![【書評】中学校の「理科」を徹底攻略[面白い授業を見よう]](https://tasulife-23.com/wp-content/uploads/2020/03/00-6.jpg)
どうもタスです。
今回は中学校復習編として「理科」を学んだ。数学と違って、すっかり忘れていたのだが…、本書はとても分かり易く親しみやすい教科書であった。無味乾燥の感が否めない教科書とは言えない、何か読者を引き付ける魅力のある良書であった。
そこで今回は、読書習慣を始めて50冊目の本として「中学校の「理科」を徹底攻略(PHP研究所)」を読了したのでお伝えする。
<小学校の学び直し>
- 【書評】読めばわかる算数1&2[復習に最適な教材] ~ 小学校の算数はこれ一冊で。
- 【書評】小学生の理科[子供の学ぶ意識を呼び起こそう] ~ 小学校の理科はこれ一冊で。
- 【書評】小6 算数・国語・理科・社会・英語 寝る前5分暗記ブック ~ 小学校の総まとめは本書で日々少しずつ学ぼう。
<中学校の学び直し>
- 【書評】中学3年間の数学を8時間でやり直す本[予習復習のためのハンドブック] ~ 中学数学の辞書的用途に。
- 【書評】中学校の「理科」を徹底攻略[面白い授業を見よう] ~ 面白い授業で学びやすい。
- 【書評】中学歴史 平成30年度文部科学省検定不合格教科書[国史を学ぶ] ~ 日本の国史を学ぼう。
著者のご紹介
向山 洋一(むこうやま よういち)
1943年東京都生まれ。東京学芸大学社会科卒業後、小学校教師に。現在、日本最大の教師の教育団体TOSS代表。日本教育技術学会会長、上海師範大学客員教授。全国の小・中学校の教室から、成功した授業の具体的事例を集め、それを教師相互の「共有財産」として活用していくことを推進する。
小森 栄治(こもり えいじ)
1956年埼玉生まれ。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。現在、埼玉県蓮田市立蓮田南中学校教諭。「理科は感動だ」をモットーにした理科室経営と理科授業で、子どもたちを理科好きにしている。89年および03年に、ソニー賞(ソニー教育資金/ソニー子ども科学教育プログラム)最優秀賞を受賞。また03年には、第1回埼玉県優秀教員表彰を受ける。
目次
編者まえがき
はじめに
1日目 日本列島が揺れる、動く!
1 地震
2 火山・岩石
3 天気
要点超整理 地震/火山/地層/化石/天気
2日目 身近な科学を楽しもう!
1 光・音
2 台所は実験室
3 原子と化学反応式
要点超整理 光/音/酸・アルカリ/気体/化学変化
3日目 生物ってうまくできている
1 植物
2 動物
3 生物のつながり
要点超整理 植物/光合成/動物/血液/消化・吸収/生物のつながり
4日目 見えない力が見えてくる
1 力・圧力
2 電流
3 運動・エネルギー
要点超整理 力・圧力/電流/電流と磁界/運動・エネルギー
5日目 ぼくらの「星の子」なんだ
1 宇宙
2 細胞・遺伝・進化
3 環境
要点超整理 宇宙/細胞/環境
おわりに
教育とは学びとは
はじめにでは以下のように語られている。
私は「理科は感動だ」とモットーに、理科の楽しさを中学生に伝えられる授業を目ざしています。
感動とはどういうことか?それは本書を読むことで感じてもらうこととして、理科の楽しさを味わうことは、以下のことと語っている。
観察や実験が楽しいだけでなく、自分の頭で考え本当に理解したときに、学ぶことの楽しさを味わえて、理科が好きになるのです。得意になるのです。
そう、楽しさを味わうことで好きになり、その延長線上に得意になって、最終的に感動にまで昇華されることを著者は狙っているのだ。そして、ずばりそのことこそが教育であり、学びであると私も思う。
著者は人気のある先生だろう感じる理由
ということで、本書は冒頭にも話したとおり教科書ではない。単語の暗記でもなければ、理論の詰め物でもない。なぜそうなっているのか?という疑問を日常の身の回りにあるものに結び付けて、丁寧に解説する。その結果、中学校の理科の教材に出来上がったと言っても良い。
学校で人気のある先生は、大概、話が面白い先生が多かった。話が面白いとはどういうことかというと、聞いていて飽きない話をするということだ。では、飽きない話とはどういう話か。それは、学びの説明なのに、水を飲むようにすんなり体に吸収できるような話のことだ。この「なのに」というところが最大のポイントで、「勉強」という強迫観念を意識しないでいられない学生ならば誰もが求める感覚である。
自ら学びを欲するレベルに達している学生はあまり気にしないことかもしれないが、そうでない学生にはこの手の授業はとても重要だ。なぜなら、この授業から学びを好きになる可能性があるからだ。そのため、話が面白い先生は人気がある。
また、逆説的ではあるが、話が面白い先生は博識でもあることが多い。面白く説明するということは、それだけ説明の引き出しが豊富であることも忘れてはならない。結局、人気のある先生は博識であることも少なくないのだ。とはいえ、感じ方は十人十色なわけで、人によっては人気があるとは言えない先生だけれど、その授業が好きであることもなくはない。
全てが全て話が面白い先生にハマるわけではないが、本書は人気のある先生感がプンプンしている。なので、現役の学生はもちろん、当の昔に卒業した大人でも面白く読めてしまう。少なくとも、私はその感じで読めてしまった大人の一人である。
一項一項が充実した内容で飽きない
本書は、左に書いたとおり、日常の身の回りに紐付けて様々な現象を解説してくれる。例えば、以下は地震に関する解説の一部である。
- 日本列島では、平均すると毎日50回以上地震が起きている。
- 地震にはP波とS波があり、P波は初期微動という小さな揺れ、S波は主要動という大きな揺れである。
- マグニチュードは1大きくなるとエネルギーは32倍になる。よって、2大きくなるだけで1000倍も大きなエネルギーになる。
- 地震と震災は意味が異なる。地震は地震そのもの。震災は地震が原因で起きた被害のこと。
- 日本は世界の4プレートの境目にあるため地震大国だ。そのため、観測点を日本全国に1200か所設けている。
以上のことは、1日目の1の地震を読むと分かることだ。地震を扱う中で以上のことが深堀されて説明されているのだが、本項の内容を知るだけで地震の情報に対する耐性も上がるのではないか。なぜ地震速報が実現されたのか、地震の際に発表されるマグニチュードと震源地、震源の深さによってある程度地震の規模を考えることもできるのではないか。
本書は楽しく学ぶことを目的としている。よって、堅苦しい説明は一切ない。読み切り本みたいな感覚である。その中に、これらのような知識が散らばっている。
おわりに
最後に、「おわりに」の言葉を紹介して終わろうと思う。
これから21世紀を生きていく中で、あなた自身の意思決定、判断に科学的な知識や冷静な判断が求められます。「科学は真理の追求、工学は価値の創造」と、私は学生時代に学びました。
あなた自身は、科学や工学の成果をどう使うのかの判断をする必要があります。哲学が必要なのです。
一つは学びにより知識を得ることで情弱でなくなるということ。それによって科学的で冷静な判断が可能になる。二つ目にそれらの成果の使われ方、つまり哲学を学ぶこともできる。科学成果は使い方によっては善にも悪にもなる。
つまり、「自分の頭で考えられるようになる」ことが、学び知識を得ることの最大の目的であるということが言える。情報に満たされた現代はそのことを意識することがとても重要になるのである。
私も「人はみな生まれながらに知ることを欲する(アリストテレス)」を信条に、これからも読書を続けて行こうと思う。