【書評】学問のすすめ[学問を以って独立するべし]

【書評】学問のすすめ[学問を以って独立するべし]
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どうもタスです。

引越しに伴い荷物整理をしていたところ、過去に買った沢山の本達が出てきた。その中に買ったはいいけれど読んでないと記憶している本が。。。それが今回お伝えする「現代語訳 学問のすすめ」である。

とても有名な本ではあるが、本書のはじめにでも言われているように読んだことがない人が多いのではないだろうか。福沢諭吉といえば1万円札の肖像画であり、慶応義塾大学の創立者であり、明治時代の人であるくらいにしか分からない人もいるであろう。

当時、大ベストセラーとなった本書は、明治の文明開化だけにとどまらず、現代の我々にも響くものがある。そこで今回は、読書習慣を始めて47冊目の本として「現代語訳 学問のすすめ(ちくま新書)」を読了したのでお伝えする。

 

著者のご紹介

齋藤 孝(さいとう たかし)
1960(昭和35)年生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。著書多数。

私は「情報7DAYS ニュースキャスター」に出演している、甲高い声で優しい雰囲気のあの人だとすぐ分かった。テレビには多数出演している方である。

 

目次

はじめに –今、なぜ現代語訳か?
初編 学問には目的がある
第2編 人間の権理とは何か
第3編 愛国心のあり方
第4編 国民の気風が国を作る
第5編 国をリードする人材とは
第6編 文明社会と法の精神
第7編 国民の二つの役目
第8編 男女間の不合理、親子間の不条理
第9編 よりレベルの高い学問
第10編 学問にかかる期待
第11編 美しいタテマエに潜む害悪
第12編 品格を高める
第13編 怨望は最大の悪徳
第14編 人生設計の技術
第15編 判断力の鍛え方
第16編 正しい実行力をつける
第17編 人望と人付き合い
解説
おわりに

 

「学問のすすめ」のススメ

【書評】学問のすすめ[学問を以って独立するべし]

冒頭でもふれたとおり、本書のはじめにの部分で、著者が教えている学生に本書を読んだことがあるか質問したところ、その結果、数百人に聞いても読んだことがある人はゼロだったそうだ。初編の発行以来9年間で70万冊も売れたベストセラーで、明治時代の当時の日本の人口は3,500万人であることを考慮すると、単純比較はできないが、現代では200万冊は優に超える大ベストセラーなのである。

齋藤さんは本書を読むにあたって、現代にも通用する具体的な技術に触れるのであれば第14~17章辺りから読んでも良いと仰っているが、私は第9章から読むことをおススメする。確かに、明治当時のまだ文明開化著しい初期の日本が色濃く反映された内容ではあるけれど、すでに第9章辺りから現代にも通ずる部分があると感じたからである。

もっと言ってしまえば、著者もそうであろうが、通読することをおススメしたい。西洋文明に対する羨望と畏怖の念が当時の日本にはあったが、現在でもグローバル競争に見られるように、外国人に対してそういう気持ちを抱く人もいると思うからである。その場合、当時の日本の状況を肌感覚で感じることで、少しは勇気付けられるだろうと思うからである。

何よりも口語訳ということでとても読み易い。文語体は青空文庫等で見られるかもしれないが、慣れていなければ苦戦することは必至である。著者も現代の言葉に訳すということで、元の意味を反映するために権利を「権理」と訳している。その理由は本編及び開設に譲るとして、口語で得られる本があることは幸せなことである。とはいえ、時間があれば原本にあたることはとても重要なことは言うまでもない。

 

不平等や不公平ではなく学問の差である

【書評】学問のすすめ[学問を以って独立するべし]

本書は書名のとおり「学問」を勧めているのだが、では一体「学問」とは何を指しているのだろうか?本書が指す学問とは「実学」のことを指す。それは以下の一節からも見て取れる。

囲碁や将棋などは簡単なものではなく、これらの技術を研究して工夫を追求することの難しさは、天文・地理・機械・数学の書学問と変わらないほどだ。しかし、その役に立つことの大小に至っては、比較にならない。いま、これらが役に立つかどうかをはっきりと知って、役に立つものの方を選ぶのは、すなわち心の見通しが良い人物である。心の見通しがよくなければ、いたずらに苦労するばかりで、働きに効果がない場合がある。

