![【読書メモ】考える技術・書く技術[コミュニケーション力の総合術]](https://tasulife-23.com/wp-content/uploads/2021/11/04_R.jpg)
どうもタスです。
約1年半振りに記事を書く。ここまで久し振りだと書く技術も衰えている…と思ったので、久し振りに本著書を読んだ。
そこで今回は、読書習慣を始めて158冊目の本となった『考える技術・書く技術 問題解決力を伸ばすピラミッド原則(ダイヤモンド社)』を読了したのでお伝えする。
この記事の目次
著者のご紹介(本書引用)
著者:バーバラ・ミント(Barbara Minto)
ハーバード・ビジネス・スクール卒業後、マッキンゼー社に初の女性コンサルタントとして入社。文書作成に関する能力が認められ、ヨーロッパスタッフのレポート作成指導責任者となった。1973年に独立し、ピラミッド原則を用いたレポート作成、分析、プレゼンテーションなどの方法を教えている。世界の主要コンサルティング会社、さらにペプシコ、オリベッティ、AT&Tシステム、ユニリーバなどでライティングのコースを教えている。
監修:グロービズ・マネジメント・インスティテュート
グロービズグループは、ヒト、カネ、経営ノウハウを総合的に提供できるビジネスインフラを想像することによって、ビジネス・クリエーション/ビジネス・イノベーションのサポートを行っている。①情報・出版活動を行うグロービズ・マネジメント・インスティテュート(GMI)、②経営大学院のカリキュラムを提供するグロービズ・マネジメント・スクール(GMS)、③企業の組織能力強化を行うグロービズ・オーガニゼーション・ラーニング(GOL)、④ニュービジネス創造を目指すグロービズ・キャピタル(GCP)を擁している。
訳者:山﨑 康司(やまさき こうじ)
隗(かい)コンサルティングオフィス株式会社代表。経営戦略、販売流通戦略の専門家としてさまざまな経営コンサルティング活動に従事する傍ら、ロジカル志向・ロジカル表現や営業マーケティングなどの企業向け教育研究活動に従事。著書に『オブジェクティブ&ゴール』(講談社)、『P&Gに見るECR革命』(ダイヤモンド社)、訳書に『考える技術・書く技術』、『正しいこと』(共にダイヤモンド社)など。1976年東京大学建築学科卒業、1980年ペンシルベニア大学ウォートン・スクール卒業、経営学修士(MBA)。福岡県出身。
目次
序文
第Ⅰ部 書く技術
第Ⅰ部のはじめに
第1章 なぜピラミッド構造なのか?
ピラミッド型へ並べ替える
マジックナンバー7
論理を述べる必要性
トップダウンに配列する
ボトムアップで考える
第2章 ピラミッドの内部構造はどうなっているのか?
縦の関係
横の関係
導入部のストーリー展開
第3章 ピラミッド構造はどうやって作るのか?
トップダウン型アプローチ
ボトムアップ型アプローチ
初心者への注意
第4章 導入部はどう構成すればいいのか?
ストーリー形式
なぜ、ストーリー形式なのか?
「状況」の記述をどこから始めるか?
「複雑化」とは何か?
どうしてこの順序なのか?
「キーライン」とは?
導入部の長さは?
キーラインに導入部は必要か?
いくつかの共通パターン
方針を与える
支出の承認を求める
「ハウツー」を説明する
選択肢の中から決定する
いくつかの共通パターン・・・コンサルティングの場合
提案書
進捗状況報告書
第5章 演繹法と帰納法はどう違うのか?
演繹的理由づけ
その仕組みとは?
いつ使うべき?
帰納的理由づけ
その仕組みは?
どう違うのか?
第Ⅱ部 考える技術
第Ⅱ部のはじめに
第6章 ロジックの順序に従う
時間の順序
原因と結果を区別する
根拠となるプロセスを明らかにする
構造の順序
構造を作る
構造を書き表す
構造の変更を提案する
構造の順序を用いて考えを明らかにする
度合いの順序
正しい分類グループを作る
不適切な分類グループ化を見つけ出す
第7章 グループ内の考えを要約する
白紙の主張を避ける
行動の結果を述べる
具体的な言葉を使う
行動のレベルを階層化する
直接的に要約する
各結論に類似点を見付ける
構造上の類似点を見出す
より深い関連性を見出す
帰納的なジャンプをする
第Ⅲ部 問題解決の技術
第Ⅲ部のはじめに
第8章 問題を定義する
問題定義のフレームワーク
要素を配置する
導入句へ変換する
問題を配置する
スタートポイント/オープニング
懸念される出来事
R1(望ましくない結果)
R2(望ましい結果)
疑問を見出す
導入部へ展開する
実際の例
第9章 問題分析を構造化する
データ収集から始める
診断フレームワークを作る
構造を図式化する
因果関係をたどる
ありうべき原因を分類する
フレームワークを利用する
顧客の問題
分析のアプローチ
ロジック・ツリーを作る
解決の選択肢を明らかにする
グループ要約の欠陥を探す
課題分析を実践する
歴史
誤解
第Ⅳ部 表現の技術
第Ⅳ部のはじめに
第10章 文書構成にピラミッドを反映させる
構造を強調する
ヒエラルキー型見出し
ポイントのアンダーライン
数字インデックス
インデントによる右寄せ
ドット・ダッシュの箇条書き
グループ間の移行を助ける
ストーリーを語る
前を振り返る
章や節を要約する
全体を締めくくる
次のステップを述べる
第11章 文章表現にピラミッドを反映させる
イメージを創り出す
イメージを言葉にコピーする
追補A 構造なき状況下での問題解決
分析的問題解決における不明推測法
科学的問題解決における不明推測法
