【書評】不透明な時代を見抜く「統計思考学」[見える世界を変えていこう]

【書評】不透明な時代を見抜く「統計思考学」[見える世界を変えていこう]
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どうもタスです。

統計学と言えば数学的な難しいことを考えがちです。しかし、本書は数学的な要素を極力省いて統計学を教えてくれます(むしろ、難解な知識は必要ないとも)。書名のとおり「統計思考力」を教えてくれるのです。それは、統計ツールを使って物事を考えることについて教えてくれるのです。まさに統計の本質を捉え、興味を抱かせる内容になっています。

そこで今回は、読書習慣を始めて54冊目の本として「不透明な時代を見抜く「統計思考力」(日経ビジネス人文庫)」を読了したのでお伝えします。

 

著者のご紹介

神永 正博(かみなが まさひろ)
東北学院大学工学部教授。1967年東京生まれ。京都大学大学院理学研究科数学専攻博士課程中退。博士(理学/大阪大学)。日立製作所中央研究所研究員等を経て、現職。2010年度は数理科学研究所(IMSc)客員研究員として南インドに滞在。

 

目次

はじめに
第1章 基礎編 データを見る
1 生データを入手する
2 データを図にする
3 専門外のデータはこうして読もう
第2章 中級編 データを読む
1 基本を押さえる –平均と分散
2 足したら出てくる正規分布
3 一を聞いて十を知る –大数の法則
4 「べき分布」の重要性
5 因果関係と間違えるな –相関
第3章 上級編 データを利用する
1 未来を予測する
2 思考を錬磨する –オープンコラボレーション
3 自力で考えることの最大の敵
統計・文献ガイド
あとがき
参考文献

 

統計的分析を用いて思考することで見える世界が変わる

【書評】不透明な時代を見抜く「統計思考学」[見える世界を変えていこう]

冒頭にも書いたとおり、本書は統計学の指南というよりかは、統計学の利用方法を教えてくれる。それは以下の記述からも伺える。

統計学というと数学を想像される方も多いと思います。(中略)しかし、確率分布がソフトウェアとして組み込まれ、十分な速度で計算できるようになった現在では、こうしたことを一生懸命勉強する必要性は、少なくとも統計学のユーザにとってはそれほど高いものではなくなってきています。数学を知らなくても、統計ソフトウェアを使うための基礎知識さえあれば、様々な分析が可能になってきています。

複雑な数学知識が無くてもそれを実現するソフトウェアがあるため、例え高度な知識や技術が無くても統計的分析は可能だというのです。これはとても心強いお言葉であり、誰もが統計的分析能力を高めることができることを暗に示しています。

そもそも、なぜ統計的分析が必要なのか?その答えは、「はじめに」で以下のように書かれています。

わたしがデータ分析をお勧めするのは、データ分析が、自力でモノを考える際に強力な武器になるからです。
他の人が気付いていない問題を見つけ出し、自分で考えて結論を出すことです。だれかが書いたデータの解釈を読まされている状態から、自分でデータを読むようになれば、見える世界が変わってきます。

この節を読んで興奮しました。これこそまさに望んでいたもの。例え話ですが、ワイドショーに出演している専門家のコメンテーターが事件などの様々な出来事に対してコメントを発します。しかし、専門家だからと言って全てが真実を語っているとは限りません。敢えて嘘をつくということは少ないとは思いますが(ただし、出演料という利益を得ていることを考えるとそこも疑問ではある)、専門家と言えども間違えはあります。

そういう時に役立つのが統計的分析です。このツールを使って自分で考えることがとても重要であり、それを継続することで自分自身すら形成されていくと言っても過言ではないと思っています。本当に「見える世界が変わる」のは嘘ではないでしょう。

しかし、どのように分析すればよいのか?そもそも、そういうデータはどこから引っ張ってきたらよいのか?素人には分からないことが多いと思います。そのような疑問について、本書では章毎に答えを出していきます。しかも、具体事例を分析しながら解説するので、実際に今後自分が分析する際に有用なヒントになるでしょう。

 

データを見ることの重要性

【書評】不透明な時代を見抜く「統計思考学」[見える世界を変えていこう]

第1章の「1 生データを入手する」の最初から核心に迫っています。当該項の題目は「真実はデータにあり」です。データは嘘偽りのしようがないので紛れもない事実です。もちろん加工されてしまえば元も子もないですが、今では数多くのデータがインターネットを通じて利用可能になっています。本書の「統計・文献ガイド」にも著者が実際に使用しているデータを利用できるサイトをいくつか教えてくれています。いずれかが不正データを公表しても、いくつか比較することで簡単にバレてしまうことは言うまでもありません。

そこで、データを見ることにおいて、大事な3要素があると言っています。それは、

  1. データを先に見る
  2. だれかが解釈する前のデータを見る
  3. 自分の仮説に反するデータも集める

ということです。物事を考えるにあたって、先ずは「データを見る」こと。データを見て自分で考えることです。物事についての記事や誰かの意見を聞く前に、純粋にデータを見ることが重要だということです。さらに、「だれかが解釈する前のデータを見る」ことです。解釈された後は先入観が付いてしまいます。自分でクリアな気持ちから考察することが非常に重要だということです。

最後の「自分の仮説に反するデータも集める」は意外と抜け落ちそうなものですが、非常に重要な観点です。科学の反証の重要性と同様ですね。仮説がこれでもかというくらい正しい方向を向いているというのを検証するためには、反証データを見落とすことは正確な検証をしたとは言えません。

これらに加え、データの加工の仕方や簡単な数学的ツールを使用したデータの見方、データを見たうえの予測の立て方など、分析のイロハを充分に学べます。特に、著者の平易な言葉選びが書名の難しそうだと連想させてしまう気持ちを払拭してくれます。私のような素人にも十分に分かり易く理解することができました。

 

おわりに

データ分析は意外と普段の暮らしの中で行っているものです。特にビジネスマンならなおさら。案を出すような仕事、例えば企画を行う、新しい手法を導入する、作業方法を変えるなど、それらには「なぜそれを選択したのか?」という明確な根拠が必要だからです。そのためには、いくら口で「いいんだってばよ!」と言ったところで説得力は低いでしょう。

そこで登場するのが目に見える数値を用いた「統計的分析結果」なのです。新しい手法を用いることで売り上げがこのくらい伸びると予想できる、作業方法を変えることで作業時間がこれだけ短縮できるなど、新旧を比較するには「定量的結果」を提示することが最も理解し易い提案方法なのです。

本書を一度ならず複数回読むことで、統計的分析の重要性はもとより、その楽しさまで分かるようになりそうです。

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