
どうもタスです。
最近は資産運用に経済とお金の勉強が主だったので、今回は一旦休憩して自身の教養を高めることを目的に「1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365」を読むことにしました。
以前、本屋さんで手に取った記憶があり、その時は興味が湧いたのだけれど、ハードカバーで大きな本だったので読み難そうだなと感じたことと、今回“kindle unlimited”で読み放題対象だったので即ポチに至りました。
ということで、読書習慣を始めて18冊目の本になった「1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365(文響社)」についてお伝えしたいと思います。
■1年分(本書の全て)を見るには、以下の記事もご覧になってください。
・『【書評】考える知識を豊かにする。1日1ページ読むだけで身につく世界の教養365 その2』では、本書の121~240日目までを纏めています。
・『【書評】考える知識を豊かにする。1日1ページ読むだけで身につく世界の教養365 その3』では、本書の241~364日目までを纏めています。
この記事の目次
著者のご紹介
デイビット・S・キダー
ノア・D・オッペンハイム
「1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365」シリーズで有名なお二人です。
本書のご紹介
本書はニューヨークタイムズベストセラーで、アメリカで47万部刊行した本を邦訳しています。
本書名のとおり、1日1ページ(約15分)を1年間読むことで世界の教養を身に付けることが目的とのこと。取りあげている教養は7つの異なる専門分野(歴史、文学、視覚芸術、科学、音楽、哲学、宗教)で、それを1週間(7日間)単位で回しながら学習するスタイルになっています。週にすると52週のため、7つの専門分野の知識を52回ずつ吸収できるとても興奮する内容にまとまっています。
目次
本書は当記事をあわせて計3回に分けてお伝えしようと思います。というのも、1日1ページで365日分のため、内容が膨大で且つ一つ一つが興味深いものばかりになっており、とても1記事ではお伝えしきれないと考えているためです。単純計算しても、1記事120日分をご紹介することになります。ということで、今回は1~120日目までをお伝えします。
第1週
1.アルファベット(歴史)
2.『ユリシーズ』(文学)
3.ラスコー洞窟の壁画(視覚芸術)
4.クローン技術(科学)
5.音楽の基礎(音楽)
6.現象と実在(哲学)
7.トーラー(宗教)
第2週
8.ハンムラビ法典(歴史)
9.アーネスト・ヘミングウェイ(文学)
10.ネフェルトイティの胸像(視覚芸術)
11.エラトステネス(科学)
12.旋律(音楽)
13.ソクラテス(哲学)
14.ノア(宗教)
第3週
15.スパルタ対アテネ(歴史)
16.ハーレム・ルネサンス(文学)
17.パルテノン神殿(視覚芸術)
18.太陽系(科学)
19.和声(ハーモニー)(音楽)
20.プラトン(哲学)
21.カインとアベル(宗教)
第4週
22.アレクサンドロス大王(歴史)
23.『失楽園』(文学)
24.ミロのヴィーナス(視覚芸術)
25.温室効果(科学)
26.中世/初期教会音楽(音楽)
27.イデア(哲学)
28.アブラハム、イクサ、ヤコブ(宗教)
第5週
29.ユリウス・カエサル(歴史)
30.ホメロス(文学)
31.ハギア・ソフィア(視覚芸術)
32.ブラックホール(科学)
33.楽器と楽団(音楽)
34.プラトンの洞窟の比喩(哲学)
35.サラ(宗教)
第6週
36.ロゼッタ・ストーン(歴史)
37.『闇の奥』(文学)
38.ビザンツ美術(視覚芸術)
39.超新星(科学)
40.ルネサンス音楽(音楽)
41.アリストテレス(哲学)
42.ソドムとゴモラ(宗教)
第7週
43.皇帝コンスタンティヌス一世(歴史)
44.モダニズム(文学)
