【書評】細胞の中の分子生物学[細胞内で働く巧妙なメカニズム]

【書評】細胞の中の分子生物学[細胞内で働く巧妙なメカニズム]
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どうもタスです。

「ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊」で立花隆氏による以下のような話があった。

アメリカの大学では文系、理系問わず、分子生物学が必修になっていますから学生がみんな読んでいます。

そこで紹介されていたのはブルース・アルバーツ著の本なのだが、日本の著作を発見したので読むことにした(なんかものすごく高い…)。そこで今回は、読書習慣を始めて117冊目の本となった『細胞の中の分子生物学(講談社 ブルーバックス)』を読了したのでお伝えする。

 

著者のご紹介(本書引用)

森 和俊(もり かずとし)
1958年岡山県倉敷市生まれ。1985年京都大学大学院薬学研究科博士課程退学。1987年京都大学薬学博士。岐阜薬科大学助手、テキサス大学博士研究員、エイチ・エス・ピー研究所副主任研究員・主任研究員、京都大学大学院生命科学研究科助教授を経て、現在、京都大学大学院理学研究科教授。小胞体ストレス応答研究の開拓者。ワイリー賞、カナダ・ガードナー国際賞、紫綬褒章、上原賞、朝日賞、ショウ賞、アルバート・ラスカー基礎医学研究賞、トムソン・ロイター引用栄誉賞、恩赦賞・日本学士院賞など受賞多数。

 

目次

はじめに
第1章 物質から生命へ
第2章 遺伝子からゲノムへ
第3章 DNAからタンパク質へ
第4章 細胞から細胞内小器官へ
第5章 タンパク質の形成と分解
第6章 驚異の復元力 –小胞体のストレス応答の発見
第7章 生命の基礎を解き明かす –ヒトの小胞体ストレス応答研究の最前線
おわりに
索引/巻末

 

細胞とDNAとタンパク質

【書評】細胞の中の分子生物学[細胞内で働く巧妙なメカニズム]

人間のいや生物を組織する最小単位は「細胞」であると思っていたのだけれど、違っていたようだ。人間は約60兆個の細胞で組織されている。その細胞内にはが存在する。そして、その核内には染色体があり、その中にDNAが存在するのである。

DNAは塩基配列から成り立っており、それらが暗号化しているものはアミノ酸配列である。DNAの塩基は「A(アデニン)、G(グアニン)、T(チミン)、C(シトシン)」から成っており、AはTに、GはCと対になる。それらは3文字が1組の暗号(コドン[codon])となって1つのアミノ酸を示すのである。

アミノ酸は全部で20種類あり、たんぱく質の構成成分として使用されている。以上のことから、DNAはタンパク質の設計図だということである。また、膨大な塩基配列のうち、タンパク質のアミノ酸配列を指定しているところを「遺伝子」という。

人間の細胞内には32億5400万塩基対という膨大な量のDNAがあり、うち遺伝子は2万7000なのである。塩基対の数に対して、遺伝子の数は少なく感じるけれど、なぜ少ないのかについてはまだ分かっていないようだ。

 

ゲノムと遺伝子及びDNA

【書評】細胞の中の分子生物学[細胞内で働く巧妙なメカニズム]

これだけ見てもとても興味深く、人間ってなんてすごいんだろーなんて感動してしまうのだけれど、この分子生物学が幕開けした特別な年として、1953年が挙げられる。その年に、科学誌「ネイチャー」にDNAの「二重らせん(double helix)」構造ジェームス・ワトソンとフランシス・クリックが発表したのである。

すべての研究成果が二人による達成であるかどうかは今でも懐疑的ではあるものの、遺伝の仕組みが解明されたことで研究が進展したことは言うまでも無いことなのである。

また、蛇足ではあるけれど、ゲノム(genome)と遺伝子及びDNAは似て非なるものであることを学んだ。人が人であるための遺伝情報をひっくるめてゲノム(ヒトゲノム)という。ゲノムは遺伝子やDNAを包含する、もっと大きな括りのプロジェクトなのである。その証拠に、遺伝子に似ているが機能していない「偽遺伝子」があることも分かったし、そもそも、ヒトゲノムのうち、タンパク質の情報が書き込まれている遺伝子領域はわずか1%程度だというから驚きだ。

 

細胞内で働き続けるメカニズムの解明

【書評】細胞の中の分子生物学[細胞内で働く巧妙なメカニズム]

上記内容はさわりであり、本書は細胞内のメカニズムを平易に説明する。とは言っても、やはり難しいのだけれど、本書の内容は著者が京大理学部で行う講義の集大成としてまとめたものである。「生命現象の生物物理学」という誰が受講しても良い講義の内容に、「分子生物学」「細胞生物学」のエッセンスを加味して作成したのである。

本書の本筋は上述の内容を基礎として、細胞内で何が起こっているのかに焦点を当てた話である。要は、DNAをもとにどのようにタンパク質が作成されるのか。そして、タンパク質がどのように細胞外に放出されるのか。細胞内ごみ処理はどのようになっているのか。タンパク質工場の内情はどうなっているのか。などである。

著者は2014年にアメリカのノーベル賞といわれるアルバート・ラスカー基礎医学研究賞を受賞した。もちろん、著者の研究内容である小胞体ストレス応答の話も本書には書かれている。そう遠くないうちに、ノーベル賞受賞研究の内容を自慢げに話せる日が来ることを願っている。

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