![【書評】住宅ローンはこうして借りなさい[後悔の無い借り方を]](https://tasulife-23.com/wp-content/uploads/2020/01/00.jpg)
どうもタスです。
前回に引き続き、読書習慣を始めて24冊目の本になった「住宅ローンはこうして借りなさい(ダイヤモンド社)」についてお伝えしたいと思います。書評に絡めて住宅ローンの知識としてお伝えしたいこともまとめているため、2回に渡って記事を書いています。第一回目は以下をご覧ください。
前回は、本書の主張すること、自己分析の大切さ、手放しで変動金利プランを良いとは言えない理由についてお伝えしましたが、今回も引き続き本書の感想と住宅ローンについて私が調べた内容や意見なども含めてお話ししたいと思います。
この記事の目次
金利が上がった場合は固定金利タイプに乗り換えれば良いでしょ?
前回の記事で、変動金利タイプは金利上昇の局面では不利になるリスクを抱えていることをお伝えしました。であれば、変動金利が上昇してきた頃合いを見て、固定金利タイプに乗り換えればリスクヘッジできるのでは?と思った方もいると思います。なぜなら、私もそうだったからです(いつも落とし穴にはまっている…)。
では、本当にリスクヘッジになるかというと、この答えもNOです。なぜなら、変動金利の指標である短期プライムレートが上昇する前に、固定金利の指標である「長期金利」がすでに上昇している可能性が高いからです。よって、乗り換えようと思ったときには時既に遅しといった状態になるわけです。以下の記事が分かり易かったです。
どうやって見極めたら良いかは、経済学者でさえ分からないということなので私も分かりません。損切のごとく、少しでも長期金利が上がったタイミングで乗り換えるのが良いのかもしれませんね。もしくは、金利変動にビクビクするくらいであれば、固定金利、もしくは当初固定金利タイプにするべきでしょう。
それでも変動金利タイプに決めるなら必須である2つのルール
今はとにかく超低金利なので、それでも変動金利タイプを選択したい気持ちは分かります。景気だって一向に上向かず、消費税増税まで行ってしまった始末。あと5~10年くらいは金利も上がらないでしょう。と腹をくくり、変動金利タイプを選択しようとしている方へ以下の2つのルールを設けている銀行を選択してほしいと思います。
- 5年ルール
- 125%ルール
変動金利タイプの金利は、基本的に半年に一度金利が見直され、その時点の金利が適用されます。しかし、金利が上昇した場合でも元利均等返済の場合は(元金均等返済の場合は関係なく返済金額が増えます)返済金額が増えません。その増えない期間が5年間なので「5年ルール」と言われています。
ただし、金融機関に支払う金額が変わらない訳ではありません。返済金額が見た目上変わらなくても、返済金額に対する利息の割合は増えています。そのため、元金が減りにくくなり、その分のしわ寄せは必ず発生します。期間が延ばせるのか一括支払いなのかは分かりませんが、金利上昇によるペナルティは必ずあると思ってください。ただし、返済金額は5年間変わらないという保護ルールがあることを理解しましょう。
その5年後、返済金額が見直されるのですが、その際に増えても最大125%までですよというルールが「125%ルール」になります。このルールにより、金利が急上昇しても返済金額が同様に吊り上がることはありません。
このように、変動金利タイプの場合、特別ルールを設けている金融機関がほとんどですが、一部の金融機関(ネット銀行に多い)ではこのルールを設けていないため、いざ金利変動があった際のリスクを考慮して選択してください。
変動金利タイプの話の締めに、変動金利タイプについて誤解されている方も多くいるであろうことが以下の記事に書かれているので紹介します。変動金利は字のごとく、「変動」というくらいなので変動金利が下がれば、それに付随して金利も下がるんでしょ?と思っている方、読むこと必須でお願いします(またまた私も誤解していた人の一人でした)。
利息の支払いを最小限に抑えるためには
ローンを組むということは、現金の他に利息の支払い義務が生じるということです。元金は返済する必要があるとしても、利息はできるだけ最小限に抑えたいですよね。その場合に有効な手段は以下のとおりです。
