【書評】はじめての 課長の教科書[日本型ミドルの強み]

【書評】はじめての 課長の教科書[日本型ミドルの強み]
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どうもタスです。

ビジネス書で「課長」という言葉を書名に冠している本はあまり見たことがない(検索したら結構あったけれど…)。意外かもしれないけれど、それほど課長の役割を軽視しているからなのだと思う。私もそのうちの一人なのです。

そんな日本型マネジメント理論を軽くあしらっていた私ですが、本書により多くのことを勉強させて頂きました。隣の芝は青く見える。まずは自己分析からということで、欧米型ばかりに目を向けてはいけないのです。

そこで今回は、読書習慣を始めて55冊目の本として「はじめての 課長の教科書(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」を読了したのでお伝えします。

おっ、、、Kindle Unlimitedにあったのか…。。古本を買ってしまった。。。

 

著者のご紹介

酒井 穣(さかい じょう)
1972年、東京生まれ。慶応義塾大学理工学部卒、オランダ Tilburn大学 TiasNimbas Business School経営学修士号(MBA)主席(The Best Student Award)取得。商社にて新事業開発、台湾向け精密機械の輸出営業などに従事。後、ヘッドハンター経由でオランダの精密機械メーカーに転職し、オランダに移住する。主に知的財産権本部に所属し、技術マーケティングや特許ポートフォリオの管理を担当する。オランダの柔軟な労働環境を活用して、現在も知的財産権本部での仕事に精力的に取り組みつつも、2006年末に各種ウェブ・アプリケーションを開発するベンチャー企業であるJ3 Trust B.V.を創業し、最高財務責任者(CFO)としての活動を開始する。

 

目次

第1章 課長とは何か?
 1 課長になると何が変わる?
 2 課長と部長は何が違う?
 3 課長と経営者は何が違う?
 4 モチベーション管理が一番大切な仕事
 5 成果主義の終わりと課長
 6 価値観の通訳しての課長
 7 課長は情報伝達のキーパーソン
 8 ピラミッド型組織での課長の枠割
 9 中間管理職が日本型組織の強み
第2章 課長の8つの基本スキル
 スキル1 部下を守り安心させる
 スキル2 部下をほめ方向性を明確に伝える
 スキル3 部下を叱り変化をうながす
 スキル4 現場を観察し次を予測する
 スキル5 ストレスを適度な状態に管理する
 スキル6 部下をコーチングし答えを引き出す
 スキル7 楽しく没頭できるように仕事をアレンジする
 スキル8 オフサイト・ミーティングでチームの結束を高める
第3章 課長が巻き込まれる3つの非合理なゲーム
 ゲーム1 企業の成長を阻害する予算管理
 ゲーム2 部下のモチベーションを下げかねない人事評価
 ゲーム3 限られたポストと予算をめぐる社内政治
第4章 避けることができない9つの問題
 問題1 問題社員が現れる
 問題2 部下が「会社を辞める」と言い出す
 問題3 心の病にかかる部下が現れる
 問題4 外国人の上司や部下を持つ日が来る
 問題5 ヘッドハンターから声がかかる
 問題6 海外駐在を求められる
 問題7 違法スレスレの行為を求められる
 問題8 昇進させる部下を選ぶ
 問題9 ベテラン係長が言うことを聞かなくなる
第5章 課長のキャリア戦略
 戦略1 自らの弱点を知る
 戦略2 英語力を身につける
 戦略3 緩い人的ネットワークを幅広く形成する
 戦略4 部長を目指す
 戦略5 課長どまりのキャリアを覚悟する
 戦略6 社内改革のリーダーになる
 戦略7 起業を考えてみる
 戦略8 ビジネス書を読んで学ぶ

 

なぜ「課長」なのか?

