【書評】会計のルールはこの3つしかない[バトル鎮静剤の本質とは]

【書評】会計のルールはこの3つしかない[バトル鎮静剤の本質とは]
この記事は約7分で読めます。

どうもタスです。

当ブログは、2018年から開始して早3年、気付いたら4年目の運営に入りました。当初の想定とは異なり、今や読書習慣ブログになりました。これも想定外の人生になったことを思うと、自分にとって非常に良いことだなと感じます。皆様、本年も宜しくお願いします。

さて、「弾言」でも語られているように、財務諸表ひいては会計のルールというのは会計だけでなく人生にとってとても重要なツールである。本書は、その「弾言」で紹介された1冊である。

そこで今回は、読書習慣を始めて116冊目の本となった『会計のルールはこの3つしかない(洋泉社)』を読了したのでお伝えする。

 

著者のご紹介(本書引用)

石川 淳一(いしかわ じゅんいち)
昭和28年秋田県生まれ。税理士。石川税務会計事務所を経営。埼玉県和光市在住。元和光市議会議員(2期。「市民の税を1円たりとも無駄にしない」が公約)。秋田工業高等専門学校工業化学科卒業。財務諸表を誰もが読める状況になれば、国も変わらざるを得ないという思いを元に本書の構想を温めてきた。

松本 武洋(まつもと たけひろ)
昭和44年兵庫県生まれ。フリーライター・編集者。埼玉県和光市議会議員。早稲田大学法学部卒業。金融機関、経済系の出版社を経て現職(2期)。地方自治、、経営、財務等を得意とする。著書に『自治体連続破綻の時代』(洋泉社)、執筆記事に「団塊世代の高齢化は大都市圏自治体の財政を押し潰す」(『週刊エコノミスト』2007.2.27)など。

 

目次

はじめに 会計のルールはたった3つだった
第1章 会計の基本原理と財務3表を理解する
第2章 簿記の流れはこうなっている
第3章 会計ではこのポイントが重要になる
おわりに 会計の3つのルールは歴史がつくった

 

会計とは何か?

【書評】会計のルールはこの3つしかない[バトル鎮静剤の本質とは]

初めに、カバーの袖に書かれている以下の一文を紹介する。

これだけは知っておきたい「複式簿記」と「財務会計」!
最近の入門書ではよく、会計は利用できればいい、だから、簿記の仕組みや財務諸表のつくり方は知らなくてもいいと書かれています。しかし、それは程度の問題です。複式簿記や会計の基本的な仕組みや考え方を理解しておけば、それを応用して新しい会計基準をすばやく理解したり、世の中の謎解きをしたりすることができます。勉強法の達人が口を揃えて言うように、理屈が分かれば暗記事項は減ります。そういう意味で、本書レベルの最低限度の会計知識は間違いなく必要です。本書を読めば、会計の利益計算とは、経営者、株主(出資者)、課税当局の間の「バトル」だということが腑に落ちるはずです。

まさに腑に落ちた。財務会計とは、バトル鎮静剤なのである。

そもそも、「財務会計」とは何かご存じだろうか?本書の一節を引いてお伝えすると以下の内容になる。

会計の持つ報告機能とは、カネを出した人が「自分のカネは大丈夫か」ということを確認するための手段です。企業の会計には、株主が会社の現状を知り、経営者にだまされないように監視する役割があります。

経営者は常に現状を把握している。そして、出資者にできるだけお金は配りたくはないし、可能であればもらいたい。そんな経営者有利な状況に「説明責任」を持たせることで平等にする役割を果たすのが財務会計なのである。

 

本書タイトルの3つのルール

【書評】会計のルールはこの3つしかない[バトル鎮静剤の本質とは]

本書は、出資者をスペインの女王様、経営者をコロンブス、会計ルールの説明者を越後谷、そして、たまにスペインの財務大臣登場により物語に沿って会計ルールを説明する。コロンブスは船を借り商売をはじめ、その都度利益換算して女王様に配当するのだが、出航の度に船を毎回借りるのではなく、船を買ってしまおうというところから会計物語が始まる。

