【書評】「知」のソフトウェア[自分の方法論を発見するということ]

【書評】「知」のソフトウェア[自分の方法論を発見するということ]
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どうもタスです。

本書はほぼ私と同年代ということで、よくぞここまで半数を重ねただけある、とても面白い本だった。「自分で考える」ということの究極体が本書のいうソフトウェアなのだと思った。あくまで、ハードウェアではなくソフトウェアなのである。

そこで今回は、読書習慣を始めて95冊目の本となった『「知」のソフトウェア 情報のインプット&アウトプット(講談社現代新書)』を読了したのでお伝えする。

 

著者のご紹介(本書引用)

立花 隆(たちばな たかし)
1940年長崎県生まれ。64年、東京大学文学部仏文科を卒業し、文藝春秋に入社。66年に退社し、東京大学文学部哲学科に再入学。その後、評論家、ジャーナリストとして幅広い執筆活動を展開。

 

目次

1.情報のインプット&アウトプット
2.新聞情報の整理と活用
3.雑誌情報の整理について
4.情報検索とコンピュータ
5.入門書から専門書まで
6.官庁情報と企業情報
7.「聞き取り取材」の心得
8.アウトプットと無意識の効用
9.コンテ型と閃き型
10.材料メモ・年表・チャート
11.文章表現の技法
12.懐疑の精神

 

自分で自分の方法論を早く発見しなさい

【書評】「知」のソフトウェア[自分の方法論を発見するということ]

本は先に「まえがき」と「あとがき」を読みなさいとは言うけれど、本書の「あとがき」には副題である情報のインプット&アウトプットに関する要約が明確に書かれている。その内容とは、

最後にもう一度述べておくが、本書の内容を一言で要約すれば、「自分で自分の方法論を早く発見しなさい」ということである。本書を含めて、人の方法論に惑わされてはならない。

とても簡潔で、クリティカル・シンキングの効いたセンテンスである。しかし、本書を読むとこの言葉の意味が十二分に伝わってくる。指南書は沢山あるけれど、どれもしっくりこない。だから自分で最良の方法を考えた。その結果を本書で話す。けれど、それが誰しもピッタリ合うなんてことはない。だから話半分に聞きつつも、自分の最良の方法を探してくれ。ということである。

とはいっても、普遍的に適用できそうな方法論は本書に多く書かれている。

情報の分類の仕方、情報収集方法(情報源に当たる方法。インタビューも含めて)、コンピュータを利用することによる効率化(今となっては当たり前だけれど)、インプットとアウトプットの最も重要なこと、メモや年表、チャートの重要性など。

初版から36年経った今でも色褪せることなく、即日使える方法ばかりである。

本書を読んでいると、テクノロジーの進歩による作業の効率化を肌身に感じる。そして、日々接しているテクノロジーに感謝するとともに、もっと良い方法がないか考えようと意識するようになる。なにせ、当時は物理的なモノが情報源であったからである。

新聞・雑誌・書籍等、物理的であるがゆえに扱いも容易ではない。そもそもどこにあるのかという問題は情報収集の第一歩でありながら、とても難易度に幅のある問題でもある。その点、今ではデジタル化の波が激しくなって久しい。

インターネットを皮切りに、電子書籍、Google図書館プロジェクトなど、物理的制約の敷居はとても低い。さらに、アクセスする方法は、パソコンだけに留まらず、タブレット、スマホ等、移動体通信機器で接続できるため、地理的制約すらない状態なのである。

それ等の手段がなかった時代に、どのようにして情報を収集し、効率化を高めようとしていたのか。小手先のテクニックでは、最新機器を使用したところで「形から入る素人」のようなものである。本書からインプット及びアウトプットの基礎を学び、自分の方法論を考える土台作りをするべきである。

 

具体的で即日実行できそうな指南の数々

【書評】「知」のソフトウェア[自分の方法論を発見するということ]

本書は12の章に分けてインプット及びアウトプットについて様々な具体的ヒントを享受できる。中には、とても具体的に明記されており、即日実行できそうな内容も書かれている。その一部を下記に紹介する。

・専門書について

予算と相談の上で、定評、自分の好みとカンなどを頼りに、何冊かの中級書を仕込み、さらに予算に余裕があれば、高度に専門的ではあるが良書の定評があるものを一冊買う。現段階ではとても読みこなせそうもないものがよい。ときどきそれを開いて、自分にどの程度わかり、どの程度わからないかを見るだけで良いのだ。
それが何の役に立つのかというと、第一に、その世界の奥行きの深さを知ることができる。第二に、その奥行きの深さを尺度として、自分の知識と理解度がどの辺まで進んでいるかをチェックですることができる。第三に、専門書ほど方法論がしっかりしており、また、方法論をよく解説してあるから、方法論を学ぶことができる。

・インタビューについて

問うべきものを持つとはどういうことか。第一に、知りたいという欲求を激しく持つことである。欲求が情熱の域にまで高まっていれば申し分ない。欲求が充分にあれば、さまざまの問いが次から次に自ずから出てくるものである。それに対して、欲求がなければ、お座なりの問いしか出てこない。
次に、知りたい欲求は、質問の形を取って、整理されなければならない。その際に、まず、自分の知りたいことがどういうカテゴリーに属すことなのかを分析、検討しておくことが必要である。

・チャートを描くことについて

いいチャートを描くことは、そう簡単ではない。第一に、集めた材料をコンセプチュアルに分析し、整理するということがなかなかむずかしい。次に、コンセプトとコンセプトの間の錯綜した連関を発見し、それを図で表現することがむずかしい。これまた、まず描いてみるのがよい。描いてみれば、自分の考えの欠落を目で見ることができる。何度も何度も試行錯誤を繰り返しつつ、よりよいチャートを作っていくほかない。

これは数ある方法論の中のいくつかに過ぎない。本書にはそれぞれの章に必ず具体的なアドバイスが書かれている。大事なことは、どれも決して「目的が手段になって」いないことだ。どれも目的達成のための方法論である。本書のための方法論ではない。著者が言うように、そこを勘違いすると大変なことになる。

ふとしたタイミングで本書を日々の復習がてら読んでみようかという気持ちになる。毎日を意識して過ごさなければ、気付いたら堕落したソフトウェアになっているような気もする。けれど、著者は無意識こそ最良のソフトウェアであるとも言っている。

となると、その無意識こそ鍛えるべきではないかと思う。その無意識を表現するのは難しい。地頭とでも言うべきだろうか。そういうことを思い出すために、たまにパラパラめくろうと思える本である。

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