【書評】宇宙旅行はエレベーターで[今から宇宙エレベーターを知っておこう]

【書評】「宇宙旅行はエレベーターで」
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どうもタスです。

今回は読書習慣を始めて13冊目の本になった「宇宙旅行はエレベーターで」についてお話ししたいと思います。宇宙エレベーターって聞いたことありますか?それが現実化されたら世界はどう変わるか知りたくないですか?

今後、数十年以内には実現化するであろう宇宙エレベーターについて、350ページに渡りこれでもかというくらい濃厚で鮮明に説明された本でしたので、その一部をお届けします。

 

著者及び訳者のご紹介

ブラッドリー・C・エドワーズとは?

シアトル在住。カーボン・デザインズ社代表、ブラック・ライン・アセンション社CEO。物理学博士(ウィスコンシン大学マディソン校)。米国ロス・アラモス国立研究所に在籍中から宇宙エレベータの研究を開始。ここ10年ほど、宇宙エレベーター構想の実現に向けて精力的に活動している。

 

フィリップ・レーガンとは?

イギリス生まれ。オーストラリア、パース在住の不動産投資信託ファンド・マネージャー。宇宙エレベーターのアース・ポート建設候補地(インド洋上)に関する調査活動に従事。

 

アーサー・C・クラークとは?

1917年生まれ。イギリス出身のSF作家(著『楽園の泉』)。20世紀を代表するSF作家の一人であり、科学解説者としても知られている。2008年に90歳で逝去。

 

関根光宏とは?

本著の訳者。東京都生まれ。慶応義塾大学卒業。訳書に「インド第三の性を生きる」(青社)

 

目次

第1章 ロケットに代わる宇宙輸送手段
第2章 宇宙への架け橋
第3章 SFと宇宙エレベーター
第4章 先端技術開発の難しさ
第5章 宇宙エレベーターの建造方法
第6章 安全上の問題点
第7章 宇宙エレベーターへの移項
第8章 アース・ポート
第9章 NASAの宇宙開発計画
第10章 宇宙エレベーター建造競争
第11章 軍事防御
第12章 なぜ宇宙エレベーターを作るのか
第13章 宇宙刊行旅行の始まり
第14章 はるかなる宇宙への旅
第15章 月の宇宙エレベーター
第16章 火星の宇宙エレベーター
第17章 次の目的地
第18章 宇宙株式会社
第19章 21世紀の未来像

 

本書は一般の読者を対象とした宇宙エレベーターの概要書

【書評】「宇宙旅行はエレベーターで」

宇宙エレベーターとはなにか、そして、すでにスペースシャトルがあって、宇宙飛行士も宇宙に行ったのにもかかわらず、なぜ宇宙エレベーターが必要なのか。

なぜ宇宙エレベーターは今(当時は2008年)になって注目しているのか。また、宇宙エレベーターが実用化することによって実現できることは何か?さらに、実用化することによる課題とは何か?

本書は、その名前になっているように宇宙エレベーターの全てが書かれています。それは構想から現在までの歴史や、実現するための技術的な内容、実現へ向けての政治的・軍事的な見解や実現後の経済の面まで多岐に渡ります。技術的な内容は多少難しい話も含まれますが、私のようなド素人でも理解し易いように噛み砕いて説明されています。

本書の「はじめに」にも書かれているとおり、

本書は一般の読者を対象とした宇宙エレベーターの概要書である。

なのです。よって、本著は宇宙エレベーターのことを一切知らなくても、むしろ、宇宙というものを一切知らなくても読めます。知らない方が多くを学べるかもしれないですし、本著をキッカケにさらに宇宙について知りたいと思う人が現れるのではないかと思います。。

 

宇宙エレベーターってなに?

【書評】「宇宙旅行はエレベーターで」

宇宙エレベーターとは、読んで字のごとく「宇宙へ行くためのエレベーター」のことを言います。私たちが普段利用しているエレベーターは、ガイドレールという軌道を人が乗るためのかごが上下に移動し、もちろん天井があります。

それの宇宙版ともいうべきものが宇宙エレベーターで、地球から10万キロメートル上昇する機能を持っています。移動速度は時速200キロで、スペースシャトルの時速約2万8000キロより大きくゆったりしています。

 

ロケットがあるのになぜ宇宙エレベーターが必要なのか?

