【書評】脱「ひとり勝ち」文明論[明るい未来に一石を投じる新技術]

【書評】脱「ひとり勝ち」文明論[明るい未来に一石を投じる新技術]
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どうもタスです。

数年前に、レンタカーでハイブリッド車を借りて九州を旅行したのですが、とっても乗り心地が良くて驚いたのを覚えています。静音で燃費も良い、気付けば運転手以外は寝ちゃっているという状況でした。時は経ち、今ではハイブリッドの先にある電気自動車が開発の主になっています。

電気自動車が移動の手段となった世界はどのようなものなのでしょうか。そこで今回は、読書習慣を始めて71冊目の本として「脱「ひとり勝ち」文明論(ミシマ社)」を読了したのでお伝えします。

 

著者のご紹介

清水 浩(しみず ひろし)
1947年宮城県生まれ。東北大学工学部博士課程修了。国立公害研究所、アメリカ・コロラド州立大学留学。国立公害研究所地域計画研究所室長。国立環境研究所地域環境研究グループ総合研究官などを経て、現在、慶応義塾大学環境情報学部教授。30年間、電気自動車の開発に従事。2004年、ポルシェ並みの加速力をもつ「未来のクルマ」Eliica(エリーカ)を誕生させる。

 

目次

まえがき
1 脱「ひとり勝ち」文明へ
2 未来は、電気自動車の中にある
3 「エリーカ」開発で見えてきたこと
4 日本発、日本型の文明を!
あとがき

 

脱「ひとり勝ち」とは

【書評】脱「ひとり勝ち」文明論[明るい未来に一石を投じる新技術]

本書は、車好きの著者がレーザーレーダーの研究などをして紆余曲折しながら、最終的には電気自動車の研究開発に辿り着き、しかも、それが経済の発展や環境問題の解決、はては貧困解決から、もっというと文明改革まで起こすというのです。そして、その結果潤うのは一握りではないというのです。それが本書名にもなっている『脱「ひとり勝ち」』というキーワードに繋がってきます。以下を見てください。

ここで言う「ひとり勝ち」は、「豊かさや、経済力などが、先進国の、世界全体から見たごくごくわずかな人たちに集中していること」を示す言葉

そう、世界のみんながある製品ある技術によって豊かになることを『脱「ひとり勝ち」』というのです。じゃぁ、どんな製品、どんな技術で世界を豊かにするのか。それが、「電気自動車」や「太陽光発電」であると著者は言いきっています。

 

21世紀型の文明である「電気自動車」や「太陽光発電」

【書評】脱「ひとり勝ち」文明論[明るい未来に一石を投じる新技術]

著者の説明に書いたとおり、著者は理想の電気自動車の開発に30年の月日をかけています(最初は5年だったようです)。もともと車好きでしたが、自分に自信が無かったことや当時の世界情勢などを加味して、別分野に進路を取りました。結局、レーザーレーダーの研究に尽力することになるのですが、そこで培った研究方法や信念が後の電気自動車の研究に大いに役立ったとのことです。

ざっと流しましたが、この話は本書の「3 「エリーカ」開発で見えてきたこと」に書いてあってとても面白いです。その後、電気自動車の開発をするのですが、兎にも角にも、日本はいち早く、「電気自動車」と「太陽光発電」に本腰を入れるべきだと著者は説きます。

そして、全力投入する下地は完全に出来上がっているとも言っています。そして、することで「良いことしか」見えてこないとも言っています。それは以下の強烈な言葉からも分かります。

何回、計算をしても、太陽電池や電気自動車の普及は、本当に、すばらしい未来をもたらすことが確実のように、見えてきています。

太陽光発電については、他の発電方式と比べてどこが良いのか?なぜ太陽光発電なのかが分かり易く書かれていますし、電気自動車についてもメリットしかないことが書かれています。これらを総合して21世紀型の文明と言っています。それは、20世紀に起こった文明と対比しているためです。

今現代の発電や車の技術は、20世紀の技術の延長上でしかないと言っているのです。であれば、様々な問題を解決するためにはイノベーションしかないでしょう。先にあげた環境問題などの種々の問題に対して、抑制や制限をかける退化的対処をするのではなく、前を向いて前進する進化的対処をする方が楽しいでしょ!ということなのです。

太陽電池の効果は、「地球の地表面積の1.5パーセント」に、太陽電池パネルを貼れば、世界中の70奥人が「アメリカ人と同じくらいの裕福なエネルギーを使えるようになる」というものです。

人間は、四足歩行から二足歩行に進化することによって、ものすごくたくさんのことも獲得しましたが、二足歩行によって失ったものは何か(中略)それは、「移動のスピード」です。(中略)いいものばかりの二足歩行の中で、唯一、人間が喪失したものこそ、「移動」なのです。

世界中の電気自動車に使うリチウムイオン電池の資源、さらに、太陽電池で発電した電力を一時的に貯めておくのに必要な量のリチウムイオン電池を作るための資源は、地球上に十分にある。

 

明るい未来に一石を投じる新技術

【書評】脱「ひとり勝ち」文明論[明るい未来に一石を投じる新技術]

上記以外にも数々の実証が本書には書かれています。それは希望的観測も少なからずあるかもしれませんが、読んでいてテンションが上がるのを実感する本も珍しいと思います。なにせ、地球温暖化対策への提言だったり、貧困撲滅への取り組みなど話の筋やデータからも明らかにされている中で、日本は全く持ってそういう方向には舵を切っていません。メディアも連日同じような報道ばかり(最近はコロナ続き…)でこういった明るい未来へ焦点を絞ることはありません。

著者は最後にこういう言葉で締めています。

高い経済成長のせいで、あるいは進みすぎた科学技術のために、また、過度に裕福な生活のせいで、温暖化が起きているというわけではないのです。(中略)むしろ、新しい技術を使ったら、温暖化はなくなるどころか、さらに、エネルギーがいきわたって、人類は裕福になる。

地球温暖化という一つの問題ですが、今も大きな問題で、世界各国が焦点を当てています。そんな大きな問題ですら、本書に解決策があるというのです。しかも、旧態を壊すことなく、新技術で包み込むように解決するというのです。とても興味が湧きませんか?読み始めてから徐々にテンションが上がり、最高潮に上がったままのテンションが読後感として残ることと思います。

しかし、テンションを上げてくれる言葉だけでなく、なぜそう言えるのかという非常に大事な部分も、もちろん語ってくれます。今現在、まだ「急激に」普及している訳では無く、期待感しかないわけですが、今は今後の「Eliica(エリーカ)」に着目しましょう。※本書でも語られている死の谷(デスバレー)を克服できなかったのでしょうか「商品化に至らなかったEVベンチャーが見た死の谷」。

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