45.ゴシック美術(視覚芸術)
46.侵害受容:痛みを知覚すること(科学)
47.バロック(音楽)
48.形而上学(哲学)
49.ヨセフ(宗教)
第8週
50.イスラム教の広がり(歴史)
51.『キャッチ=22』(文学)
52.パリのノートルダム大聖堂(視覚芸術)
53.プラシーボ効果(科学)
54.形式(音楽)
55.質料と形相(哲学)
56.モーセ(宗教)
第9週
57.カール大帝(歴史)
58.ガブリエル・ガルシア=マルケス(文学)
59.ルネサンス美術(視覚芸術)
60.メンデルの遺伝学説(科学)
61.アントニオ・ヴィヴァルディ(音楽)
62.論理学(哲学)
63.ダビデ王(宗教)
第10週
64.マグナ・カルタ(歴史)
65.『オジマンディアス』(文学)
66.『ヴィーナスの誕生』(視覚芸術)
67.表面張力と水素結合(科学)
68.『四季』(音楽)
69.ストア派(哲学)
70.ソロモン王(宗教)
第11週
71.チンギス・ハン(歴史)
72.ウィリアム・フォークナー(文学)
73.レオナルド・ダ・ヴィンチ(視覚芸術)
74.地震(科学)
75.ヘンリー・パーセル(音楽)
76.エピクロス派(哲学)
77.神殿と聖櫃(宗教)
第12週
78.黒死病(歴史)
79.『グレート・ギャッツビー』(文学)
80.『最後の晩餐』(視覚芸術)
81.太陽の黒点とフレア(科学)
82.ヨハン・セバスティアン・バッハ(音楽)
83.中世哲学(哲学)
84.タルムード(宗教)
第13週
85.ジャンヌ・ダルク(歴史)
86.ジョン・スタインベック(文学)
87.『モナ・リザ』(視覚芸術)
88.ミルグラムの服従実験(科学)
89.『ブランデンブルク協奏曲』(音楽)
90.神の存在証明(哲学)
91.カバラ(宗教)
第14週
92.イタリア・ルネサンス(歴史)
93.『ドン・キホーテ』(文学)
94.アルブレヒト・デューラー(視覚芸術)
95.ガリレオ・ガリレイ(科学)
96.ジョージ・フリデリック・ヘンデル(音楽)
97.懐疑論(哲学)
98.ハシディズム(宗教)
第15週
99.レコンキスタ(歴史)
100.『カンタベリー物語』(文学)
101.ミケランジェロ(視覚芸術)
102.静電気(科学)
103.ヘンデルの『メサイア』(音楽)
104.ルネ・デカルト(哲学)
105.イエス・キリスト(宗教)
第16週
106.スペイン異端審問(歴史)
107.『神曲』(文学)
108.『ダビデ像』(視覚芸術)
109.オゾン層(科学)
110.音楽のジャンル(音楽)
111.コギト・エルゴ・スム(哲学)
112.山上の説教(宗教)
第17週
113.マルティン・ルター(歴史)
114.『ベーオウルフ』(文学)
115.システィナ礼拝堂(視覚芸術)
116.放射性炭素年代測定法(科学)
117.古典派(音楽)
118.心身問題(哲学)
119.善いサマリア人(宗教)
第18週
120.スペインの新大陸進出(歴史)
特に興味深かった内容を概要や感想としてまとめた
基本的に全て面白かったのですが(音楽だけは苦手感が否めない。。)、ここでは私が特に面白かったと思えた内容を専門分野ごとにお伝えします。お伝えするのはあくまで概要(だいぶ端折っています)ので、詳細は本書を見てくださいね。
歴史
アルファベット(1)
紀元前2000年頃、古代エジプトのファラオ達は増える奴隷へ文書命令を伝えるのが困難だったため、エジプト文字ヒエログリフ(神聖文字)の簡略版を作成し、それがアルファベットの起源になったと言語学者達は考えている。ヒエログリフの翻訳が可能になったのは、ロゼッタ・ストーンが発見されてからだった。
ロゼッタ・ストーン(36)
1799年、ナポレオン率いるフランス軍の兵士が、エジプトのアレクサンドリア近郊で砂に埋もれた不思議な黒い石を発見した。
その石には、三種類の古代文字が刻まれていた。最初に刻まれていたのはギリシア文字だ。その内容から学者たちは、この石はアレクサンドロス大王の帝国から分かれたギリシア系の王国がエジプトを支配していた前196年ころのものだと特定した。
黒い石に刻まれた残る二種類の文字は、エジプト人が昔から使ってきた文字ヒエログリフと、その簡略版だった。
ハンムラビ法典(8)
ハンムラビは、現在のイラクにあった古代文明バビロニアの王である。紀元前1792年から前1750年まで君臨し、史上初めて法律を制定した人物だ。
スパスタ対アテネ(15)
ギリシア人の歴史家・文筆家プルタルコスによれば、スパルタ兵の多くは戦場に行くことでホッとしたようだ。
「スパルタ人にとって実際の戦争は、厳しい訓練に比べれば休息も同然であった」と書いている。
アレクサンドロス大王(22)
アレクサンドロス大王(紀元前356~前323)は、アテネの哲学者アリストテレスから教育を受けた。父が劇場で暗殺されたことにより20歳で王位を受け継ぎ、当時の地中海世界の大半を含む帝国を築いた。
皇帝コンスタンティヌス一世(43)
初期キリスト教の時代、この小さな信仰集団は、強大なローマ帝国の各地で厳しい迫害を受けていた。イエス・キリストがエルサレムで死んで数十年後の紀元64年、皇帝ネロは首都ローマでキリスト教徒に対する初の公的な迫害を命じた。ローマ皇帝コンスタンティヌス一世(275頃~337)は、幻視体験をきっかけにキリスト教に改宗すると、313年にミラノ勅令を出して、帝国内全土でキリスト教を公認した。
マグナ・カルタ(64)
13世紀前半に、王と貴族の間で和解協議が開かれた。協議の結果、基本的な自由が保障され、王の絶対権力に数々の制限が加えられることとなり、その内容は「マグナ・カルタ」という布告文にまとめられた。現在マグナ・カルタは、イングランドにおける自由および法の支配の基盤であり、立憲君主制の最も古い根源であると考えられている。
チンギス・ハン(71)
チンギス・ハン(1162~1227)はモンゴルの武将で、遊牧民の諸部族から成る冷酷無残な軍勢を率いて、わずか20年ばかりのあいだに広大なアジアの諸地域を征服した。
黒死病(78)
1347年から1350年に大流行したペストは、のちに黒死病と呼ばれ、この期間だけでヨーロッパの人口の三分の一が命を落とした。アジアで生まれた黒死病は、伝染力のきわめて高い細菌性の病気で、猛烈な勢いで広まった。衛生状態の悪い中世ヨーロッパの諸都市では、患者はたいてい、症状──嘔吐、下痢、皮膚が黒くなる──が最初に現れてから、わずか数日で死亡した。
ジャンヌ・ダルク(85)
ジャンヌ・ダルク(1412~1431)は、農家の娘ながら、17歳で中世のフランス軍を指揮してイングランド軍と戦った少女だ。彼女は今もフランスの国民的英雄であり、フランスを象徴する存在となっている。
マルティン・ルター(113)
ドイツ人聖職者マルティン・ルター(1483~1546)による『九五か条の論題』は、神の信仰への迷いやローマ・カトリック教会そのものの腐敗と汚職に対して痛烈に批判した。それはプロテスタントの発足に繋がり、宗教戦争に発展した。
文学
モダニズム(44)
文学におけるモダニズム運動は、おおよそ1900年から1940年までが最盛期で、作家たちは物語を語る新たな方法を探究し、客観的な現実と真実を探る最善の方法は何かという問題を改めて考えた。
『ドン・キホーテ』(93)
ミゲル・デ・セルバンテスの『ドン・キホーテ』(前編は1605年、後編は1615年)は、スペイン語圏の最も傑出した文化的偉業と言っていいだろう。スペイン文学の最高傑作と称賛され、言語を問わず世界最初の近代小説と広く考えられている。
視覚芸術
パルテノン神殿(17)
パルテノン神殿は、有名な政治家ペリクレスの命により、ペルシア軍に対するギリシア軍の勝利を記念するため紀元前447年から前432年に建設された。
ミロのヴィーナス(24)
史上最も有名な彫刻のひとつ「ミロのヴィーナス」は、1820年にギリシアのメロス島(別名ミロ島)で地元の農民が発見したことから、そう呼ばれている。
科学
クローン技術(4)
1997年、ドリーという名の赤ん坊ヒツジが、世界で初めてクローン技術によって誕生したと発表された。
