【書評】この世でいちばん大事な「カネ」の話[西原さんの人生観を学ぶ]

【書評】この世でいちばん大事な「カネ」の話[西原さんの人生観を学ぶ]
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どうもタスです。

今回は読書習慣を始めて25冊目の本になった「この世でいちばん大事な「カネ」の話(角川文庫)」についてお伝えしたいと思います。著者については後程言及しますが、「西原理恵子」という字を見て、どこかで聞いたことあるなーと思ったら、ワイドナショーに出演されていて、高須クリニックの高須克弥さんと事実婚的なお話をされていたのが記憶に新しく、すぐに思い出しました。

本書は、ワイドナショーで拝見した西原理恵子さんの印象ととてもマッチしたこともあり、興味深く読み進められました。書名にもなっている「カネ」は、本書の中心であり、それを公転しながら人生観を教えてくれます。最後には「説法」という言葉が出てくるとおり、西原さんなりの「カネ」の価値観を共有できる愉快な本でした。

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫) [ 西原理恵子 ]
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著者のご紹介

西原 理恵子(さいばら りえこ)
1964年高知県出身。日本の漫画家。私が知っている代表作は「ぼくんち」(読んだことは無いですが…)。本書で生い立ちから書かれているため、紹介は本書を読んで頂くのが分かり易いかと思います。

 

目次

第1章 どん底で息をし、どん底で眠っていた。「カネ」がないって、つまりはそういうことだった。
第2章 自分で「カネ」を稼ぐということは、自由を手に入れるということだった。
第3章 ギャンブル、為替、そして借金。「カネ」を失うことで見えてくるもの。
第4章 自分探しの迷路は、「カネ」という視点を持てば、ぶっちぎれる。
第5章 外に出ていくこと。「カネ」の向こう側へ行こうとすること。

 

西原理恵子という人

【書評】この世でいちばん大事な「カネ」の話[西原さんの人生観を学ぶ]

冒頭でもお話ししたとおり、西原理恵子の初見はテレビ番組のワイドナショーでコメンテーターをされていたことだった。とてもハキハキして自分の意見を瞬時に且つより多く話されていたのが印象的だった。第一印象は「面白い」だった。なにせ、薬物やアルコール依存症の話、元夫のDVの話など、テレビ的には過激と取れる内容をバンバン話されていたからです。

それを見ただけで、過去に色々経験されてきた方なのだろうなと推論できたのだけれど、本書を読み、それが的中した。目次を見た印象も平穏さが無いことは一目瞭然なのだが、特に第1章は西原さんの生い立ちが、特に幼少期のぶっ飛んだ内容がこれでもかと書かれています。

正直、第1章を読んだだけではどの方向に持って行こうとしているのか予測がつきませんでした。そのくらいドス黒い話。実際に、「ぼくんち」は西原さん本人の体験をもとに書かれているのだが、「これは、いつの時代の日本のことですか?」や「これって戦後の話ですか?」なんて質問をされたそうです。結局、最終章を読み終えると話は繋がっていることが理解でき、幼少期の体験があったからこそ今の西原さんがいるのだなと改まり、ワイドナショーの肝っ玉母ちゃん的なキャラも腑に落ちて点と点が繋がりました。

 

自分で考えた抜いた末に出した答えに邁進する

【書評】この世でいちばん大事な「カネ」の話[西原さんの人生観を学ぶ]

ワイドナショーで見た西原さんの印象は、幼少期の話だけでは説明がつかず、先にもお話ししたとおり今までの人生観から滲み出ているものだと理解しました。例えば、美大予備校生だったころ、お金が無かった西原さんは学校での評価が最下位だったのもあり、他の予備校生とは違う道を歩み始めました。その時、絵で勝つことが難しいと悟った西原さんはある決意をします。

最下位の人間に、勝ち目なんかないって思う? そんなの最初っから「負け組」だって。 だとしたら、それはトップの人間に勝とうと思っているからだよ。目先の順位に目がくらんで、戦う相手をまちがえちゃあ、いけない。 そもそも、わたしの目標は「トップになること」じゃないし、そんなものハナからなれるわけがない。じゃあ、これだけは譲れない、いちばん大切な目標は何か。「この東京で、絵を描いて食べていくこと」 だとしたら肝心なのは、トップと自分の順位をくらべて卑屈になることじゃない。最下位なわたしの絵でも、使ってくれるところを探さなくっちゃ。最下位の人間には、最下位の戦い方がある!

