【書評】国家の命運[交渉事は「ロジック」が最も大事]

【書評】国家の命運[交渉事は「ロジック」が最も大事]
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どうもタスです。

「国家の罠」「ザ・ペニンシュラ・クエスチョン」と外交的内容が続いていて、今回もまた外交。むしろ、今までで一番外交的な内容になっている。その理由は、元外務事務次官である著者が外交官を担ってきた経験を十分に語ってくれるからだ。

そこで今回は、読書習慣を始めて102冊目の本となった『国家の命運(新潮新書)』を読了したのでお伝えする。

 

著者のご紹介(本書引用)

藪中 三十二(やぶなか みとじ)
1948年(昭和23)年、大阪府生まれ。外交官。大阪大学法学部を中退し外務省に。北米局課長、アジア大洋州局長、外務審議官などをへて、外務事務次官を2010年に退任。

 

目次

はじめに
第一章 「アメリカ離れ」のすすめ
第二章 日本的外交の限界
第三章 衰退する国家から転回を
第四章 外交交渉の要諦
第五章 北朝鮮はなぜ手ごわいか
第六章 海洋国家の矜持
第七章 アジアの中の日本
第八章 先進国首脳会議の裏側
終わりに

 

藪中氏が外務省の門を叩いた理由

【書評】国家の命運[交渉事は「ロジック」が最も大事]

藪中氏は大阪大学時代、大手銀行に就職しようかと考えていたところ、友人から外務省の専門職試験に受験しようと誘われた。いわゆるノンキャリア官僚への道である。その後、その友人は受験を辞退(なぜよ・・・)し、本人のみ受験することになり合格した。

その合格通知には今年限りの合格である。という資格試験ではなく採用試験である旨が書いてあった。そういう経緯があり、大学を3年次で中退し、外務省の門を叩いたのである。

その後、外務省の上司の首席事務官に、外務公務員Ⅰ種試験を勧められ受験する。たった一ヶ月間ではあるが、勤務後から深夜まで勉強して、見事パスするのである。これがいわゆるキャリア官僚への扉なのである。

以上を見ると、藪中氏は元々外務省を目指していたわけではない。あれよあれよと「なっちゃった」のである。この内容は「はじめに」に書かれていることであるが、人生、どう転ぶか分からないものだなと、そういう人が全うした外交という仕事にさらに興味を持った。

 

外交とは。交渉とは。「60対40」の原則

【書評】国家の命運[交渉事は「ロジック」が最も大事]

冒頭でも言ったように、外交的内容の本は続いて4冊読んだ。とってもセンシティブな分野で、どちらかの主張が一方的に0対100で収まることは有り得ない。だから難しいし歯がゆいのである。そして、0対100が正しいのかというとそうでもない。

さすがに北朝鮮の核放棄については、0対100で100が放棄すべしであるが、そういうケースは稀なのである。現に、本書でも「51対49」の原則という不文律を教えられた。交渉は結果が大事であり、少しでも有利な結果を勝ち取ることが目的であることから、著者は「60対40」くらいで考えをめぐらすようだが、それでも40は譲歩するのである。

また、交渉をする上で大事なことは、第四章で語られている。目次は章単位でしか書いていないため、第四章の項をいかに記す。

  • 敵を知り、己を知る
  • 自分たちの状況を知る
  • 互いを理解し、信頼関係を
  • オフェンスとロジックが大事
  • 交渉争点の絞り込みと節目づくり
  • 最終局面では、勇気をもって決断、決裂も恐れるな
  • 「51対49」の原則

敵自身を知り、敵の要望を知り、自分の状況を知り、互いに信頼関係を築きながら交渉を進める。進めるにあたって探り合いながら交渉争点を絞り込み、妥結を測る。それでいながら、最終的には決裂も恐れない信念も必要なのである。

もっともではあるが、交渉は多岐に渡る。自分の得意分野だけで外交が行われることは有り得ない。よって、専門家の参加はもちろんのことながら、本人も相応の知識が必要になる。対米経済交渉時に外務省の人間が、電波管理法、建築基準法と全く別分野の知識を入れ込まなければならないのは必然なのである。

交渉というのは勝ち負けではない。利害関係があり、国益が第一目標ではあるがそれだけではない。俯瞰して国際情勢を念頭に入れなければならないし、虫瞰して各省庁、ひいては各経済分野であったり、詳細詰めると各工業・食材項目など、全ての利害を勘案したなかで妥結を見出さなければならない。

私がそうであったように、外交というのは複雑で難しい世界である。ということを知る人は多くない。もっと知るべきであるし、拡散してほしい。そうすることで助かる人も中に入るだろう。

そう、私のように、無知なユーザーに、構造を理解しようとしないユーザーに、どのようにして情報システム部(仮称)という立場を伝えるべきか。ガキの使いではないと諭しているけれど。社内SEとして、業務システムとは「業務」そのものであることをどのように理解してもらうべきか。

一方的に説得するだけではなく、「49対51」の原則で相手の話も聞くべきか。いや、これはあくまで説明し理解を得るだけで、交渉ではない。自分の仕事はシステム開発ではない、ユーザー説得なのか?でないと、良いシステムは作れない。戦略的意思決定をする旗振り役がいない組織の中、鳥/虫瞰しながら舵を取り、組織として最も良いシステムを開発する。

その良いシステムとは?「システムの目的は何ですか?」と聞かれるが、実はまさにそれは我々が聞きたいこと。その要望のもと、我々は縁の下の力持ちとして支えるようにシステム開発を行うのである。あれっ?話の方向性が大きくズレた・・・?

いや、そう大きく外れていない。交渉という点では、舞台は大きく違うけれどとても参考になる本だった。不言実行や腹芸で落ち着くことなく、「ロジック」を明確にして今後も交渉にあたろうと思う。

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