているので、クリティカルマスは言い得て妙だといえます。

 

好奇心のない人には食い扶持を

【書評】未来予測を嗤え![よりよい人生を過ごすための指南書]

逆に言うと、好奇心のない人は

好奇心のない人は従順だから、為政者や経営者にとってはありがたい存在です。しかし、従順な人よりも、ロボットはもっと扱いやすいんですよ。結局、好奇心のない人は社会から必要とされなくなってしまいます。

ということまで言及されています。そのためにベーシック・インカムを導入するべきだと(本書では、同様な別概念が登場しますが、それはご本人の目でお確かめあれ)。この話はとても合理的で、

好奇心がなくて、ただ食い扶持が欲しいだけの人々を飢えさせ、強制的に働かせるというのは、倫理的に間違っているだけではなく、システムとしても非効率です。

システムとして非効率なのです。働きたくない、興味を持てない、やる気がない、好奇心がない人たちを無理に駆り出すから、本当に働きたい、興味深々、やる気満々、好奇心旺盛な人たちを邪魔してしまうのです。ごもっとも。それであれば、食い扶持だけを与えてあげた方が誰も迷惑しない世の中につながるのではないかということです。全員一律の方が公平性も増しますしね。

 

本書はよりよい人生を過ごすための指南書

【書評】未来予測を嗤え![よりよい人生を過ごすための指南書]

このような話は本書の後半で語られる内容です。そうなんです、本書は前半に未来を予想できるのかということから経済、資本主義などの大枠な話から、後半はこのように個人の話しへと推移していきます。

そもそもこの世はカオスのように結果は見えていて、実は自由意志などないのでは。ビックデータは統計学の価値を下げる。GAFAに対してはオーナーシップを取るべきだなど、もちろん、これらの話しも興味深いのですが、後半戦の個人の話しの方が飲み込みやすく、自分に投影しやすい内容になっています。

一歩下がって読んでみると、人生を決断していく上での素養の身に付け方を指南されているように思えてきます。学校や親からは「自分のやりたいことを見つけなさい」と言われるけれど、それがどうして難しいのか、「勉強はなぜ大事なの?」そんな問いも本書を読めば分かります。

初っ端の第1講で「未来の予測は不可能だ」という姿勢の上に展開されていく「じゃぁ、どうするの?」という話の展開し具合がとても流動的で、それこそカオスだなと感じます。そんな展開ができてしまうお二人は、常にどうするべきなのかを考えているということなのでしょう。山路さんがファシリテートされているところからも、小飼弾の談論に神永さんがゲストとして登場している風景が脳内再生されてしまいましたw

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