【書評】性転換する魚たち -サンゴ礁の海から- [合理性の結晶]

【読概】性転換する魚たち -サンゴ礁の海から-
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どうもタスです。

今回は読書習慣を始めて11冊目の本となった「性転換する魚たち -サンゴ礁の海から-」についてお伝えしたいと思います。ファインディング・ニモで有名なクマノミですが、性転換するって知っていましたか?

オスからメスになる(雄性先熟)特性を持っているというのです。なぜそんなことが必要なのか?性差とは?性とはどのように決まるのか?本著は、それらのことを魚類行動生態学・社会生物学専攻の桑村哲生さんが丁寧に解説してくれます。

 

桑村哲夫とは?

1950年兵庫県生まれ。1978年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。中京大学国際教養学部教授。サルの社会システムに関する研究から魚類に転換。以降、沖縄のサンゴ礁の海に潜って、魚の行動や生態を観察し、性転換等について進化要因を研究する。

 

目次

1. 魚たちの性転換―ホンソメワケベラとの出会い
2. 性とはなにか
3. 魚類の配偶システム
4. 性転換の進化理論
5. ダルマハゼの謎を解く
6. 逆方向の性転換
7. 性はどのように決まるのか

 

魚類というか生物で性転換?

【読概】性転換する魚たち -サンゴ礁の海から-

生物とは何か?

 

進化とはどういうことか?

 

ときて、今回は性とは何か?に触れることができました。

性転換といわれて思い浮かぶのが「性同一性障害」でしょうか。金八先生での上戸彩だったり、新宿二丁目界隈の方々だったり(タイプは多種だと聞いたけど)、私はそういうのしか想像できませんでした。それも脳と体の性差が一致しない症状なので、可能であれば性転換することが望ましいですよね。本著では、魚類の性転換に焦点を当てながら、それを特に社会システムと関わり踏まえて、進化生物学的視点から説明されています。

 

なぜ性転換する必要があるのか?

【読概】性転換する魚たち -サンゴ礁の海から-

そもそも、性転換とは「ある生物個体の性別が生涯のうちに変化すること」を言います。変化するのです。性転換手術をして強制的に変えることではなく、自然と体が変わることをいうのです。そこで、なぜ性転換する必要があるのかってことが気になりますよね。それは自分の遺伝子を引き継いでくれる子孫を残すことを最大限に考えているためです。

性転換してもなお、最大限に活かせるならば「性転換のコスパが良い」といえ、進化した過程でそういう機能が備わったのではないかと言われています。また、コスパが良いかどうかを判断する基準は複雑で、それは性を決定する以下の要因に深く関係します。

  • 社会的要因
  • 環境的要因
  • 遺伝的要因

社会的要因は、例えば、クマノミは一夫一妻制だけどホンソメワケベラは一夫多妻制だし、一夫多妻制の中でもハレムの形成の仕方も違ったりするので、種の社会システムが繁殖戦略に強く影響します。

また、環境的要因は外界の温度だったり酸性・アルカリ性で決まる生物もいるし、遺伝的要因は人間であれば性染色体によって性別が決まります。そのような「性転換しなければならない」複雑な状況が発生するために機能として備わっているんですね。とっても合理的で、まさに自然選択だなと感じました。

 

合理性を追及された姿に共感する

【読概】性転換する魚たち -サンゴ礁の海から-

本著では「一夫多妻制なのに、多妻の中の1尾が性転換して雄になり、多妻の幾尾かを持って行って自身のハレムを形成する」という、人間社会でもありそうなドロドロ劇が繰り広げられていることも説明されています。

霊長類だけでなく魚類でも絵に書いたような昼ドラ劇があるのかと感心しましたが、その理由は「雄の管理能力を超える雌数が存在するため」だそう。生存する、または子孫を残すという目的のため、生物の合理性をまざまざと見せつけられると、人間にはその合理さがなぜ無いのだろうかと、現代の問題も少なからず解決できることはあるのではないかと思ってしまいます。

例えば、男性より稼ぎの良い女性がいる夫婦で妊活するとしたら、女性が妊娠及び出産活動をするために産休から育休に入るのは合理的とはいえず、そうであれば、男女が性転換して元男性が妊娠および出産活動すれば良いのでは?なんて思います。そんな事例は山ほどありそうですよね。少なくとも私も合理性重視の人間なので、本著は読んでいて腑に落ちる具合がとても気持ち良かったです。

無駄がない、必要だからそのような能力が備わっていて、不要であれば退化する。首尾一貫してパズルの作り方を解説してくれているかのような感覚は、合理性主義にとってはとても入りやすい内容だと思います。

 

まとめ

今回は「性転換する魚たち -サンゴ礁の海から-」についてお伝えしました。生物は知れば知るほど面白く、性転換も進化の過程で備わった特殊能力であることが分かりました。とはいえ、進化自体に意味があるため、性転換もなければならない重要な能力であることも理解できました。

ただ、本著の最後に書かれていた「予想もしていなかったタイプの性転換」とはどのような現象なのかは気になるところです。科学の世界というのは完璧に解明されることはないのだろうかとつくづく思ってしまいます。

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