強い意志を以って多数の編集社を自分で回り、カット(出版業界用語)という挿絵を売り込んで勉強しながらお金を稼いでいったのです。他に、ギャンブルの話もそうで、ギャンブルを全くしたことが無かったのに「まあじゃんほうろうき」を書くことになり、それでは読者にウケないと見るや否や百戦錬磨の勝負師たちと賭け麻雀をし始めました。その理由は、

わたしは毎回、身銭を切って勝負していた。 仕事のはずなのに、なぜ、わざわざ自分のお金を賭けたのか? それはね、自分でちゃんと痛い思いをしながら描かなかったら、お客さんにも笑ってもらえないから。

このように、自分で考え抜いた末に出した答えのとおり実行する意思が西原さんの印象そのもので、そういう部分は本書の随所に現れていました。だからこそ、瞬時にハキハキと濃度の濃い意見が言えるのだなと感じました。

 

「カネ」と取り巻く様々なコト

【書評】この世でいちばん大事な「カネ」の話[西原さんの人生観を学ぶ]

今の治世、平和であれば平和であるほど退屈になり不満が漏れる。戦後等の混乱期であればキレイ事なんか言えない。かと言って混乱期には戻りたくない。結果、自制できる信念を持ち、常日頃からそれを意識して生活することが幸福度を上げるコツなのではないかと思えました。

左記は突拍子もなく言ったわけではなく、本書の感想にあたります。本書ではハッキリと書かれている訳では無いが○○と「カネ」的な形で話が進んで行き、主題はどちらかというと人生観と言った方がシックリくる。冒頭では「カネ」中心と言ったが、読み進めるうちにそれが逆転する。

生きて人生過ごしていれば、必ず「カネ」は付きまとう。「カネ」が無ければ何もできない。「愛さえあれば金は要らない」類の言葉に真正面から疑問を呈している。けれど、豊かになった現代でお金の価値は下がり、お金を対価とする労働に不平不満が噴出してきた。一方で、貧困国等ではフィリピンのスモーキーマウンテンで働く子供たちのように、自らで働き場所さえ選べない子供たちもいる。そこには人権すらなく、まさしくキレイ事は言えない。

ごみの山で働く子どもたちの家庭は、どこも、みな貧しいんだけれど、中でも親が子どもの養育を放棄しきっているような家庭であれば、民間のボランティアの人たちが、子どもを孤児院にひきとる。子どもたちは「もう二度とごみの山には帰りたくない」って言う。でも、ひとつの家庭の子どもたち全員を引き取ることができなかったりもする。きょうだいの中で、自分だけは家に残ってごみの山で働き、おばあちゃんを食べさせている女の子がいた。おばあちゃんのために、自分だけ、そこに残ることにしたお姉ちゃん。「早くえらくなって、わたしを迎えにきてね」って言って、きょうだいたちを送り出していた。

西原さんは百聞は一見に如かずを地で行く人で、よく海外に行き、上記のような惨状を目の当たりにするようだ。如何に自分が恵まれた環境で生活できているのか、不満を持つのではなく希望を持って生活して行きたいなと思ったのと同時に、普段見聞することのないこのような話は頭の片隅に入れておくべきだと感じた。

 

おわりに

本書は、「カネ」はヒトを測る物差しだと言っています。そして、「カネ」に対する態度は生きてきた習慣が反映されているとも。哲学的ではあるが、私もまさにその通りだと思いました。西原さんのように生まれた環境に依存せず、負の連鎖から脱出できる人は少数であることは昨今のニュースからも理解できます(特に虐待なんか…)。しかし、決して負けず強い意志で己と戦って勝利した人の人生を「カネ」という視点で見れたのはとても勇気づけられ、心が晴れやかになりました。

最後に西原さんの説法を聞いて終わりたいと思います。

どんなときでも、働くこと、働きつづけることが「希望」になる、っていうことを。ときには、休んでもいい。でも、自分から外に出て、手足を動かして、心で感じることだけは、諦めないで。これが、わたしの、たったひとつの「説法」です。人が人であることをやめないために、人は働くんだよ。働くことが、生きることなんだよ。どうか、それを忘れないで。

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類書

ぼくんち<全>オールカラー版【電子書籍】[ 西原理恵子 ]
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本書でも紹介されていた「ぼくんち」。本書を読んだ後だと感じ方が変わりそう。

 

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年齢毎に発行されている熟年恋愛コミック。確かに興味を引くカップルですよね。

 

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント【電子書籍】[ 西原理恵子 ]
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西原さんの人生相談エッセイ。生い立ちや人生観を知った今、どのような相談にそのような答えを出しているのかとても興味をそそる本。

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