【読書メモ】宇宙は何でできているのか[宇宙の始まりから運命まで]

【読書メモ】宇宙は何でできているのか[宇宙の始まりから運命まで]
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どうもタスです。

今回も新書大賞から1冊選定。自然科学?宇宙科学?科学のそして人類の究極的問いへの挑戦をしている著者からの1冊を読了しました。ロマンがある題目だけれど、論理を読むと(入門だけど)緻密で忍耐強い世界の科学者たちの成果なのだと改めて感じた。

そこで今回は、読書習慣を始めて138冊目の本となった『宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎(幻冬舎)』を読了したのでお伝えする。

 

著者のご紹介(本書引用)

村山 斉(むらやま ひとし)
一九六四年生まれ。八六年、東京大学卒業。九一年、同大学大学院博士課程修了。専門は素粒子物理学。東北大学助手等を経て二〇〇〇年よりカリフォルニア大学バークレイ校教授。〇二年、西宮湯川記念賞受賞。〇七年、文部科学省が世界トップレベルの研究拠点として発足させた東京大学数物連携宇宙研究機構(IPMU)の初代機構長に就任。主な研究テーマは超対称性理論、ニュートリノ、初期宇宙、加速器実験の現象論など。世界第一線級の科学者と協調して宇宙研究を進めるとともに、研究成果を社会に還元するために、市民講座や科学教室などで積極的に講演活動を行っている。

 

