【書評】日本再興戦略[日本を見つめ直し技術で再興を]

【書評】日本再興戦略[日本を見つめ直し技術で再興を]
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どうもタスです。

ミレニアム世代の私は、バブルの時代を知らない。もちろん、高度経済成長期なんてテレビか話の中でしか見聞きしたことがない。なので、日本が、国が、国民が活気づいていた頃の雰囲気を知らない。しかし、本書はそんな日本を再興する戦略を明確に言明する。

しかも、世界に対抗する手段をただ示すのではない。日本の歴史を紐解き、近代日本と現代日本の差を明示し、今後日本にあるべき姿を言明している。そして、それを成し遂げるための手段は「コンピューテーショナル」であり「デジタルネイチャー」だと説いている。

そこで今回は、読書習慣を始めて32冊目の本になった「日本再興戦略(幻冬舎)」についてお伝えする。

 

著者のご紹介

落合 陽一(おちあい よういち)
以下、本書より引用。

国立大学法人で教育に携わって、自分の企業を経営して、アーティストとして芸術作品を生み出し、国際会議や論文誌で研究を発表し、プロダクト作りに関わるテクノロジーとデザインに詳しい

超マルチな活動をされている方で、「教育・研究・経営・アート」の全てに携わっている。

 

目次

第1章 欧米とは何か
第2章 日本とは何か
第3章 テクノロジーは世界をどう変えるか
第4章 日本再興のグランドデザイン
第5章 政治(国防・外交・民主主義・リーダー)
第6章 教育
第7章 会社・仕事・コミュニティ

 

「欧米」の幻想と日本を知ること

【書評】日本再興戦略[日本を見つめ直し技術で再興を]

まず何が凄いかって、日本を理解するために「大化の改新」まで遡る。飛鳥時代のお話である。もちろん、今の主となる制度はここ150年ほどのものなので、話しの大半は近代日本についてだが、欧米に対する日本を現す起源がその当時まで遡ることで見えるというのだ。

これは非常に分かり易い。日本国には天皇という統治者がいるが、実質的な執行機関は別(政府)という統治構造を確立した。その歴史は1300年である。また、日本が明治時代に取り入れた西洋との対比として、日本は八百万の神に代表されるように多神教なのであるが、西洋は一神教を崇拝している。さらに、日本は集団や団体を重んじるのに対して、西洋は「個人は神のもとに平等で個人は神に対して直接責任を負うという考え方が主流。」と言われるように、個人主義なのである。

そもそも、日本の刑法及び大日本帝国憲法はドイツ式であり、民法はフランス式、日本国憲法はアメリカ式と、「欧米」という異なる国々の異なる思想を継ぎ接ぎを行うように取り入れたのである。本書で言っているのは、取り入れることが駄目なのではなく、適材適所、自分達に合う思想を取り入れることが大事だということだ。

そのために日本自らを理解し、「欧州」と「米国」との違いを理解した上で、上手に真似するべきところを真似すれば良いのだと説いている。

 

5Gの驚異的な力はすぐそこに

【書評】日本再興戦略[日本を見つめ直し技術で再興を]

第3章で登場する「5G」には度肝を抜かれた。ここまでレイテンシが激減する(1ミリ秒)ネットワークになるのかと。本書によると以下のようなことが起こるそうだ。

5Gがもたらす恩恵の重要な点は、「空間伝送」がとてもやりやすくなることです。「空間伝送」とは、ほかの人と3次元の空間を共有することを意味します。会議などが典型例です。

もう2次元ではないのだ。空間自体をネットワーク越しに転送できてしまう。「自動運転」の制御が飛躍的に向上することで通勤ラッシュという概念が無くなり、「MR」によるスポーツ観戦・会議・イーコマースが可能になることにより、臨場感の劇的な向上や「バーチャルで対面する」という今までにない感覚を味わうことができる。MRなのでバーチャルではなく、それはリアリティなのかもしれない。

