【書評】地球温暖化の予測は「正しい」か?[予測の幅を狭める職人]

【書評】地球温暖化の予測は「正しい」か?[予測の幅を狭める職人]
この記事は約7分で読めます。

どうもタスです。

地球温暖化はニュースやインターネット、新聞や街中の広告等、目に触れないことはない。それは世界を上げて警鐘を鳴らしているし、世界を上げて対策しようとしていることだからだ。しかし、実際に地球温暖化とはどういうことを指しているのか説明を求められても具体的には答えられない。少なくとも私はそうだ。地球規模で気温が上がるということくらいか…。

そんな疑問を専門家が素人にも理解し易いようにまとめてくれた本が本書である。本書は、書名のとおり「正しい」か?ということに対する回答を目的としているが、そこに行きつくまでに温暖化とは?それを予測する手法とは?その結果どういうことが分かったのか。そして何が分からないのか。それらを網羅して説明してくれる。

そこで今回は、読書習慣を始めて34冊目の本になった「地球温暖化の予測は「正しい」か?不確かな未来に科学が挑む(DOJIN選書)」についてお伝えする。

 

著者のご紹介

江守 正多(えもり せいた)
1970年神奈川県生まれ。97年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了。博士(学術)。97年より国立環境研究所勤務、2006年より国立環境研究所地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室長。海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センターグループリーダー(2004年より)ならびに東京大学気候システム研究センター客員准教授(2006年より)を兼務。専門は気象学。

 

目次

第1章 地球温暖化はどんな問題か?
第2章 未来をどうやって予測するのか?
第3章 コンピュータの中の地球
第4章 なにが予測されているのか
第5章 地球温暖化の予測は「正しい」か?
第6章 地球温暖化予測の今後

 

地球温暖化とはどのような現象なのか

【書評】地球温暖化の予測は「正しい」か?[予測の幅を狭める職人]

そもそも温暖化とはどういう現象のことをいうのか。それが分からなければ対策も考えようがない。地球は太陽の電磁波エネルギー(可視光線)により温められている。そして、あらゆる物質は、その温度に応じた電磁波を必ず出すという物理法則から、地球も電磁波(赤外線)を出している。さらに、温度が高ければ高いほど高エネルギーの電磁波を出力する。

上記のことから、太陽からの電磁波エネルギーの一部を地球が吸収し、その吸収した量と釣り合う形で地球も電磁波エネルギーを放出しており、そのエネルギーの大きさから地球の温度も決まるというわけだ。その温度は-19度であることが知られている。とても寒くて、住むには耐えられない温度であることは言うまでもない。

しかし、そこを助けてくれているのが大気で、いわゆる「温室効果ガス」である。温室効果ガスは、地球が放出する赤外線を吸収し、再放出する。再放出された赤外線は再度地面で吸収され、再放出を行う。よって、地面で吸収する電磁波エネルギーは大きくなり、それと釣り合う形で地球は赤外線を放出するため温度が上がるのである。そのために地球の平均地表温度は14度で保たれているのである。

温暖化として問題視されている現象は、大気中の温室効果ガスを増やすことで平均地表温度を上げることをいうのである。温室効果ガスはもともと備えられている地球の機能で、人間にとって必需である。温暖化と温室効果ガスを混同させて考えてはならない。

 

温暖化予測の流れと困難さ

【書評】地球温暖化の予測は「正しい」か?[予測の幅を狭める職人]

温暖化の指標は、昨今のニュースで話題(京都議定書やパリ協定)になっているとおり「二酸化炭素」である。温室効果ガスは、水蒸気、二酸化炭素、オゾン、メタン、亜酸化窒素等から成るが、その中で人間が排出する比率が最も多いのは二酸化炭素だからである。二酸化炭素は、化石燃料を燃やしたり森林伐採することが増加要因と分かっており、人間の生活に欠かせない、特に化石燃料に至ってはとても重要なことなのである。

では、温暖化をどのように予測しているのかというと以下のサイクルを回すようだ。

1.将来の世界の社会経済活動はどのように発展するか。
2.人間活動によって温室効果ガスやエアロゾルなどの物質が、どれくらい大気中に出ていくか。
3.大気中に出ていったそれらの物質がどれくらい大気中に残り、大気の成分を変えるか。
4.大気中の成分の変化が、気候をどのように変えるか。
5.気候が変わると、人間社会や生態系にどんな影響が出てくるか。
6.その影響を抑えるために、世界の社会経済活動をどのように変えていくか。

これを見ると、温暖化予測はとても広範囲の分野が携わり全体解として検討するべき問題なのだと理解できる。著者の研究領域である気候予測は3.と4.が対象である。予測手順を見ただけでも困難性が伝わるのに、ここに多数の不確実性が内在しているのである。その不確実性が予測の困難性をさらに高める理由であり、温暖化対策を困難にする最大の理由なのである。

 

予測は正しい、けれどまだまだ続く

【書評】地球温暖化の予測は「正しい」か?[予測の幅を狭める職人]

著者の書名に対する答えは、

前提条件が正しければ、不確かさの幅の中に現実が入るだろうという意味において、「正しい」

と述べている。この前提条件(社会経済活動等)、不確かさ(各フェーズに紛れ込む不確かさ)、幅(現時点での研究結果の幅)が温暖化予測のキーポイントになっており、未だ明らかになっていない問題に挑み続けることで「予測の幅を狭め」ようとしているのだと言っているのである。

ただ、それが相当難しいことだというのは本書を読んでいて痛感した。その理由は、未だ解明されていない気候の複雑性(カオス)、シミュレーションを行うマシンのスペック(スーパーコンピュータ)の両方に存在する。しかも、それぞれで独立した問題もあれば、両方にまたいだ問題もある。よって、解析するためのマシンスペックが向上したからといって自然の法則を解き明かすことができるかといえば、そうでもない。

現時点では、論理的手法と経験的手法を半々で用いた気候モデルを作成していることから、逆に言えばそれだけ解明されていないこともあるのだと言える。しかも、結局、予測が当たるかどうかは結果を見てみなければならないうえ、予測も天気予報のように確率的予測ではなく、「実際には確定しているが未知である値についての測定値の信頼度を予測する」ことなのである。

ハッキリしていることは、年々地球の地表温度は上昇しているということと、大気の二酸化炭素濃度は増しているということだ。前述のとおりこの二つは相関しているため、やはり対策は必需だということである。そして、著者を始めとした研究者の地道な活動が我々が住む地球の未来を明るく照らしてくれることを信じて止まない。

 

おわりに

地球温暖化対策というフレーズばかりが先行して、温暖化とは何か?に即答できる人が少ないのではないかと思う。ましてや、それをどのように予測するかなんて見当もつかないのではないか。

本書は、予測の過程を細かく説明してくれるため、今まで話した要約を詳しく知りたければ是非手に取って見て頂きたい。映画「不都合な真実」で、温暖化による海面上昇が6メートルという話があるが、それは本当なのか。異常気象が多くなるのか。台風は増えるのか。そんな疑問にも丁寧に答えてくれる。

 

類書


地球温暖化による「影響」に絞ってお伝えする。

 


異常気象を温暖化との関係からお伝えします。

スポンサーリンク


Pocket


SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA


タスlife