【書評】はじめての 課長の教科書[日本型ミドルの強み]

冒頭に書きましたが、本書は「課長」に焦点を当てています。ビジネス書といえば作業効率化とか、スキル向上とか、起業のための本とか、経営者の極意みたいなものを想像していたのですが、ガッツリ中間管理職です。

しかし、内容はとても面白くて多岐に渡るマネジメントスキルを学べます。それは、私のような現場の最前線で活動している非管理職と、部長のような経営に近い存在の橋渡し役として、課長には技術的な知識から経営管理的な知識まで多くのスキルが必要であるためです。

また、日本型のマネジメント理論は欧米の企業組織にはない特徴ある仕組みで、それ自体が強みになっているとも語っています。欧米は極端な話、経営陣と末端社員という二次元構成なのに対して、日本はその間にワンクッション入る形なのです。その重要なキーマンが課長だということを強調しています。

さらには、第4章で問題を9つに分けて書かれていますが、これはいくつかの項に関して言えば課長だけに限らず末端社員にもそのスキルを活かす機会がある事象があります。問題社員の接し方や心の病にかかる社員、外国人社員との付き合い方、ベテラン社員の部下との接し方などです。これらに関しては、管理職でなくてもプロジェクトチームのリーダーなど、チームを率いる立場であれば誰しもが参考になることではないでしょうか。

 

課長は部下一人一人の成功に専念する

【書評】はじめての 課長の教科書[日本型ミドルの強み]

本書の一貫している信条として、「人間味を持った職場環境を作る」ことが重要であることが随所で語られています。それは「あとがき」の一節からも受け取れます。

我々人間は、その歴史の始まりから経済活動を通して世界と関わっています。人間は経済活動をどんどん活性化させる一方で、人間の尊厳というものをそれこそ歴史の始まりからずっと軽んじてきたのです。
ところが現代の経営学は、人間をあたかも機械として扱うレベルを抜け出すことに成功しつつあるように見えます。

特に衝撃的だったのは、「成果主義」は適正な評価であると私は思っていたし、「年功序列」はとにかく早いうちに消滅してほしいと思っていました。思っているというより願っているくらい。。

しかし、「成果主義」は戦後最大の失敗(研究者たちの否定的な論文も多数提出されている)だというし、激戦のエアライン業界で驚異的な好成績を出し続けている米サウスウエスト航空の人事制度は、基本的に「年功序列」をベースにしているそうです(これが何故、従業員の才能を最大限に引き出すことに買っているのかは分かっていないのですが…)。

とにかく、冷徹な対応より温かな対応、数字ではなく一人一人の貢献度を考慮した対応をするべきであると言っています。これは私も大賛成で、チームというよりはサークルのように仲が良く、だけれどビジネスであるという緊張感を保った状態が最高ではないかと考えています。

 

課長に縛るには勿体ない経営学を学ぶ本

【書評】はじめての 課長の教科書[日本型ミドルの強み]

全体的に「課長」で縛るには勿体ないと思えるくらい参考になる内容だと思います。これから社会に出る全ての人を対象に読まれるべき本ではないでしょうか。

もちろん、ミドル・アップダウンMBWA(Management By Wandering Around)などの理論の話も登場します。本書の締めにそれら経営学について以下のように書いています。

経営学というのは、経済学、会計学や商学、哲学、心理学や法学、社会学や政治学など、数多くの学問分野を横断的に網羅しつつ、研究者たちが集めてきた企業の実例調査などを加えて曖昧に成立しているものであり、何を持ってして経営学と呼ぶのかはいまだに不明なところがあります。

曖昧に成立しているという部分に科学的・定量的見地の薄い学問であることを伺わせます。実際に著者も理工学部出身者なのでその辺は十分理解しているそうです。しかし、そんな経営学の面白さを以下のように書いています。

そんな経営学の面白さは、一見すると何の関係もなさそうな学問分野の間に強烈な結びつきを感じる瞬間にこそあります。複数の分野が通底しているということは、それぞれの分野からさらに一歩もぐったより深い部分に、もっと根本的な真理が存在するということを暗示しているからです。
私は、このようにして経営学が明らかにしつつある基本的な真理とは、人間そのものに関する原理なのではないかと考えています。

「人間そのものに関する原理」こそが著者の最も伝えたかったことなのではないでしょうか。その詳細な内容については各項にて確認いただければと思います。

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