その物語(本書)を通して会計のルールと基本原則を学んでいく。中でも非常に重要なものが本書のタイトルにもなっている3つのルールである。

  1. ”ぱなし”と”ぱなし以外”に分ける
  2. 費用配分
  3. 保守主義

の3ルールに集約できるというのである。

このルールのうち、1.と2.を理解することでBS(バランスシート[貸借対照表])PL(損益計算書)がすんなり覚えられる。その他、CF(キャッシュフロー)も重要なのだけれど、それも付随して覚えられる。

 

”ぱなし”と”ぱなし以外”に集約せよ

【書評】会計のルールはこの3つしかない[バトル鎮静剤の本質とは]

では、1.の”ぱなし”と”ぱなし以外”は何なのかというと、”ぱなし”は入金でいうと売上、出金でいうと仕入れや経費のこと、”ぱなし以外”は入金でいうと借入金、出金でいうと貸付金にあたる。要は”ぱなし”はもらったり支払ったりしたらそのままのモノ、”ぱなし以外”はもらってもその後に支払う必要があるモノ(将来、支払い”ぱなし”になるもの)や、支払っても、その後に返ってくるモノ(将来、もらい”ぱなし”になるもの)のことである。

これを簿記会計で表すと以下のようになる。

  • もらい”ぱなし”→収益
  • はらい”ぱなし”→費用
  • もらい”ぱなし以外”→資産
  • はらい”ぱなし以外”→負債

このように複式簿記が表現できるのである。また、”ぱなし”をまとめると損益計算書、”ぱなし以外”をまとめると貸借対照表が出来上がるのである。

併せて2.の費用配分も説明する。

もらい”ぱなし以外”のモノには高額が付きまとう。例えば、本書の物語でいうと船舶がそれにあたる。買ったので、その金額すべてを”ぱなし”に入れたとなると、収益計算がデタラメなことになる。なぜなら、その期間は収益が無いどころか、損失があったように見えるからである。

そのため、女王様(出資者)が怒らない訳はなく、まさにバトル勃発なのである。そこで、船舶購入代金をある一定期間に配分して費用に計上するという考えが費用配分なのである。また、船舶はいずれは動かなくなる(壊れる)のだから、いずれは無くなるものとして費用であると考える。だから資産計上するけれど、減価償却で費用計上するのである。

減価償却の説明は、大体が購入した金額を数年で割って費用計上するというお決まりのフレーズが多い中、原理原則をかみ砕いて説明されることで、とても腑に落ちる。まさにカバー袖に書かれていた「理屈が分かれば暗記事項は減る」である。

 

保守主義を遵守して企業を守る

【書評】会計のルールはこの3つしかない[バトル鎮静剤の本質とは]

最後の3.保守主義も本書の表現を引くと以下のとおりとなる。

保守主義の原則とは、将来が見えない世の中で会社の経営を続ける以上、何が起きるか分からないので、費用は手堅くは早めにに計上し、収益は確実なものだけを計上しようという考え方です。
要はルールの範囲内で利益が最小限になるように計算しなさい、ということです。

出資者と経営者がいて会計は成り立つが、そもそも企業が無くなればそれどころではない。保守主義を遵守して企業を守ろうというのが原則になっているということなのだ。会計のルールとして、このルールは異色な気がするけれど、「会計が発達する中で固まっていった経験的な原則として重視されている」重要なルールなのである。

本書では、なぜ会計期間があるのか?町内会方式の会計ではなぜだめなのか?会計は誰のものなのか?など、素朴な疑問にも丁寧に答えてくれる。「なんだ、そういうことか!」が続出するので本当に楽しく読める本である。これをきっかけにさらに会計知識を学びたいとステップアップ願望を抱かせる良書である。

スポンサーリンク


Pocket


SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA