【書評】インターネット[インターネットの原理と意味の理解]

【書評】インターネット[インターネットの原理と意味の理解]
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どうもタスです。

私はIT業界で働きながら、いまだかつて「インターネット」というものの生い立ちを知りませんでした。せめて起源は「ARPAnet」だということくらいかと。。そんな知識でいた自分が情けなくなりました。

今回は読書習慣を始めて23冊目の本になった「インターネット(岩波新書)」を通して、インターネットの起源をもう少し深く掘り下げてお伝えできればと思います。やはり歴史は重要ですね。あれだけ巨大なネットワークって未知数でしたけれど、インターネットも人の子だと感じました。

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著者のご紹介

村井 純(むらい じゅん)
日本の計算機科学者。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長兼慶應義塾大学環境情報学部教授。JUNET設立者。WIDEプロジェクトFounder。日本ネットワークインフォメーションセンター (JPNIC) 理事。慶應義塾大学理工学研究科博士課程修了。サイバー大学客員教授。日本のインターネットの父とされ、「ミスター・インターネット」と呼ばれることもある。英語圏では「インターネット・サムライ」のニックネームを持つ。 -wikipedia-

本書にはまさに「ミスター・インターネット」の活躍が書かれていて、なぜそんな偉大な人も知らなかったのだとこれまたお恥ずかしい思いをしました。

 

目次

序章 インターネットの力
第1章 インターネットの仕組み
第2章 インターネットの空間
第3章 メディアとしての可能性
 一 コミュニケーションのアーキテクチャー
 二 ビジネス分野へのインパクト
 三 言語の問題
第4章 インターネットの変遷
第5章 インターネットの重要課題

 

インターネットはイノベーションの枠に収まらない現象に意味があった

【書評】インターネット[インターネットの原理と意味の理解]

今の時代、インターネットを知らない人はそういないと思います。インターネットは「ネットワークのネットワーク」だとか、「全世界を繋ぐネットワーク」と言われています。PCやスマホ、さらにはIoTによる家電や自動車など様々な機器がインターネットに繋ぐことが可能です。

本書は発行が1995年と、もうほぼ25年も前の話ですが、内容は今でも新鮮で、今ではどこでも接続できるインターネットの起源を知ることができます。知ると同時に、有難みを感じ、そのことによって著者の村井純さんを初め、当時インターネットに尽力していただいた皆様に感謝の気持ちが溢れてきます。

そもそも、インターネットが敷かれる前は、コンピュータネットワークが主流でした。いわゆる閉じたネットワークです。ホストに端末がぶら下がる形態で、目的が限定されているネットワークです。それがアメリカではARPAを始めとするWAN間接続から始まって、日本では大学LANの接続からインターネットが始まりました。

それが広がるにつれて、国境が無くなり、物理的・時間的制約すらも無くなっていきました。そうすると、国という概念が無くなり(ボーダレスになり)、それの秩序を保っていた法律や通貨の概念自体も考えさせられることになったのです。

本書の中でこのような表現がありました。

文化的、社会的な要求がこの方面での技術を大きく変え、技術が変わったら文化や社会もまた変わる、という相互作用がきわめて緊密であると意識したことは重要でした。この経験によって私は、テクノロジーと社会全体の活動が一体となって協調していかなければ技術の開発はできないと、はっきり思いました。

まさにインターネットはテクノロジーやイノベーションといった枠に収まらず、国の概念すら取っ払い、本来あるべき姿を再考する機会を与えてくれたことはとても重要でした。

 

インターネットの生い立ち

【書評】インターネット[インターネットの原理と意味の理解]

インターネットの起源はアメリカのARPAネットという国防総省の一機関ですが、その内実は高等研究の一環としてコンピュータ・サイエンスを研究するためのネットワークでした。当時はバッチ式のコンピュータが主で、数値計算等はカードに記述していたそうです(古過ぎて見たことがないけど…)。

計算のために利用する人たちがいる一方では、コンピュータ・サイエンティストの中でプログラムの研究をしていた人たちがいました。本来、計算のために利用する人たちはネットワークを必要としないのですが、プログラム開発者は、プログラムを含むデータ連携のためのネットワークを求めたのです。現在では普通に行われていることですが、当時としては画期的なことだったのです。

その後、コンピュータがバッチ式からTSS(タイムシェアリングシステム)へと進化することで、副次的に「データをコンピュータに蓄えることが可能」になりました。このことにより、プログラムの交換や共有すること(車輪の再発明防止にもなりますね)が求められ、有用な連携の要求を加速させました。これがコンピュータ・ネットワークの広がり、まさにインターネットの起源になったのです。

本書は、日本のインターネットの起源を第4章で説明してくれますが、これもとても面白いです。日本の場合は、大学間の接続(東京工業大学、東京大学、慶応義塾大学)が起源になっています。JUNETやWIDE、日本語化問題、電電公社民営化の絡み、岩波書店が拠点として絡んでいたこと等々、旗揚げから普及までを興味深く追うことができました。

 

インターネットの考え方

【書評】インターネット[インターネットの原理と意味の理解]

今更ですが、インターネットは中央集権的機関はありません。そもそも作りが分散的なのでそのような権威はどこにもいません。そのような流れで来たので、楽観的と言うか実際的・実質的という感覚が充満しています。まず考えるより使えるものを作ろう、できたら使ってみて、みんなが良いと思うものを広げていこう。「皆で」とか、「まず行動してみよう」とか、「良いもの」とか、あまり堅くない感じでいて、そしてポジティブで現実的。その結晶がインターネットなんだなと感じました。

ネットワークに日本語を乗せる「日本語化問題」で以下の話がありました。

「向こうが悪くてこちらが正しいのだから、こちらの主張を通すのだ」というのと、「たとえ向こうが誤っていたとしても、それが流布しているのだから、そのなかでどうやって動かすかを考えよう」というのとでは、考え方が違います。そして、後者の考え方は、日本のアカデミズムのなかでは通用しない議論でした。

結果的に後者を選択し、日本のインターネットエンジニアが進んでいく大きな方向性を決めることになったそうです。そういったことから、インターネットを物理的・技術的な特徴として捉えるだけでなく、様々な角度から見ることで色々な考察が可能だということが分かりました。そして、その視点を本書は与えてくれます。

 

おわりに

本書は技術的な内容は言語レベルで出てくることなく、とても噛み砕いて説明してくれます。冒頭でも言ったとおり、本書は発行から約25年も経ちますが、技術者かどうかにかかわらず、インターネットを利用する全ての人に読んでほしいなと思いました。

読んだ個々人がインターネットにどういう想いを持つかとても興味深いと思ったからです。そして、インターネットへの視点や切り口が多いことが分かったいま、今後も発展する可能性が充分にあると感じました。

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