【読書メモ】勉強の価値[生きる人間の価値を高めるもの]

【読書メモ】勉強の価値[生きる人間の価値を高めるもの]
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どうもタスです。

本書は私がフォローしている本ノ猪さんのツイートを見て購入したものである。以下のツイートを見てほしい。完全に同意する。自分がやってもいないことを子供にやれと言うのは虫が良すぎるし、自分が子供でも納得しないだろう。

そこで今回は、読書習慣を始めて157冊目の本となった『勉強の価値(幻冬舎新書)』を読了したのでお伝えする。

 

著者のご紹介(本書引用)

森 博嗣(もり ひろし)
一九五七年、愛知県生まれ。作家、工学博士。国立N大学工学部建築学科で研究する傍ら九六年に『すべてがFになる』で第一回メフィスト賞を受賞し、作家デビュー。以後、次々と作品を発表、人気作家として不動の地位を築く。おもな新書判エッセィに『自由をつくる 自在に生きる』『創るセンス 工作の思考』『小説家という職業』『自分探しと楽しさについて』(すべて集英社新書)、『大学の話をしましょうか』『ミニチュア庭園鉄道』(ともに中公新書ラクレ)、『科学的とはどういう意味か』『孤独の価値』『作家の収支』『ジャイロモノレール』『悲観する力』(すべて幻冬舎新書)などがある。

 

