【書評】未来改造のススメ[常識を逸した偏見で自らをVer.Upせよ]

【書評】未来改造のススメ[常識を逸した偏見で自らをVer.Upせよ]
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どうもタスです。

久し振りに小飼弾氏の本を読んだ。今回は対談本である。手に取ってから読むまで対談だとは知らず、共著だと思っていた。しかし、読んでみると対談相手である岡田氏の話もとても興味深いもので、これが本当に10年も前に交わされた会話なのかと楽しく読ませていただいた。

そこで今回は、読書習慣を始めて90冊目の本として『脱「お金」時代の幸福論 未来改造のススメ(株式会社アスペクト)』を読了したのでお伝えする。

 

著者のご紹介(本書引用)

岡田 斗司夫(おかだ としお)
1958年、大阪市生まれ。アニメ会社ガイナックス設立後、東京大学やMIT講師を経て現在は大阪芸術大学客員教授。本書の対談後、社員が給料を支払うユニークな会社オタキングex(その後、FREEexに改称)を設立。

小飼 弾(こがい だん)
1969年生まれ。投資家、プログラマー、ブロガー、カリフォルニア大学バークレー校中退。株式会社オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)の取締役最高技術責任者(CTO)を経て、現在ディーエイエヌ有限会社代表取締役。

 

目次

はじめに 小飼弾
Chapter1:カネ持ち、モノ持ちは、もはやダサイ!
Chapter2:知恵やコンテンツはそもそもフリーである
Chapter3:仕事の報酬は、カネから体験に変わる
Chapter4:会社、学校、家庭のいいとこ取りした新しい組織
Chapter5:個人という幻想が終わり、他人同士が家族になる
Chapter6:世界支配は、機械政府に任せてしまえ!
Chapter7:働かなくても飢え死にしない時代へ
Chapter8:沖縄と北海道は独立国に、日本は「合県国」に
Chapter9:『僕らはすでに豊かだ』からスタートしよう
Chapter ex1:貨幣経済の先にあるものは、どんな世界だろう?
Chapter ex2:未来について、みんなで考えてみよう
おわりに 岡田斗司夫

 

常識を逸した対談で目から鱗な話が盛り沢山

【書評】未来改造のススメ[常識を逸した偏見で自らをVer.Upせよ]

私は本書を通じて初めて岡田斗司夫氏を知った。本書は、岡田氏と小飼弾氏の対談本であるが、岡田氏いわく行間を読んでほしいということを強調している。その理由は、両氏が「早口」だからと説明しているためである。私は小飼弾の論弾を見ているため、小飼弾氏が早口ではないことを知っている。では、「早口」とはどういうことか?

答えは、「二人の共通知で話しているため二段飛ばしの会話になっている」ということだ。要は、本来であれば用語や会話の方向性等について説明が必要なのだけれど、阿吽の呼吸のようなもので省略しているということだ。それゆえ、行間を読んで楽しんでくださいというのが趣旨の一つなのである。

「Chapter ex2:未来について、みんなで考えてみよう」では、2010年8月23日、本書をテーマにして、公開読書(公開読書とは、岡田斗司夫が書籍の内容を要約・批評し、それに対して参加者が自由にツッコミを入れるというイベントです。)をTwitter上で行っている。

行間を読んだ参加者が、批評や感想を自由に言い合っている様子は、様々な内容についての議論ができる場を提供することができる、本書のポテンシャルの高さを感じ取ることができた。一般の方たちが参加する、公開読書が盛り上がるくらい本書は面白かったのである。

小飼弾氏の本を読んでいつも思うのは、言っていることが常識から逸しているということだ。それは目次を見ただけで理解できるだろう。以下に参考となる発言を列記する。

懸命に働くのはバカでもできる。僕らは何も考えたくないからこそ、一生懸命に働く。働くことは、バカの免罪符なんです。

実際に自分の筋肉を動かさないとできない仕事は、必ずやらないとダメ。どうしてそれが必要なのかというと、今のところ筋肉の動きを完全にデジタル化できていないからです。

大事なのは、いかに自分で「やらない」で、人に「やらせる」か。弟子が自分たちで勝手にやったと思い込めるように導くことが大事。自分の手を動かすのがあまりに好きな人は、ビジネスには向いていないんですよ。