温室効果(25)
「温室効果」という言葉は、ふたつの異なる科学現象を指すのに使われる。ひとつは、熱が宇宙空間へと逃げていくのを大気が防ぐ、まったく自然な作用である。このメカニズムのおかげで、地表付近の平均温度は過ごしやすいセ氏15度に保たれている。もう一つは、この100年間で温室効果ガスが増加している現象のことで、これが地球温暖化の原因の一つではないかと考えられている。
ブラックホール(32)
ブラックホールは、巨大な星が死ぬときに生まれることがある。最期を迎えた星は、内部に向かって崩壊して、だんだん小さくなっていき、密度が大きくなっていく。こうして収縮していき、ついには半径ゼロで密度が無限大の点になる。この点を特異点といい、密度があまりにも大きいために、近くの光も、その重力から逃れることはできない。この星の近くにあるものは、何もかもがこの黒い点に吸い込まれる。
侵害受容:痛みを知覚すること(46)
痛みを知覚することは、専門的には侵害受容といい、人間が生きていく上で欠かせないものだ。痛みは、この世にあるさまざまな危険を知る単純で有効な方法だ。
プラシーボ効果(53)
プラシーボ(偽薬)効果とは、医学的には効き目のない治療で患者にプラスの影響が出ることを言う。
メンデルの遺伝学説(60)
チェコの修道士グレゴール・メンデル(1822~1884)がエンドウマメの実験を始め、「遺伝子」や「対立遺伝子」、「優性遺伝と劣勢遺伝」と呼ばれる考え方を導き出す結果を得た。
表面張力と水素結合(67)
水は、地上で最もありふれた物質でありながら、最も不思議な物質でもある。例えば、固体になると液体のときより密度が低くなる。氷が水に浮くのは、そのためだ。
また、大量の熱を、あまり変化することなく吸収することができる。だから海に面した都市は気温の変化が穏やかだ。しかも、水には「皮膚」がある。水の分子が、表面で互いにくっつこうとして薄い層を作るのだ。
地震(74)
地球の表面は、十数枚のプレートで覆われている。プレートは、一枚の厚さが100キロメートル前後で、融解したマントルの上を、池に浮かぶ氷のように、ゆっくりと動いている。二枚のプレートが離れたり、衝突したり、こすれ合ったりしたときに起こるのが地震だ。
太陽の黒点とフレア(81)
太陽の表面はガス状になっていて、セ氏6000度で燃えて太陽系全体を暖めている。しかし、太陽の表面には周囲よりも2000度以上低い黒く見える部分があり、それを黒点という。
太陽の黒点は、地球の気温にも影響を与えているのかもしれない。黒点活動最大期には、太陽から放出されるエネルギーが少し増え、紫外線放射が劇的に増加する。ここ60年は黒点活動が全体として増加傾向にあり、それと非常によく似たペースで地球温暖化も進んでいる。17世紀半ばから18世紀初頭には黒点の活動は少なかったが、ちょうどこの時期、西ヨーロッパでは小氷期と呼ばれる極端な気温低下と長い冬の時代が続いた。
ミルグラムの服従実験(88)
1960年代にイェール大学の心理学者スタンリー・ミルグラムは、服従に関する一連の恐ろしい実験を行った。
この実験を通してミルグラムは、人間の良心が状況によって無力になる様子を明らかにした。その成果は、第二次世界大戦中のホロコースト、ヴェトナム戦争時のソンミ村虐殺事件、ルワンダ虐殺など、現代の残虐事件を説明するのに活用されている。
ガリレオ・ガリレイ(95)
イタリアのピサ郊外に生まれたガリレオ・ガリレイ(1564~1642)は、近代物理学の父、近代天文学の父、近代科学の父などと呼ばれている。
その業績を少し挙げてみると、複合顕微鏡の発明、木星の衛星発見、世界初の振り子時計の設計、宇宙を詳しく見ることのできる望遠鏡の発明など、すばらしいものばかりだ。彼の科学実験は、近代の科学的手法の基礎を築き、彼が唱えた慣性という考えは、アイザック・ニュートンが運動法則を導き出す直接のきっかけになった。
静電気(102)