仮説を創り出す
実験を考案する
追補B 本書で述べた重要ポイントの一覧
監修者あとがき
訳者あとがき
ピラミッド原則とはコミュニケーションの方法論
本書はタイトルのとおり「書く技術」をもとに、書いたものを伝える技術、そもそも書く内容を考える技術、そこから派生して問題を解決する技術を示す。
その考えのもととなる原則は、著者が構想した「ピラミッド原則(Pyramid Principle)」である。よくヒエラルキーを表現する際に用いられる例の図がそのまま書く・考える・問題解決・表現の方法論に用いられているのである。
ピラミッドの原則は以下のとおり
- どのレベルであれ、あるメッセージはその下位グループ群のメッセージを要約したものでなければならない
- 各グループ内のメッセージは同じ種類のものでなければならない
- 各グループ内のメッセージは論理的な順序で配置されなければならない
最も伝えたい主題をピラミッドの頂に置き、それをサポートする説明群をその下位に配置する。それ等の説明群は主題を説明するものだから任意の内容でグループ化されており、説明に適した順序で並んでいる必要がある。それ等説明群をサポートする説明が必要であれば、またその下に説明群が配置される。主題に関する説明が一通りできるまでQ&A形式で下部が拡大されていく仕組みである。これがトーナメント表のように拡大されていく様はピラミッドの形を形成していくわけで、ピラミッド原則となるのである。
伝えることとは自身のイメージを相手に正確に復元すること
本書の本質は訳者あとがきに記載されているので抜粋する。
本書は、プロのみならず一般ビジネスマンの方を対象に、明快な文書を書くということを通して、いかにビジネスの諸問題を考えていくかそのアプローチ手法に迫っています。さらに言えば、いかにして書けばよいかというテーマを通じて、実は、いかにして考えればよいかという本質論を具体的に論じています。
書くということは、書いた結果の物(成果物)がある訳で、それはなぜ書いたのかというと、読者に何かを伝えたいためである。では、そもそも何を伝えたいのか?ということが明確になっていなければ、伝えたところで読者も「?」となるか、相違あるままに理解することになるだろう。その相違を正すためには、書いた本人が本人の思っている内容を正確にアウトプットしなければならない。結論として、考え方を明確にすることが本質であることが理解できる。
本書は読み進めれば進めるほど本質に近づいていくのだが、最終章はまさに上記の内容が反映されたものとなっている。特に、第11章では「イメージ」という概念を取り上げ、これが筆者と読者を繋げる概念であると主張する。
要約すると、頭の中にある考えの関係を、あえて目に見えるように描いてみること、これこそがわかりやすい表現をするための秘訣なのです。頭の中にはっきりとしたイメージを持つことができれば、それをそのまま明確な文章に置き換えることができ、読み手はそれをそのまま理解し把握することができるのです。しかも、読み手にはこの知識をイメージの形で記憶することができるというおまけもあります。
このイメージがしっかり湧けば、書く技術で明確に伝えることができるだろう。逆に、このイメージがしっかり湧いていなければ、考える技術、問題解決の技術で明確にする必要があるだろう。
問題解決上の考え方
問題解決とは字面のとおり「問題」を解決することである。では、問題とは何であろうか?
問題とは、何かの事柄に対して、現状とあるべき姿のギャップのことを指す。そのギャップを解決し、あるべき姿にしようと解決することが問題解決なのである。
本書P272には(追補A 構造なき状況下での問題解決)、分析的問題解決法における不明推測法ということで、そもそもの構造が説明できない問題へのアプローチ法が説明されている。考え方は演繹法や帰納法と近いものであるため、同並びで説明する。
- 演繹法
- 帰納法
- 不明推測法
また、各法の説明のために本書のとおり3つの基本要素を使用する。
- ルール(世の中の物が形作られるその方法についての考え)
- ケース(世の中に存在し観測される事実)
- 結果(「ケース」に「ルール」を適用した場合に予測される出来事)
この基本要素のうち、どの要素からスタートして問題解決していくかにより用いるべき考え方が決まるということが示されている。
演繹法
≪具体ケース≫
ルール:もし、価格を高く設定すれば売上は低下するだろう
ケース:価格を高く設定した
結果:それゆえに売上は低下するだろう
≪汎化ケース≫
ルール:もしAならばBである
ケース:Aである
結果:必然的にBである
帰納法
≪具体ケース≫
ケース:価格を高くした
結果:売上が低下した
ルール:売上が低下した理由はおそらく価格が高すぎたためであろう
≪汎化ケース≫
ケース:A
結果:B
ルール:もしAならばおそらくBであろう
不明推測法
≪具体ケース≫
結果:売上が低下した
ルール:売上が低下する理由のひとつは価格が高すぎるから
ケース:実際に価格が高すぎるかどうかチェックしてみよう
≪汎化ケース≫
結果:B
ルール:もしAならばBである
ケース:ことによるとAであろう
問題が発生した際、どう考えるかは上記のとおりプロセスのどこからスタートするかによる。結果のみ分かっており、ルールやケースが分からない構造不明な問題についても、何を知っていて、何が知らないか。何を求めるべきか。現状を知り、どういったプロセスを経るかを勘案した上で取り組むことが解決への早道に繋がる。