目次

序章 ものすごく小さくて大きな世界
 ◆宇宙という書物は数学の言葉で書かれている
 ◆10の27乗、10のマイナス35乗の世界
 ◆世界は「ウロボロスの蛇」
第1章 宇宙は何でできているのか
 ◆リンゴと惑星は同じ法則で動いている
 ◆リンゴの皮の部分に浮かぶ国際宇宙ステーション
 ◆「4光時」の冥王星まで20年かかったボイジャー
 ◆太陽光を分析すると太陽の組成がわかる
 ◆「発見できないが存在する」と予言されたニュートリノ
 ◆ニュートリノは毎秒何十兆個も私たちの体を通り抜ける
 ◆すべての星を集めても宇宙全体の重さの0・5%
 ◆宇宙全体の23%を占める「暗黒物質」
 ◆宇宙の大部分を占めるお化けエネルギーとは
 ◆ビッグバンの証拠になった太古の残り火
 ◆宇宙は加速しながら膨張し続けている
 ◆こんなにわからないことがあるとわかった21世紀
第2章 究極の素粒子を探せ!
 ◆皆既日食で証明されたアインシュタイン理論
 ◆なぜ見えない暗黒物質の「地図」がつくれるのか
 ◆遠くの宇宙を見るとは昔の宇宙を見ること
 ◆光も電波も届かない、宇宙誕生後38万年の厚い壁
 ◆物質の根源を調べることで宇宙の始まりに迫る
 ◆電子の波をぶつけて極小の世界を観測する
 ◆光は波なのか粒子なのか──量子力学の始まり
 ◆原子核のまわりを回る電子は波だった!
 ◆電子の波長を短くして解像度を上げる電子顕微鏡
 ◆加速器で誕生直後の宇宙の状態をつくりだす
 ◆私たちの体は超新星爆発の星くずでできている
 ◆原子が土星型であることを明らかにしたラザフォード実験
 ◆これ以上は分割できない素粒子、クォーク
 ◆「標準模型」は20世紀物理学の金字塔
 ◆第1世代のクォーク、「アップ」と「ダウン」
 ◆誰も探していないのに見つかってしまった謎の素粒子
 ◆クォークには3世代以上あると予言した小林・益川理論
 ◆物質は構成せず「力」を伝達する素粒子もある
第3章 「4つの力」の謎を解く ──重力、電磁気力
 ◆重力、電磁気力、強い力、弱い力
 ◆力は粒子のキャッチボールで伝達されると考える
 ◆質量はエネルギーに変えられるという大発見
 ◆「質量保存の法則」の綻びにブリタニカ執筆者も興奮
 ◆性質は同じで電荷が反対の「反物質」
 ◆毎秒50億キロをエネルギーに変える太陽の核融合反応
 ◆不確定性関係──位置と速度は同時に測れない?
 ◆エレクトロニクス技術として実用化された「トンネル現象」
 ◆コペンハーゲン解釈──神はサイコロを振るらしい
 ◆同じ場所に詰め込めるボソン、詰め込めないフェルミオン
 ◆原子と原子は電磁気力でくっついている
 ◆電磁気力は粒子が光子を吸ったり吐いたりして伝わる
 ◆電磁気力の届く距離も不確定性関係で決まる
 ◆物理学史上もっとも精密な理論値
第4章 湯川理論から小林・益川理論へ ──強い力、弱い力
 ◆未知の粒子の重さまで予言していた湯川理論
 ◆湯川粒子はアンデス山頂で見つかった
 ◆新粒子発見ラッシュで研究者たちは大混乱
 ◆「なぜか壊れない粒子」の謎をどう説明するか
 ◆陽子の寿命は宇宙の歴史よりとんでもなく長い
 ◆思いつき自体がストレンジなストレンジネス保存の法則
 ◆陽子・中性子はクォーク3つ、中間子はクォーク2つ
 ◆3つの色がついている? 単独では取り出せない?
 ◆クォーク理論を裏付けた「11月革命」
 ◆強い力を伝えるのはグルーオン
 ◆クォークを取り出せないのはグルーオンの色荷のせい
 ◆クォークが元気だから体重が増える?
 ◆太陽が燃えているのは弱い力のおかげ
 ◆月とTGVまで発見してしまった大型加速器
 ◆弱い力を伝えるのはWボソンとZボソン
 ◆パリティを保存しない「タウ‐シータの謎」
 ◆陽子・中性子はクォーク3つ、中間子はクォーク2つ
 ◆3つの色がついている? 単独では取り出せない?
 ◆クォーク理論を裏付けた「11月革命」
 ◆強い力を伝えるのはグルーオン
 ◆クォークを取り出せないのはグルーオンの色荷のせい
 ◆クォークが元気だから体重が増える?
 ◆太陽が燃えているのは弱い力のおかげ
 ◆月とTGVまで発見してしまった大型加速器
 ◆弱い力を伝えるのはWボソンとZボソン
 ◆パリティを保存しない「タウ‐シータの謎」
 ◆「右」と「左」には本質的な違いがあった!
 ◆「CP対称性の破れ」を説明した小林・益川理論
 ◆「クォークは2世代でなく3世代以上ある」ことが肝心
 ◆「三角形」をめぐる日米の激しい実験競争
 ◆素粒子に質量を与える? 正体不明のヒグス粒子
 ◆右利きが多いのは「自発的対称性の破れ」?
第5章 暗黒物質、消えた反物質、暗黒エネルギーの謎
 ◆ゴールに近づいたと思ったらまた新たな謎
 ◆暗黒物質がなければ星も生命も生まれなかった
 ◆「超ひも理論」は夢の「大統一理論」を実現するか?
 ◆本当の時空は10次元まである?
 ◆暗黒物質検出、一番乗りはどこか?
 ◆反物質のエネルギーは0・25グラムで原爆並み
 ◆物質は10億分の2の僅差で反物質との生存競争に勝利
 ◆イチゴ味がチョコ味に? ニュートリノ振動の正体
 ◆東海村から神岡へニュートリノビームを飛ばせ!
 ◆収縮? 膨張? 宇宙に終わりはあるのか?
 ◆宇宙の将来をめぐる仮説は「何でもアリ」の状況
 ◆1人1人の人生とつながる素粒子物理学
あとがき

 

素粒子と宇宙の研究に関するテーマ

【読書メモ】宇宙は何でできているのか[宇宙の始まりから運命まで]

目次だけで素晴らしさが、そして面白そう性が十分伝わるのではないだろうか。そのため、私がとやかくお伝えする必要は無いように思える。目次を記載しただけで読書メモは完了したと言っても良い。

本書は日本の科学者(素粒子物理学者)である著者が「宇宙は何(の物質)でできているのか」と「その物質を支配する『基本法則』はいかなるものか」を世界中で追い続けている歴史概要を解説してくれる本である。