- 頭金の充当
- 繰上返済を行う
利息計算は「借入金額・返済期間・金利」で算出できます。よって、そのうちの借入金額を頭金で打ち消すことで利息を減らせることができます。例えば、借入金額が3,000万円、返済期間が30年、金利が1%/年の場合の利息は「474万円」ですが、頭金を500万円入れる(借入金額が2,500万円)ことで「395万円」と約80万円もの差額が出ます。
また、繰上返済も効果絶大です。月々の返済内訳(元利均等返済の場合)は「返済額-利息=返済元金」で、利息は元金を基に計算します。よって、元金が減れば減るほど返済期間も短くなっていくのですが、繰上返済分は全て元金と相殺されるので、まさに返済期間短縮できる良い手段です。また、月々の返済金額は一定なので見た目分からないですが、元金が減るので利息も減り、返済元金の割合が増すこともメリットの一つです。繰上返済の効果として、期間短縮と返済額低減を選択することができますが、特別な理由がなければ期間短縮を選択することをおススメします。
また、利息計算に返済期間が関わることを先に話しましたが、返済期間は無理に35年にする必要はありません。長ければ長いほど利息を取られてしまうので、可能であれば短縮を検討されることをおススメします。
ミックス返済を活用して教育費ピークの前にローンを1本終わらせる
ミックス返済は本書で初めて知りました。結局、私は検討しなかったのですが、教育費がピークになる前に負担を減らせるなどメリットは多いように思います。要は使いようですね。他にも、金利タイプを混在させることでリスクヘッジを行うことも考えられるので、検討の一つにあげても良いかと思います。
夫婦共働きであればローン返済も二人で
ミックス返済は契約者一人が複数の返済プランを実行することですが、夫婦共働きであれば二人で返しちゃおうよと考えるのがごく自然。その場合は、収支合算(連帯保証・連帯債務)やペアローンといった形で返済プランを考えるのも手です。これもそれぞれ特徴があって話すと長くなるので割愛しますが、最も利用されているプランはペアローンですね。しかし、私は連帯債務がとても良いプランだと思っています。ただ、取り扱っている金融機関が少ないのがネックといったところです。連帯債務を行う場合は持分を意識して、相続税が発生しないよう注意する必要があります。
団信は自分に合うプランの検討を
また、住宅ローンと言えば団信ですね。団信とは団体信用生命保険のことで、住宅ローンの返済中に万が一(保険事故)のことがあった場合に、保険金により残りの住宅ローンが弁済される保証制度のことで、いわゆる保険です。
保険事故は様々で、最もスタンダードなものは死亡です。その他、三大疾病やがん保障、7大~11大疾病など多岐に渡ります。弁済方法も完済(100%保障)や半減(50%保障)免除だったり、一定期間の返済を保証するプランもあります。
いずれにしても、死亡保障は負担なしですが、保証を充実させればさせるほど金利に上乗せというパターンが一般的です(金利上乗せではなく、保険金支払いパターンもあります)。生保や医療保険に加入している人は、併せて見直す良い機会になるかと思います。
ただし、この場合も「利益」の絡むところに注意です。言われるがままオプションを増すのではなく、各種統計データを見て自分で必要な団信を判断することをおススメします。
統計のレトリックには気を付けましょう。
「2人に1人は癌になる」には年齢の視点が必要。若いうちから対策が必要かどうかは慎重い判断しましょう。https://t.co/QBC4tUMNKg @ZUU_ONLINEさんから— タスLife (@tasulife_23) January 3, 2020
住宅ローンは育児休業中に厳しいので慎重を期すること
夫婦共に育児休業を取得し、しかも住宅購入を検討している方に向けて言えることは、「住宅ローンは育児休業中に借り入れないこと」です。一億総活躍社会と言われて久しい昨今ですが、住宅ローン界隈では未だ少子化対策支援に乏しい状況です。女性だけならまだしも、夫婦共にとなると急にハードルが上がります。私自身も新生銀行にNG食らいました。。