冬にコートを着ると、電子がコートからあなたの体へと移る。そのため、あなたの体は負の電荷を帯びる。その状態で金属製のドアノブに触れると、電子があなたの手から、伝導率の高い導体である金属製のドアノブへとジャンプする。これが空気を熱して火花を飛ばすのである。
音楽
アントニオ・ヴィヴァルディ(61)
ヴェネツィアのバイオリン奏者の子として生まれたアントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)は、幼いころから病弱で、1703年に聖職者の道に進んだ。その後すぐ、ヴェネツィアにあった女子孤児院のひとつピエタ養育院で住み込みのバイオリン教師・指揮者・作曲家になった。養育院の少女たちは音楽の厳しい訓練を受け、彼女たちの演奏会は、ヴィヴァルディのオリジナル楽曲を演奏することも多く、ヴェネツィアの音楽愛好家たちから大好評を博した。
哲学
現象と実在(6)
ソクラテス以前の哲学者から常に大きなテーマの一つとして論じられてきたのが現象と実在の違いだ。実在するものすべてが、もっと根源的な実態でできている可能性を真剣に捉えていた。そして、普段の無批判的な観察からは誤った世界像しか得られないのではないかと疑っていた。
エラトステネス(11)
前3世紀になるとアレクサンドリア図書館の館長エラトステネス(紀元前276頃~前194)が、地球の大きさを測る独創的な方法を思いついた。
ソクラテス(13)
ソクラテスは同じアテネ市民と度々論争をしている。相手は、自分が何か(例えば正義の本質)を知っていると主張する。そこで、ソクラテスは対話を通じて、相手が実はその事柄をまったく知らないということを証明する。まさに「無知の知」である。何事も言いきる人をあまり信用できない自分がいる。。
プラトン(20)
イデア論(イデア(27)で説明されている)、知識の起想説で有名な哲学者。
プラトンは、魂を欲望(食べ物、酒、性交など肉体的な喜びを求める)、気概(栄光と名誉を求める)、理性(イデアを理解しようと求める)という三つの部分に分けた。正しい魂と正しい国家との類似点を引き合いに出して説明している『国家』が有名。
プラトンの洞窟の比喩(34)
「人間は、地下にある洞窟のような場所に住んでいると考えればいい。その洞窟は、入り口の奥行きが長く、そこから光が、洞窟の幅いっぱいに奥まで差し込んでいる。そこに住む人々は、子どものころから足と首を縛られて固定されており、縛られているため頭を左右に動かせず、正面しか見ることができない」。 —プラトン『国家』
アリストテレス(41)
アリストテレスは、哲学は以下のように正確な順序で学ばなければならないと考えていた。
論理学に有効な議論である三段論法を発展させ、自然現象を調べるべく多数の著作を書いて自然界を説明する一般原理を導き出し、実践哲学(倫理学と政治学)を学ぶ。有名な三段論法:すべての人間はいずれ死ぬ。ソクラテスは人間である。ゆえにソクラテスはいずれ死ぬ。
形而上学(48)
「人はみな生まれながらに知ることを欲する」
形而上学とは、実在についての最も一般的な問い──真に存在するものは何で、それはどのようなものであるのか──に関する学問だ。アリストテレスは「第一哲学」と呼んでいた。
論理学(62)
論理学とは、形式として有効な論証についての学問だ。論証は、前提となる複数の文と、結論を述べるひとつの文で構成される。
ストア派(69)
ストア派とは、紀元前3世紀から紀元後2世紀にかけてギリシア・ローマ世界で隆盛した哲学の一派である。
ストア派にとって最重要だったのは、人はいかに生きるべきかという問題だった。彼らの答えは、幸福──ギリシア語で「エウダイモニア」──を求めるべきだというものだった。ストア派にとって、幸福とは「霊魂の優れた活動」──徳があり、勇気を持ち、控えめで、忍耐強いこと──だった。
エピクロス派(76)
エピクロス派とは、前4世紀に哲学者エピクロス(前341~前270)が開いた学派とその信奉者のことだ。
「よく生きることとは、幸福に生きることだ」と定義し、幸福とは快楽が存在し、苦痛が存在しない状態のことだと考えた。特に快楽の定義は独特であるが、私達にもとても身近な考え方だと言える。
神の存在証明(90)
神の存在については多くの人が──その存在を信じる者も、そうでない者も──論じているが、存在を証明することはできない。それでも哲学者たちは、アリストテレス以来、神の存在を証明しようとしてきた。
懐疑論(97)
懐疑論とは、厳密に証明されていない知識体系に対して私たちが抱いている確信を覆すために行われる哲学的議論または主張のことを指す。懐疑論者とは、懐疑論的な議論を使って私たちの常識を覆そうとする人のことだ。
ルネ・デカルト(104)
フランスのラ・エーに生まれたルネ・デカルト(1596~1650)は、軍隊で工兵として数年間勤務したのち、哲学・数学・科学の分野で画期的な著作を執筆した。
その哲学は、今日ではデカルト主義と呼ばれている。彼の著作で最も重要なのは『省察』(1641年)で、自分の信じるものすべてに疑問を投げかけ、疑うことのできないものだけを真理として認めようとした。そこで辿り着いた見解が「われ思う、ゆえにわれあり」だ。もとのラテン語で言えば「コギト・エルゴ・スム」だ(111で詳細な説明がある)。
心身問題(118)
心身問題は、心理学や神経科学について重要な問題を提起するため、今も哲学でさかんに議論されている。さらに心身問題は、人工知能開発の努力にも重大な課題を投げかけている。コンピューターを使えば脳を再現することはできるかもしれないが、はたして心を再現することはできるのだろうか?
宗教
ノア(14)
ノアは、聖書の創世期にある洪水物語の主要登場人物だ。この物語によると、神は、自ら創造した世界で人間たちが罪を重ねているのを見て腹を立てた。そして人間を作ったことを後悔し、地上から拭い去ってしまおうと考えたが、その前にノアの存在に気がついた。
ソドムとゴモラ(42)
聖書にあるソドムとゴモラの物語は、創世記の18章と19章に出てくる。
ソドムとゴモラは、ヨルダン川流域にあった町である。このふたつの町の住民は罪を犯していたので、神は両町を滅ぼしてしまおうと思った。それを知ったアブラハムは、正しい者を悪い者と一緒に滅ぼすのはよくないと言って異を唱え、神は、正しい者が10人いたら、町を滅ぼすのはやめようと約束した。そして、実態を調べるため天使たちを派遣した。
山上の説教(112)
この有名な説教は、ガリラヤの山腹でイエスが紀元30年ころに行ったもので、聖書のマタイによる福音書で詳しく語られており、イエスの教えの中核となる考えが非常によく表れている。
究極を言えば、この教えのとおり生きることができたら、文字通り「神」だと言えるかもしれません。
「人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである」
善いサマリア人(119)
善いサマリア人は、聖書中でイエスが語った、たとえ話の中でも特に有名な話のひとつだ。ルカによる福音書に出てくる話で、イエスが弟子たちに目指してほしいと望んだ愛のあるべき姿が示されている。
おわりに
世界史は、宗教と共に歩んできた歴史であると感じた。しかし、宗教とはどれほど真実性のあるものなのか、俗にいう疑似科学と異なる部分は何なのか。無宗教の私には宗教の重要性が今も今後も分からなような気がした。
その一方、科学というものは実際にあるがままを観察・考察して確固たる定義を築いてきた。実際に信じるべきものは科学だと声を大にして言いたいが、その科学でさえ覆ることがあるため真実とは何かという問いにぶち当たる。
それを古代から議論してきたのが哲学だと考える。私の興味ある分野を顧みても「科学」と「哲学」がダントツで多い。今後も、アリストテレスの形而上学の一説『人はみな生まれながらに知ることを欲する』を座右の目として上記のことを考えられる知識を吸収していきたいと思う。
次回予告
次回は本書のその2をお伝えします。
類書
本書の現代編です。近現代史を学ぶために良いと思います。
本書の人物編で、人物にスポットを当てた構成になっています。