目次

まえがき
 勉強は国民の義務?
 勉強嫌いは共通認識か?
 「勉強を楽しもう」は偽装?
 勝利のために勉強をする?
 勝つことがそんなに重要なのか?
 勉強と努力は同じ?
 本書で述べる勉強の価値とは?
 勉強は、釘を打つ練習である
 釘打ち教育の勘違いのパターン
 勉強が楽しくなる唯一の条件
 義務教育の価値
 勉強は大人がするものである
第1章 勉強とは何か?
 勉強とはデータのインプット
 データのインプットだけではない
 アウトプットも勉強になる
 覚えることと、理解すること
 覚えることに偏った勉強で良いのか?
 大人になったら別の勉強を
 観察力、予測力、想像力を養う
 勉強の価値は抽象性にある
 「役に立つ」とはどういう意味か?
 勉強は子供の仕事なのか?
 子供の勉強は大人の仕事よりも辛い
 大勢で同じことをする教育
 褒めてもらうために勉強する?
 褒めるなら、一緒に勉強しよう
 言葉を覚えるだけでは不充分
 知識とは概念を知っていること
 言葉にならないものを考える能力
 固有名詞を覚えられない
 暗記ものの勉強を諦めた
 、学ぶの意味は?
 勉強は人を変化させる
 「自分の勉強」を発見する
第2章 勉強は面白くない?
 学校は不自由な場所だ
 近頃の良い子は…
 楽しい勉強が子供の個性を殺す
 勉強が楽しいのは天才か馬鹿
 「好奇心」という知的欲求
 満腹を苦痛に感じる人がいる
 アウトプットする機会が子供にはない
 中学受験をした思い出
 進学校の成績システム
 中学校での試験勉強
 大学受験は五教科が必須
 大学に運良く合格
 大学四年生になって一変した勉強
 「研究」という行為の意味を知る
 勉強することが仕事になった
 勉強に取り憑かれた
 知りたいことがさきにある
 学んでおいて良かったと思う
 大人も勉強を始めよう
 無知は恥ずかしいことではない
 無知を責めることは劣等
 一番になるな、という教え
 両親の教育方針
 自分の子供には教育不熱心
 子供たちの受験にも無関心
 一生懸命に生きることを教えたつもり
 「教育しない」という教育
 教えてくれない人から学ぶ楽しさ
第3章 勝つために勉強するのではない
 勝負や競争の勝ち負けの体験
 勝ち続けることは勝つよりも難しい
 勝利は努力よりも才能
 勝つことの意味を見出さない価値観
 個人の価値観に正偽はない
 勉強に勝負を持ち出す不思議
 子供に自分の夢を託さない
 これからは個人主義の時代
 日本の学校教育は遅れていないか?
 学歴社会と受験戦争は今も
 教育制度改革で子供たちは変わったか?
 受信側が積極的なら送信はいらない
 子供は歳の近い先人に憧れる
 他者との比較で陥る挫折
 社会は誰も拒絶しない
 人を測る物差しは一つではない
 勉強で育つ理性
第4章 学校で勉強をする意味
 学校は集団行動を学ぶ場
 学校というシステムは古くないか?
 引き篭もりは新しい価値観の一つ
 教育システムにさらなる自由化を
 集団教育のメリットとデメリット
 仲間になろうとする気持ち悪さ
 日本人の過剰な連帯感
 人それぞれだと教える教育
 小学校の理科の実験で学んだこと
 学校で学ぶ他者とのつき合い方
 思考能力によって想定する未来
 知識が役に立ったない社会になった?
 勉強で己を知ることの価値
 計算は頭のジョギングである
 学校ではチームプレイを習わない
 日本人は「議論」を学校で学ばない
 日本語は論理的ではない
 作文やスケッチが大嫌いだった
 テーマを決める発想力は学べない
 一流の才能から学ぶこと
 教育についての楽観
第5章 教えてもらうことが勉強ではない
 大学の講義を担当すること
 教える方が勉強している
 アウトプットが記憶を確かなものにする
 講義を受けると誰でも眠くなる
 集中が続くから眠くなる
 眠くなってしまうのが勉強か?
 考えるときには息を止める
 勉強の本質は創造的な活動にある
 創造的なアウトプットを勉強に活かす
 創造的な体験は教えられない
 自分を自分の先生にして学ぶ
 先生の存在が勉強をつまらなくする
 嫌な勉強から解放され良い思い出になる
 選択できる自由が楽しさの理由
 老人が学びたい場合の注意点
 教えてもらう姿勢は続かない
 自分に問い、自分に答える
 勉強を楽しもう
第6章 「覚える」と「気づく」の違い
 「知っている」は「わかっている」ではない
 「気づき」が求められる問題
 地図を使う人間の能力
 数学なんか社会では役に立たない?
 苦手を排除すれば可能性が消える
 計算と発想の対比
 固有名詞を知らなくても困らない
 知識ではなく、教養を持つこと
 知識と教養はどう違う?
 講義では質問をさせていた
 質問で成績をつけられるようになる
 どう答えるかよりも何を問うか
 「思う」と「考える」と「気づく」
 気づく才能は勉強で育まれるか?
 不可欠な一パーセントのインスピレーション
 発想するためには考え続けること
 発想力は幸運を呼び寄せる能力か?
 発送できない子供を試験が作る
 さまざまな人材を育てる必要がある
 みんなが月並みになりたい社会
第7章 本当の勉強はとんでもなく楽しい
 子供も老人も勉強するようになった
 積極的に活動する老人たち
 TVを見るように先生の話を聴く
 老人になると、ほとんど考えないようになる
 矍鑠とした人ほど死ぬ話をする
 最初が最も大変で、楽しい
 何がしたいのか自分でもわからない人たち
 自分で楽しみを作れない人たち
 本当の楽しさは個人的なもの
 「個人研究」のすすめ
 研究は最初は秘密裏に
 創作の勉強について
 研究者の動機は個人的好奇心
 未来への予感
まとめ
あとがき
 執筆を終えて
 僕の履歴
 最近の引き篭もり状態
 現在の活動を科目でいうと
 個人研究が仕事になったみたいだ
 なにもかも勉強のおかげ
 いかなるものも勉強になる
 勉強するほど謙虚になる

 

勉強の本質とは何か

【読書メモ】勉強の価値[生きる人間の価値を高めるもの]

本書で扱うのはタイトルのとおり「勉強」である。定義は以下のとおりである。

勉強というのは、その行為に目的があるのではない、という点が重要なのだ。なにか、ほかに目的がある。そして、そのための過程が「」と呼ばれているだけである。したがって、その過程を楽しめるかどうか、という問題は、本来の目的が見えていないわけで、そもそも問題でもない。どうでも良いことだと言っても過言ではない。