新生銀行の住宅ローンは育児休業中は融資できないそう。収入云々ではなく、「育児休業中」だというのがネックらしい。これは育児世代にとってとても痛いし、現代に即した内容ではない気がするが…。少子高齢化に嘆いている割にはまだまだ厳しい部分があるな。#住宅ローン#育児休業
— タスLife (@tasulife_23) January 6, 2020
武蔵野銀行のように「産休・育休特例」を行っている金融機関もあり、他にもペアローンだと可としているところもあるので、条件はまちまちですがますが育休中の者を許容している金融機関はごく一部です。そのため、融資は育休前後のタイミングとなるよう調整した方が良いです。
なお、審査自体は育休中であろうが、産前産後及び育休に入る前の収入を加味するようなので問題なさそうです。その場合も、育児休業証明書(休職期間・復職予定時期の記載のあるもの)が必要になるという記載をよく見かけます。とにかく、融資されないとすれば問題外なので、慎重に行動することをおススメします。
育休中でも借入できる希望が無いわけではありません。現に武蔵野銀行のように特例を設けている商品もあります。しかし、自分が選定した最適解の住宅ローン商品を必ずしも融資可能ではないことを頭の隅に入れてプランニングするようにしてください。
おわりに
住宅ローンについては、本書を読んだだけでなく自らも色々調査したため、書こうと思えばネタがどんどん出てくる湧き水状態なのですが、一旦この辺で締めようと思います。今までお話ししたのは新規借り入れについてですが、過去に借り入れた方は乗換えという手段もあります。超低金利の今、乗換えは検討必須ですね。
その他に、各種制度の利用は必須です。住宅ローン減税、住まい給付金、次世代住宅ポイント等、消費税増税もあって制度拡充されたので、なおのこと利用しない手はありません。住宅ローン減税の利用を考えると、繰越返済や頭金充当などの考え方も変わってきますよね。
最後に、前回記事でもお伝えしたように、住宅ローン商品を選定する前に自己分析をすることがとても重要です。そのためには、色々と数字を扱わなければならないこともあるかと思います。そこで、私が利用した便利サイトや有用な情報を以下にお伝えして本記事を締めたいと思います。
住宅ローン返済の計算サイト
住宅ローンを計算するなら当サイトで全て賄えます。各金融機関のシミュレーションは正直ショボいです。大した計算はできません。当サイトでは、右サイドバーに関連ライブラリが表示されており、そこにはボーナス返済併用版や繰上返済版など詳細なシミュレーションを可能とする計算サイトが一覧で並んでいます。また、計算結果はスプレッドシートになっており、そのままExcel等の表計算ソフトにコピペ可能です。大変重宝するので、是非利用してみて下さい。
住宅ローン減税計算サイト
住宅ローン減税の計算を行えるサイト。消費税増税による制度拡充にも対応しています(素晴らしい!)。金利や返済方法等細かい点も考慮してくれるので、年次の元金が正確に算出され、それを基に減税額が導き出されます。制度を利用しない人はいないと思うので、当サイトもぜひ利用してみて下さい。
Excelで住宅ローンの計算をする方に
痒いところに手が届かず、結局は自前で全て計算したい方へ。Excelで住宅ローン周りの各種計算手法を教えてくれるサイトは沢山ありますが、私は以下のサイトが参考になりました。
- 借入金(住宅ローン等)の毎月の支払額を出すには(PMT関数)
- 返済額の元金と利息の内訳を調べる(PPMT関数/IPMT関数)
- ローン計算~途中で金利が変わる(当初固定金利等)場合(CUMPRING関数)
類書
ご自身で住宅ローンについてのブログを運営している千日太郎さんの著書。ブログは十分勉強になりますが、書籍で体系的に学ぶのも手です。
以前に書評した「土地と一戸建ての買い方」の住宅ローン版です。正直、この本とどちらを購入するか迷いました。決め手は、この形式の本とは異なる視点の本を読みたかったからです。どちらかに優劣があるわけではなく、とても参考になる本であることは請け合いです。
書名のインパクトが絶大な本書。さらにインパクトがあるのは、買い手ではなく売り手向けに書かれている点です。本書は、不動産営業マン向けに書かれており、買い手として裏側を知る重要な一冊になりそうです。