さらには、低レイテンシを活用した人間の「触覚」すらも表現可能になるというのだ。それを応用したものが遠隔医療や遠隔介護の領域だ。実現することで時間のコストを大きく下げ、現場の人手不足も解消されるだろう。高齢者の見回りサービスすら自動化されている可能性もある。

このように、5Gによる低レイテンシネットワークの普及により3次元のリアルタイム中継が可能になることで世界のインフラに革命がおこり、次第に物質と映像の区別がつかなる。

これから2025年、2030年に向けて、世界は「デジタルネイチャー(計算機自然))」へ向かっていくはずです。この「デジタルネイチャー」こそが僕が未来を考える上でのキーワードです。

「デジタルネイチャ―」という質量の有無に依らない新しい「自然」の概念が誕生すると説いている。本当にマイノリティーリポートのような世界を描いているのだ。これは私達の子供世代の未来を明るくするだけでなく、私達の未来も明るく照らす意義のある情報だ。

 

トークンエコノミーで地方分権の復活を

【書評】日本再興戦略[日本を見つめ直し技術で再興を]

本書は「デジタルネイチャ―」を含む「コンピューテーショナル」な変革の実現を描いている。「コンピューテーショナル」な変革とは以下の内容だ。

コンピューターによる自動化や最適化によって人間が対応することによって回してきた社会システムを更新しうるということを意味しています。

この最適化を実現する手段として「ブロックチェーンによるトークンエコノミー」の考え方を日本に適用して日本を再興しようというものだ。その典型がビットコインに代表される仮想通貨を用いて、中央銀行が中心となった中央集権的な通貨システムを非中央集権的なシステムに変えていこうという目論見なのである。

例えば、国自体をICO(Initial coin offering)したエストニアに倣って沖縄県がICOすることがまさにそれだという。

トークンエコノミーとは、いわば、将来価値を現在価値に転換する仕組みです。沖縄トークンを例にすれば、「みなさんのお金を使って、沖縄をこんなふうにつくり変えて、こんなふうに経済を成長させます」という説得力のあるビジョンを描ければ、その期待に対してお金を集めることができるようになります。

そうすることで、住民税や固定資産税が主な税収である地方自治体が財源的にも国から自立し易くなり、さらに独自に地方を活性化させる可能性が高まるため、結果として日本全体が活性化するというわけだ。

この戦略は、冒頭に言った私の世代には画期的で希望に満ちたものだ。基本的に右肩下がりの雰囲気しか経験したことがない世代には、とても具体的で目から鱗な内容だった。一個人として、参加可能であれば参加したい思いである。「自分ができることと、自分がしたいことを分けて自覚し、ポートフォリオマネジメントすることが大事」のとおり、本書を読んで、自覚を変えていくことから始めようと意識できた。

 

おわりに

欧米の幻想と日本の自己分析を行うことで「敵を知って己を知る」(敵ではないが)の重要性を理解した。なんだか、今まであった違和感が読み進める毎に薄くなっていくように感じた。個性・個性と個性のない先人に言われる違和感は、歴史を紐解きすらもしないホワイトカラーおじさんの戯言なのだなと腑に落ちた。

本書に登場する技術は既に研究されており、且つ実用されているものまである。近い将来、当該技術を身近に感じることで生活水準は飛躍的に向上すること間違いない。その時、自分は今のままの生活をしているのだろうか。それとも「自分ができることと、自分がしたいこと」を確立して「ワークアズライフ」な生活を楽しんでいるのだろうか。

何より未来のホワイトカラーおじさんにだけはなっていないことを祈るばかりである。

 

類書


堀江氏と共著のベストセラー。この本もぜひ読んでみたい。

 


落合氏がとても大事にしている「教育」。私も生涯教育を実践していきたいので、興味ある内容です。

 


今から10年後までの世界を落合氏の視座で見れる本。

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