お分かりだろうか?目的が手段になっているというのはまさにこのことだろう。自分が「勉強しなければ」と思うのは、どういった目的の為なのか?勉強するのが目的であれば、それは本書の定義から外れるので、勉強とはどういったことなのか学び直すことが肝要だろう。

 

勉強とはあくまで手段である

【読書メモ】勉強の価値[生きる人間の価値を高めるもの]

更に分かりやすく解説してくれているので以下を見てほしい。

たとえば、金槌で釘を打つこと、これが「」というものの本質である。もし、金槌で釘を打つことが楽しいという人がいれば、それはそれで幸せである。一生その趣味を続けて、釘を打ち続ければよろしい。しかし、普通は、釘を打つ目的がほかにある。その目的が、釘を打つ行為を始めるよりもさきにある場合は、釘を打つことが楽しく感じられるだろう。自分が作りたいものがどんどん出来上がっていくし、また、釘の打ち方もしだいに上達するはずである。これもまた、楽しい体験となる。だが、その楽しさは、「作りたいもの」へ近づくプロセスが生み出している。

目的は机を作ったり、扉を修繕したりとDIYを行うことでも何でも良い。その過程に釘打ちがある。よって、勉強は手段であることはお分かりいただけるだろう。

 

回答することと質問すること

【読書メモ】勉強の価値[生きる人間の価値を高めるもの]

面白い箇所は沢山あるのだが、一つ挙げるとすると、著者が大学で講義をする際に、期末試験を行わなかったそうだ。その代わりに課したのが「質問させる」ことである。全員の質問をワープロで打って、それぞれへの回答と併せてプリントし配布した。そうすることで、全員に知られ、他者を意識してか、質問内容を多くの学生が真剣に考えるようになったそうだ。

 最終的には、試験をやめて、僕はこの質問で成績をつけることにした。これは重要なポイントである。すなわち、どう答えるのかではなく、何を問うかで、その人間の理解度を測ることができると気づいたからだ。
 良い質問をするためには、講義の内容を理解し、それまでの知識が頭の中で整理されている必要がある。毎回の質問、つまり十問くらいの質問の内容で、的確にその学生の理解度を評価することができた。

これは本当に良い対応だと思う。引用分のとおり、暗記ではない、個々人による濃淡の利いた回答が提出される。どれだけ知り、そして、自分なりに理解し、それに対してどう思ったのか。一連の結果が質問という形式で吐き出されるのである。

本書にも書いてあるが、著者の知り合いが大手企業の人事部にいたとき、学生の面接でどこを見ていたか、という質問の回答が「逆質問」であったのだ。これの理由も同一のものだろう。

 

勉強することで分かること

【読書メモ】勉強の価値[生きる人間の価値を高めるもの]

これ以外にも面白いことは沢山あるのだが、最後に、本書の最後の言葉を紹介する。

勉強をするほど、人は謙虚になる。何故なら、世界の英知に近づき、人類の慧眼に接することで、自身の小ささを知ることになるからだ。
それだけでも、勉強をする価値がある。
そして、自身を見つめることの楽しさが、少し遅れて、必ず訪れるだろう。
勉強は、生きる方法を学ぶことではなく、生きる人間の価値を高めるものである。

私はたくさん勉強してきたわけではない。けれど、この言葉の意味は理解しているつもりである。勉強していない人ほど、考えず発信することが多い。考える癖がないのだから仕方ないのだろう。

上を見えても仕方がないという人がいる。私はその逆であると思う。下を見ても仕方がない。生を受けているのだから、せめて、様々なことを知ろう。そうすることで、余裕ができ、引用文のように謙虚になれる。自分の小ささを知ることと「無知の知」は通ずることがある。

ここまで持ち上げておきながら、私は本書に一つだけ指摘したい。やはり、私は」という単語が好きではない。勉学を強いているように思えるからである。まさに「勉強しなさい!」である。

どちらかというと、「学習」いや「楽習」と言いたい。これは小飼弾氏の「決弾 最適解を見つける思考の技術」から引用したものである。是非、本書と一緒にこちらもおススメする。

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