 

宇宙のスケール(指数関数敵の実感)

【読書メモ】宇宙は何でできているのか[宇宙の始まりから運命まで]

いきなり「あとがき」を紹介させてほしい。

宇宙の中で、私たちが理解できた原子は4・4%にすぎません。宇宙のエネルギーの23%を占める暗黒物質は星や銀河ができるもとであり、宇宙が生まれて100億分の1秒頃にできた未知の素粒子だと考えられています。これが理解できれば、宇宙ができたばかりの様子が解明できるだろうと期待して、世界の科学者は、地下に潜ったり、山手線くらい大きな加速器を作ったりして研究を続けています。
 また、宇宙のエネルギーの73%はもっと得体の知れない暗黒エネルギーで、「見えない力」で宇宙の膨張を後押しして膨張をどんどん加速しています。宇宙が大きくなっても薄まらないこの不思議なエネルギーは、宇宙に終わりがあるのかどうか、宇宙の運命を握っている鍵です。日本が誇る直径8・2メートルの巨大な鏡を持つすばる望遠鏡に新しい装置を取り付けて、宇宙の膨張の歴史を精密に測り、将来を予測する観測計画を進めているところです。

そう、「万物は原子からできている」というのは地球や星には当てはまるけれど、それは宇宙のたった4.4%に過ぎないとのこと。その他、約96%は「原子以外のもの」で構成されているというのである。

昔は宇宙の中心だと思われていた地球も、実は太陽のまわりを回る岩のかたまりの1つで、しかも太陽は銀河系にある何千億個という星の中のごくありふれた星の1つにすぎません。そして宇宙の中には同じような銀河が何億個も見つかっています。

そして地球は、その4.4%のうちのごくごく一部であるとも言っている。地球は太陽から見れば極小である。直径だけでも100倍の差があるほどだ。その太陽は天の川銀河の中でもほんの一部(地球:太陽の比より大きい)であり、その天の川銀河の類でさえ宇宙には何億個も見つかっているのである。

 

ウロボロスの蛇をにらみながら

【読書メモ】宇宙は何でできているのか[宇宙の始まりから運命まで]

スケールが大き過ぎてロマンとしか言いようがない。その宇宙をミクロとマクロの両面から解明しようとしたのである。著者はそれを「ウロボロスの蛇」に例えている。ウロボロスの蛇はギリシャ神話に登場する蛇で、自分の尾を自ら飲み込んでいるのである。古代ギリシャでは「世界の完全性」を表すシンボルとして描かれていたのである。

その頭をマクロと捉え、尾をミクロと捉える。頭と尾は繋がっているわけだから、尾から調べても完全性に迫れるというのである。その尾が「」である。では、なぜ尾から攻めるのか。それは頭からでは頭打ちだからである。

直接宇宙を見ようにも見えているのは過去の宇宙なのだから、そして、宇宙は加速して膨張しているのだから解明も加速して遠のくのである。であれば、その起源に遡れる粒子の「素」を解明しようというのが素粒子物理学なのである。

宇宙や素粒子に興味がなくても本書は楽しめる。むしろ、読後は反転し興味を示している可能性が高いと思う。著者の専門的知識を敷衍頂いたことで好奇心が湧くからである。著者の言うように、面白さを理解する人が増えれば謎の解明に一歩近づく。それは全人類にとって明るいニュースである。

最後の著者の以下の話を引用して終わりにする。

一方、「こんなことを調べて一体何の役に立つんだ?」と疑問に思われた方もいると思います。実は私は文部科学省や財務省、また一般の方々から同じような質問を受けることがありますが、いつもこのように答えています。「日本を豊かにするためです」と。「豊か」という言葉は、経済的な意味もありますが、心、精神、文化の豊かさも含んでいます。人生の半分近くを外国で暮らした私から見ると、日本はこうした広い意味での「豊かさ」をとても大事にする国です。これからもそうであってほしいですね。

全く持って同意見である。損得(や利害)ではない。これこそ幸せに直結するのではないだろうか。本書から「心の豊かさ」の感受も得られことは純得である。

 

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