こういうのもなんですが、貨幣経済の方が、自分が気持ちよくなるための脳みその量は少なくて済みますね。つまり、バカ向きということです。

では、常識とは何か?本を遊ぶでは、アインシュタインの言葉を借りて以下のように説明している。

アインシュタインは「常識」を何と定義したか、ご存じですか?「18歳までに得た偏見」です。

常識とは偏見の集まりであって、良識のようなものと混同してはいけないのである。本書は、岡田・子飼両氏の偏見をまざまざと知ることができる。それは常識と言われている偏見とはまったく違うところにあるのだ。それゆえ目から鱗な内容も多々出てくるのである。

 

BIとAIと日本の未来

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本対談で最も私に響いた言葉は、「僕らはすでに豊かだ」ということを前提として、「僕らは一体何に怯えていたんだろう?」ということである。

確かに、今はもう食うに困ることはないかもしれない。お金が無ければ食べられないというならば、公的手段を講じて生活保護を活用するのもいいだろう。もしくは、知り合いから食材を分け与えてもらうのも一つの手段かも知れない。

すると、仕事は生活して行くうえで必要ではなくなるのである。本書でいう義務ではなく権利になるということだ。出会いを求めるために仕事をする。やってみたいことがあるから仕事をする。体が鈍るから仕事をする。少し贅沢な食事をしたいから仕事をする。といった具合である。

本書ではベーシックインカムや機械政府についても議論しており、どれも目を見張るほど内容が濃くて面白い。ベーシックインカムは既に他国で実験的試行が行われているが、日本でも国単位ではなく地方自治単位で行ってほしいものである。

特に興味が湧いたのは機械政府で、人間しかできないこと以外は機械に任せてしまえ論である。これについては目から鱗であった。国の意思決定をAIに任せてしまえなのである。国民の意見を吸い上げて、最良解を出す。そこに私利私欲や派閥、権力闘争は無いのである。

むしろ、官庁を始めとする公的機関は、AI導入により様々な経費(人件費や効率の悪さによる出費等)の圧迫を解決できるのではないかと思う。不要になった人手について雇用解除しなくても、他にリソースを充てれば良いだけの話である。今後は、より一層無駄が排除されていくことが予想される。

合理的であることは自分達の首を絞めることに繋がるかもしれないけれど、良い方向に向かうことを敢えて止めることはない。少なくとも、私の職場にAIを導入されれば、相当人数が不要になることは推測できる。それが不安に思えないようにセーフティーネットが担保され、より自由意志の志向で生活できるようになれば世の中はもっと住みやすくなるのではないかと思う。

 

現実に起こっている評価経済

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本書の最後の方に語られていた「評価経済」という言葉は面白かった。本書は2010年に発行されたので、今から約10年前になる。その時すでに岡田氏は「貨幣経済」の次は「評価経済」だと言っているのである。「評価経済」とは、評価を仲介としてモノやサービス、お金が交換される社会を指す。

既存の貨幣経済では、その名のとおり仲介役は「貨幣」である。貨幣をより多く持つものが評価される(資本主義では資本家だとか経営者等である)。評価経済は、評価があるところに貨幣が集まることを指す。今で言うインフルエンサーの類である(こちらの記事も参考になった)。

今ではインフルエンサーに価値を見出し、そこにモノやサービス、お金が集まることは常識となってきたが、当時から見据えていたのかと思うとやはり先見の明を評価せざる負えない。そういう私も貨幣経済と評価経済と明確に分けることができない(リンクするところが多いから住み分けできないのでは)ので、勉強のために岡田氏の本を読んでみようかなと思う今日この頃である。

最後に、最終章で行われた公開読書で、あるユーザーから以下のツイートがあった。

本書、無料公開されている第1章を電子版で読むのが思いの外快適だったのですが、全称を電子版で販売する予定はないでしょうか?

このツイートに対して、岡田氏の返信は以下のツイートであった。

アスペクトにリクエストすれば可能性はあると思うよ

今私が本書の電子版を読むことができたということは、上記ユーザー、いわば読者の意志が直接に反映された結果であるということが言える。そのことに若干嬉しさを感じた。また、各章毎に現れる両氏の写真が印象的過ぎて、この写真何故要るの?(笑) と思いながらも、次の写真を楽しみにしながら読んでいる自分がいたのは変な感じであった。読む機会があればお楽しみに。

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