【書評】「宇宙旅行はエレベーターで」

まず先にお伝えしたい内容として、ロケットは不要にならないということです。宇宙エレベーターは地球から10万キロメートル先まで到達することが可能ですが、そこから先はロケットによる移動が必要になるとのこと(例えば、月への移動など)。

それであれば、地表からロケット発射して、宇宙エレベーターは不要ではないかと思いますが、そうならない最大の理由は、ロケットの費用が高額であるということです。しかも、地球大気圏から脱出するための費用が莫大なのです。

むしろ、その高額過ぎる打ち上げコストが宇宙開発の発展を妨げる最大の要因だと言われています。しかし、宇宙エレベーターの費用は、ロケット費用の98%減になると言われています。よって、宇宙エレベーターの実現は、宇宙開拓を加速させ、パラダイムシフトが起こるとも言われています。

なお、宇宙エレベーターの建造に必要な費用は100億~200億ドル(1兆~2兆円)程と試算されており、国家だけでなく企業や個人でもその費用の拠出は可能である点は注目に値します。

 

宇宙エレベーター実現のカギとなるものは

【書評】「宇宙旅行はエレベーターで」
宇宙エレベーターに関しては、半世紀以上前の1960年に構造に関する論考が発表されています。また、概念的なものであれば、宇宙に届く塔を建てる構想として1895年にエッセイが書かれています。

発想自体は1世紀も前からあった宇宙エレベーターですが、それを現実のものとするにはエレベーターを支えるケーブルの強度が必要不可欠だったのです。それが現実味を帯びるまでになった背景に、カーボンナノチューブという素材が画期的な発見をされたことが挙げられます。

宇宙エレベーターの建造には、鋼鉄の180倍の強度を持つ素材が必要と言われていますが、カーボンナノチューブは鋼鉄の400倍の強度を持つことが判明しています。それにより、NASAが宇宙エレベーター構造に関するワークショップを招集するなど再び盛り上がりを見せました。

 

宇宙エレベーターを支えるのは地球のハンマー投げの原理

【書評】「宇宙旅行はエレベーターで」

本著を読んで最も得られた知識は「宇宙エレベーターとは何なのか?」を軸にそこから派生した枠にとらわれない考え方です。これは本の題名からしてそれはそうだろうなのですが、読み進めれば進むほど現実化するのだろうと思うし、待ち遠しくさえなってきます。

そもそも宇宙エレベーターの実現方法が面白いのですが、エレベーターが昇降するケーブルを宇宙から垂らします。そのケーブルは地球上(アースポート)に固定し、その反対の宇宙側にはカウンターウエイトという重りを付けます。

地球は自転しているので、いわば地球がハンマー投げの回転を常に行っている状態になるため、ケーブルがピンと張る原理なのです。なんか不思議で面白いですよね(笑)

この原理だけでも面白いのですが、実際に宇宙開拓が行われるとどのような産業が興るかとか、それによって政治的にどうなるかとか、えっ?宇宙戦争みたいの起きたりするの…?なんて考えさせられたりとか。

宇宙への移民について考える際に、無重力サッカーという言葉も出てくるくらい発想が豊かですが、真剣に考えられた発言なのです。宇宙エレベーターから派生して色々なことを考えさせられたのは面白かったですし、読者それぞれで考えてみてほしいなと思いました。

 

類書

宇宙エレベーター−宇宙旅行を可能にする新技術 石川 憲二 オーム社 2010/2/24

 

宇宙エレベーター その実現性を探る 佐藤 実 祥伝社新書 2016/8/1

 

楽園の泉 アーサー・C. クラーク 早川書房 2006/1/1

 

まとめ

今回は「宇宙旅行はエレベーターで」についてお伝えしました。

先に話したことは、本著のほんの一部に過ぎず、その他、宇宙エレベーターを利用することのメリットや課題、安全面について、宇宙条約の如何や、経済効果及び軍事防御について、そもそも人間の冒険心についてなど、本当に多岐に渡って説明されています。

特に、経済効果の面や宇宙旅行について知ることで、他人事とは思えず若干興奮すら覚えます。本著では2020年代~30年代の実現を目指しているようなので(後にお伝えする大林組は2050年)、本著を手に取り概要を知ることで予備知識を得る良い機会になるのではないでしょうか。

 

宇宙エレベーターに関する情報

宇宙エレベーター学会

2019/05/13には、第11回宇宙エレベーター学会(JpSEC2019)が開催されています。

 

株式会社大林組

大林組プロジェクトチームが2050年の完成を想定して構想をまとめている「宇宙エレベーター建設構想」について説明されています。本著の内容を地で行こうとしているようですね。とても期待できます。

 

宇宙と地球をつなぐ「軌道エレベーター」の仕組みと技術的課題がよくわかるムービー(Gigazine)

本著の宇宙エレベーターの実現に関する部分を要約したような分かり易い内容の記事です。

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