【書評】マネー・ボール[旧態依然に革命を起こす壮快ストーリー]

【書評】マネー・ボール[旧態依然に革命を起こす壮快ストーリー]
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どうもタスです。

野球に興味が無い私だけれど、「マネー・ボール」は聞いたことがある。ID野球(という言葉もかじった位でしかないのだけれど・・・)と同じように捉えていた。映画もやったような・・・程度に認識している状態で、関心は薄い。

しかし、本書は壮大なストーリーと迫力ある現場感、そして、何より旧態依然に迫る舞台裏の切迫感がとても面白かった。そこで今回は、読書習慣を始めて105冊目の本となった『マネー・ボール(ランダムハウス講談社)』を読了したのでお伝えする。

 

著者のご紹介(本書引用)

Michael Lewis(マイケル・ルイス)
アメリカを代表するベスト・セラー作家のひとり。ルイジアナ州ニューオリンズ生まれ。プリンストン大学で美術史の学士号を、また、ロンドン大学で経済学の修士号を取得。3年間務めたソロモン・ブラザーズを辞めた後、債券セールスマンとしての体験をもとに書いた『ライアーズ・ボーカー』でデビュー。同署は世界的なベストセラーになる。

中山 宥(なかやま ゆう):訳者
1964年、東京生まれ。主な訳書に『アップル薄氷の500日』(ソフトバンク)、『氷の帝国』(徳間文庫)、『コーチ』(ランダムハウス講談社)などがある。2003年からアスレチックス・ファン。

 

目次

まえがき
第1章 才能という名の呪い
第2章 メジャーリーガーはどこにいる
第3章 悟り
第4章 フィールド・オブ・ナンセンス
第5章 ジェレミー・ブラウン狂騒曲
第6章 不公平に打ち克つ科学
第7章 ジオンビーの穴
第8章 ゴロさばき機械
第9章 トレードのからくり
第10章 サブマリナー誕生
第11章 人をあやつる糸
第12章 ひらめきを乗せた船
エピローグ
あとがき:ベースボール宗教戦争
解説 丸谷才一:思考と生き方のためのマニュアル

 

丸谷才一の解説は必読

【書評】マネー・ボール[旧態依然に革命を起こす壮快ストーリー]

本書は、文庫版の巻末にある丸谷才一氏の「解説」を読めば大方理解できる。それほど、丸谷才一氏の書評は秀逸である。本書のストーリーの概略を説明し、最後に物語と読者の現実をリンクさせるための橋渡しを語っている。

まさに、本書は「思考と生き方のためのマニュアル」である。そのため、野球好きじゃなくても十分楽しめるのである。できれば、解説を丸々書きたいのだけれど、それは引用でも何でもないような気がするので控えておく。文庫版を立ち読み可能であれば、先ず「解説」は必読してほしい。

 

革命的な手法で常勝軍団を築く

【書評】マネー・ボール[旧態依然に革命を起こす壮快ストーリー]

さて、本書は、オークランド・アスレチックスのGMであるビリー・ビーンが、コストをかけずにチームを常勝軍団に育てるストーリーである。それは最もお金のかかるニューヨーク・ヤンキースの3分の1だというから驚かないわけにいかない。

本来、選手は活躍の見返りを報酬という形で享受するため、コストが少なければ選手への報酬も少なくなり、お金のかかる選手、いわゆるスター選手を擁することは難しいのである。

第1章は、チームの経営から遠ざかり、ビリー・ビーンGMの選手時代に遡る。なぜそんな回想を・・・?と思われるかもしれないが、この過去がとても重要で、マネー・ボールを実現させた原点であると言える。

ビリー・ビーンがGMになり、最初に改革したことはチームの経営方針を一新したことだ。というよりも、頭の中を180度入れ替えたと言った方が良いだろう。それくらい、当時にしては革命的なことであった。

 

コペルニクス的転回にどう適応するか

【書評】マネー・ボール[旧態依然に革命を起こす壮快ストーリー]

当時は、身体能力こそ選手の能力だと決めつけられており、且つプロのスカウトですらそう信じていた。そこに「科学」を持ち込んだのである。そして、野球を知らない「科学」の目を持つポール・デポデスタを側近としたのがまた革新的なのである。

今や私が好きなNBA(アメリカプロバスケットボールリーグ)は数字に事欠かない。ビックリするような角度のデータまで分析可能である。そんなアメリカのプロスポーツ界でも約20年前は、選手の評価が勘や感覚に左右されていたなんて信じられない。

更にビックリなことは、ビリー・ビーンGMにより「科学」がスポーツに有用であることが十分示されたのにもかかわらず、旧態依然軍団がそれを認めないことである。特に、著者が書いた「あとがき:ベースボール宗教戦争」で綴られていることを目の当たりにすると、腰が抜けそうになるくらい衝撃的だった。。

既得権益を守るためなのだろうか。何を示したいのだろうか。野球の発展よりも、個人の名誉や地位を守りたいだけなのだろうか。頼むから後者であると明言してほしい。でなければ、野球のコメンテーターを即刻辞任するべきである(そう、ジョー・モーガン、あなたです)。

この「あとがき」にも書かれているように、天地創造論者と進化論者が終わりなく言い争っているように見える。しかし、物事には「コペルニクス的転回」が起こる可能性があり、それを受け入れ、どうクリエイティブに扱うかがそれこそ進化論のように変化に適応した存在になれるかどうかなのである。

本書を読んで、考え方、まさに「生き方」を思い巡らせてみてはどうだろうか。

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