特に、冒頭では人間みな平等であり、偉い者・偉くない者、賢い者・愚かな物、商売上手・商売下手など、それらは学の差であるとハッキリ言っている。もちろん、時運などその他関係することもあるだろうが、先ず学が無ければ話にならないということである。

 

「学問」を以って「独立」とは何を指すのか

【書評】学問のすすめ[学問を以って独立するべし]

本書は、「学問」を学ぶことで「独立」せよということがテーマである。独立というのは、現代の我々からピンとこないものだが、明治初期の頃にはとても重要な概念であったはずだ。黒船来航により鎖国が解けたのと同時に、グローバル社会への扉が開けたからである(初めは受入れしかなかったのではあるが)。

しかし、その独立精神を当時のことで片付けることは安易なことで、何を以って独立というのかを知ることは1個人としてとても重要なことである。要は、国家独立とは個の集合が成せることであり、言い換えればシナジー効果である。いくらシナジー効果とはいえ、それぞれの個があまりにも弱ければシナジーも糞もない。心身ともに独立したければ学問を学べということである。この心身共にというところも非常に大事で、むしろ事物の独立より、心の独立を以って初めて「独立」したといえると理解した。

これはどの単位にも落とし込める非常に分かりやすい話である。それは学生であれば学生生活の自分の立ち位置でも良いし、社会人であれば会社での立ち位置でも良い。自分はどうあるべきかを考える良い機会になる。それらは本書の全編に詳しく書かれている。では、どうするべきかを考えるヒントを与えられるのが本書の後半になるのである。

 

どうするべきかは現代人にも共通する

【書評】学問のすすめ[学問を以って独立するべし]

それは各章題に明確に表れている。例えば、第14編の人生設計の技術では、「心の棚卸し」をススメている。

「過去十年間は、何を損して何を得たのか。いまは何の商売をやって、その繁盛のようすはどうか。いまは何を仕入れて、いつどこでこれを売りさばくのか。ここ数年、心の店の取り締まりは行き届いていて、遊び癖や怠け癖などという店員のために、損失を出したことはないか。来年も同じ商売を続けていて大丈夫か。ほかにさらに知性や人格を磨く工夫はないか」とあれこれの帳簿を点検して、棚卸の決算をすることがあれば、過去現在の地震の状態について、きっと不都合なところも見つかるだろう。

まさに自分を見つめることであり、人生の棚卸作業である。未来のことは分からないまでも、今までの自分を点検することで悪かったところを探しそれを改める、もしくは、良いところを探しその継続を検討する。自らの自制心が働いているのかまで、ひとつひとつ点検することが大事だと説いているのである。

併せて第16章も読むことで棚卸から実行力へ繋げる道を知ることができる。

 

分かりやすく面白い福沢諭吉の文体

【書評】学問のすすめ[学問を以って独立するべし]

解説に書かれているように、福沢諭吉は美辞麗句が嫌いな節がある。回りくどいことを言わず、終始貫徹して平易で簡潔な言葉で本質を言い表している。そこが読み易さであり、心に響く理由の一つである。その中で、例としての比喩は面白く、激しい畳みかけは見ていて爽快な気持ちになる。

例えば、以下は見た目の印象も重要なことだという説明である。

肩をすくめて愛想笑いをし、お世辞と諂いで太鼓持ちのような媚を売るのは、もちろんよろしくないが、かといって、苦虫を噛み潰して、熊の肝をすすったような表情で、黙っていることが称賛に値し、笑えば損になるかのようにして、年中胸の痛みを患っているかのように、生涯両親の喪に服しているかのようにしているというのお、またたいへんよろしくない。

この畳みかけは至る所で見れる「あるある」と頷いて笑えるポイントである。

 

おわりに

学問を通じて心身ともに研鑽し、独立の気概を持って行動し、やるからには文明に貢献するくらい大きな事業を興せよと言われるがおののくなかれ。この話を自身のレベルに照らし合わせて読み解くことこそ本書の意味があるのだと思う。生涯学習は人生を幸福にする一つの手段であることも言外に溢れているような気がしてならない。

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